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今年、2016年は日本国憲法公布から70年目の節目に当たる年である。そして、これまで2回にわたって報じて来た1947年制定の『兵庫県民歌』が県から存在を否定されている問題も新年の訪れに伴う「作曲者の著作権保護期間満了」により新たな転機を迎えた。

失われた『兵庫県民歌』を求めて──1947年制定の県民歌はなぜ「存在しない」ことにされているのか? - ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/655664 [リンク]

【追跡・消えた『兵庫県民歌』】存在しないはずの楽譜が県立図書館に──新たに浮上した3つの謎 - ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/1087447 [リンク]

先述の通り、この『兵庫県民歌』は官選第32代/公選初代兵庫県知事となった岸田幸雄(1893-1987)が日本国憲法公布を記念して制定を提唱し、1947年に制定された。しかし、岸田知事が県庁内の政争に端を発する1954年の知事選で落選・失脚したのに前後してその存在は“抹消”され、県では「廃止した」と言うでもなく今なお「県民歌は存在しない」と主張している。

2014年の夏に筆者が『兵庫県民歌』の存在を知り、第一報を書いた後には地元紙の神戸新聞でも2015年1月1日付紙面でこの問題が取り上げられたこともあり、徐々にではあるが県の主張が事実ではないと言うことが周知されて来たが、作詞者・作曲者とも著作権が存続していたので当の音源を公開することは昨日まで出来なかった。それが今日から可能になったのは、作曲者である信時潔(1887-1965)の著作権保護期間が昨日付で満了したからである。

今月末で著作権保護期間が満了する先人たち‥2015・その4【音楽編】 - ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/1289996[リンク]

記事のトップにある画像は制定当時の楽譜のものだが、不鮮明につき全容は下記のリンク先にあるPDFファイルを参照していただければ幸いである。筆者が事前に打ち込みで曲を聴いていただいた方の中からは専門家の見地より「17~22小節目の伴奏の接続に不審な部分がある」との指摘もなされたが、東京藝術大学が所蔵する信時潔自筆の楽譜と印刷譜の間に異同は無いことが確認されたので印刷譜のまま公開している。当然ながら、今日からは編曲・アレンジについても自由に出来るようになっている。

『兵庫県民歌』楽譜(PDF)
http://bit.ly/1PzoR6Q [リンク]

今から69年前に制定された楽曲と言うこともあり大時代的な語句も見られるが、作詞者の野口猛さん(1906-1972)が歌詞に込めた平和の到来と新しい時代の幕開けに対する意気込み、そして今なお「右翼に激賞される作曲家」「戦後は軍国主義のプロパガンダを担った悔恨から佳作になった」と言うイメージで語られがちな信時潔が実際は戦後も自治体歌や校歌の分野で積極的に作曲活動を行っていた一端を感じ取っていただければ幸いである。

『兵庫県民歌』の記録と記憶
http://hyogoprefsong.wix.com/jp28 [リンク]

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