女神転生の世界はいま現在も広がっている
西谷史先生が創造したそれらの作品はアニメーション化され、さらにはテレビゲームとして『デジタル・デビル物語 女神転生』を誕生させた。スーパーファミコンで発売された『真・女神転生』シリーズは爆発的な人気を得て、2023年現在も愛されるゲームシリーズであり、さらには派生した『ペルソナ』シリーズも絶大な支持を得ている。
「女神転生」裏話をTwitterにてツイート
そんな「女神転生」の生みの親である西谷史先生が、かつて小説を執筆した際の裏話をTwitterにてツイートし、多くのファンが歓喜。その興味深い内容に注目が集まっている。以下は、西谷史先生のTwitterコメントである。
ATLUSのexecutiveに会う前に、僕の法的な代理人がこう言った。「徳間書店は、いつになっても女神転生2を作ろうとしない。だからATLUSは、直接あなたの原作小説からゲームを作りたいと言っていますよ。どうしますか?」 pic.twitter.com/GEACnUqBcj— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 29, 2023
それを聞いたとき、複雑な気持ちになった。「女神転生」がヒットしたのは、それぞれの作品に力があったからだが、徳間書店の広告力は大きかった。そこで徳間書店を抜かして、直接契約していいものか、どうか…これは良心の問題だった。 pic.twitter.com/pH3JwPgYLH— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 29, 2023
迷っている僕に代理人は、たたみかけるように言った。「徳間書店は、女神転生の商標権を申請していない。だから、アトラスが商標権を取得したんです」と。僕は驚くと同時に、また怒りを感じてしまった。 pic.twitter.com/0BfNHxOIwC— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 29, 2023
当初「女神転生」は、ぼくが原作者、アニメは二次利用、ゲームはアニメの二次利用という契約が結ばれていた。こういう場合、日本では出版社が、作家を保護するために商標権を獲るのが普通だ。 pic.twitter.com/0LO5IxPZFw— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 29, 2023
徳間書店はその普通のことをしなかったと知ったからだ。後に、これはエンタテイメントの法律部門では、よく知られた事件になった。決して表には出なかったけど。そして、徳間書店の担当者が無責任だった、という評判をあちこちで聴いた。— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 29, 2023
だが、ぼくはその担当者を知っている。すごく真面目な人で、決してそんなミスを犯す人じゃない。結局、Executive produser は「女神転生」が嫌いだ。もうアニメを展開するつもりがない、と聞いた担当者が、商標権の取得をやめた。僕にはそう感じられた。— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 29, 2023
ふと気がついたら、僕は代理人の前で、喋らずに考え込んでいたようだ。彼は「どうします。やめますか?」と訊いた。ぼくは「いいえ、やりましょう。これで女神転生は真・女神転生として大きくなれる」と言った。この時点で、僕の小説は真・女神転生の原作といっていいと思うが、あなたはどう思う? pic.twitter.com/hi5k2W8vel— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 29, 2023
いいえ。真・女神転生を考えたのは、アトラスさんです。そこまででしゃばりません。ただし、日本で初めて「真」の名前をつけたのは、徳間書店だと思います。他社に「幻魔大戦」というタイトルがあったのを「真・幻魔大戦」としたのは徳間書店。「真・女神転生」決定時に、参考にしたはずです。— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 29, 2023
まさに知られざる真実
ゲーム『女神転生』シリーズの原作はアニメ作品。そのアニメ作品の原作は小説。そこまでは多くのファンが知っていることだと思われるが、西谷史先生が語ったのは小説、アニメ、ゲームが絡み合う秘話であり、まさに知られざる真実といえる。
あなたはどう思う?
西谷史先生は「僕の小説は真・女神転生の原作といっていいと思うが、あなたはどう思う?」と私たちファンに問いかけているが、皆さんはどうお思いだろうか。
ちなみに、西谷史先生がゲームの世界観をもとに執筆した小説『真・女神転生 エル・セイラム』も存在する。極めて興味深い。気になる人は手に取ってみてはいかがだろうか。
徳間書店のexecutive producerに、「女神転生」のタイトルではダメだといわれても、僕は小説がヒットすれば、アニメは作れると考えていた。なにしろ、編集長の鈴木敏夫は、このタイトルをすごく気に入っていたのだ。ていうか、このタイトルを選んだのは、鈴木さんだから。 pic.twitter.com/az3eGqvZgV— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 27, 2023
第三巻の企画会議で顔をあわせたとき、鈴木敏夫さんは、期待の籠った目で僕を見た。僕は、自分では「絶対ヒットする」という自信のあるプロットを披露した。だが予想に反して、鈴木さんは苦渋の表情で黙り込んでしまった。— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 27, 2023
僕は、悪魔召喚で多くの人を死なせてしまった主人公は、どこかで罪を償わなければいけないと思っていた。だからルシファーに占領された日本で、中島朱実は裁判にかけられ、死刑を宣告される物語を企画したのだ。 pic.twitter.com/rsOZboYjMA— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 27, 2023
会議室は静まりかえり、だれも口を開かなかった。そのとき、ひとりだけ「これでいいんです!」と叫んだ編集者がいた。高橋望という、このシリーズの編集者だった。 pic.twitter.com/zaE221nXog— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 27, 2023
彼は言った。「どれほど中島朱実が人類のために働いたとしても、彼が最初に犯した罪は決して消えることはない。だから、これは当然の帰結なのです」と。まるで、ぼくの考えを知っていたように熱弁をふるってくれた。 pic.twitter.com/kuHCHeYcy1— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 27, 2023
おかげで鈴木敏夫は、「わかった。やろう」と掠れた声で呟いた。「転生の終焉」の企画は通った。こんな状態だったが、発売されて一週間たたずに三万部は完売したし、刷ればいくらでも売れただろう。高橋望がいなければ、転生の終焉は世に出なかったかもしれない。 pic.twitter.com/tJwtCSmEuV— Aya Nishitani 西谷史 (@ayanakajima3) April 27, 2023
※記事画像はスーパーファミコン『真・女神転生』パッケージより
(執筆者: クドウ@地球食べ歩き)
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