『ズートピア』
【ストーリー】
動物たちの“楽園”ズートピアで、ウサギとして初の警察官になったジュディ。でも、ひとつだけ問題が…。警察官になるのは通常、クマやカバのように大きくてタフな動物たちで、小さく可愛らしすぎる彼女は半人前扱いなのだ。だが、ついにジュディも捜査に参加するチャンスが!ただし、与えられた時間はたった48時間。失敗したらクビで、彼女の夢も消えてしまう。頼みの綱は、事件の手がかりを握るサギ師のキツネ、ニックだけ。最も相棒にふさわしくない二人は、互いにダマしダマされながら、ある行方不明事件の捜査を開始。だが、その事件の背後にはズートピアを狙う陰謀が隠されていた……。
監督:バイロン・ハワード(『塔の上のラプンツェル』)、リッチ・ムーア(『シュガー・ラッシュ』)
製作総指揮:ジョン・ラセター
日本語吹替え:
上戸彩(ジュディ・ホップス)
森川智之(ニック・ワイルド)
サバンナ高橋茂雄(クロウハウザー)
日本版主題歌:Dream Ami
公式サイト:http://www.disney.co.jp/movie/zootopia.html
ディズニーさん攻め過ぎだぜ!/よしだたつき
まさかディズニー映画で全裸の開脚シーン(ノーモザイク!)を拝めるとは。まさかディズニー映画で『ブレイキング・バッド』(真面目な高校教師が余命僅かと宣告され、愛する家族に遺産を残すために、膨大な化学知識を生かして全米屈指のドラック精製に手を出してしまう話)のパロディを披露するとは。
……という小ネタの数々は今作が持つ魅力のごく一部。
肝心のストーリーはというと、今ハリウッドでホットな話題となっている「多様性」がメインテーマ。ウサギとして史上初の警官(警官になるのはライオン、スイギュウ、ゾウなどの大型動物ばかり)、キツネの詐欺師、というゴリゴリのステレオタイプを抱えたキャラクターが主人公です。この2匹がバディを組み、失踪事件を解決する謎解きの物語に発展していくのですが、彼らが差別の壁を打ち破るどころか、無意識に自らも差別社会に適応してしまっている、というのが面白くも苦々しいです。
さて、ウサギとキツネと聞いて筆者が思い出すのは、ディズニーランドの人気アトラクション『スプラッシュ・マウンテン』。そのストーリーのもとになった小説では、ずる賢いウサギがキツネ(とクマ)を打ち負かす物語が展開されます(日本の昔話でもウサギはやられキャラですよね)。そんな2匹が種の枠を超えてタッグを組む本作。ステレオタイプは時代と共に変遷していく、というディズニーからのメッセージなのかも?
申し訳ないですが、お役所仕事を表現するメタファーでナマケモノを採用したのはめっちゃ笑いました。
【プロフィール】よしだたつき
PR会社出身の肉好き草食系雑食ライター。『Variety Japan』(http://variety.co.jp/)のシニア・エディターとしても活動中。ホップスたん♪ かわいいお、ホップスたん♪
“上京あるある”が満載!/erini(エリー二)
とにかく愛らしい主人公のウサギ『ジュディ』。
動きはもちろん、映画を観ていくうちに魅力的な性格・行動力にどんどん引き込まれます。
ウサギ追いし!かわゆし!
そのほかの動物たちの動く様子も、その動物らしさが表れていて、
美人ガゼルにドキドキしたり、なまけものの表情や動きも「クスッ」と笑えます。
故郷の両親が心配して電話かけてきたり、難しい仕事につけなかったりと、
新卒で上京したての“あるある”感など、日常的な背景も魅力的な作品でした。
【プロフィール】erini(エリー二)
漫画とダンスが好物です。特技は漫画の早読み。 主にOtajoで執筆中。 ウェブサイト:http://getnews.jp/archives/author/eri
もっふもふで思わず笑顔に。親子で観て!/non
まず、登場人物である動物たちが可愛すぎて、オープニングからニヤニヤしてしまう本作。だって一番最初は子供の頃のシーンから! 小さなジュディたちが愛らしくてたまりません!
メインの2人、ジュディとニックの周りの動物たちも魅力的。かわいいという点で個人的に好きなキャラはハムスターたち。もういつまでだって眺めていたい!
また、ズートピアに行く電車にさり気なくケモ耳がついていたり、白く輝く雪原のエリアや熱帯雨林のレインフォレスト地区など、さり気なく凝った造形・RPGのような世界観にジュディと同じようにワクワクしました。
もふもふたちを観ているだけで笑顔になれる作品ですが、ストーリーもしっかりしています。自覚なく持ってしまっているかもしれない偏見、気付かずしているかもしれない差別。
大人が観ても考えさせられるところがあるのではないでしょうか。お子さんには、ぜひ観て欲しい作品です。
【プロフィール】non
アニメや可愛いものが大好き。主にOtajoで執筆中。
動物の姿の人間じゃなくて、動物たちのドラマ/wosa(おさだこうじ)
観終わったあとの、この深い深い感情は何だろう、と考えてしまいました。
今までのディズニーには無かった刑事サスペンス要素もありつつ、いつも以上に丁寧に作りこまれた感のある本作ですが、単なる“感動ファンタジー”の域におさまらない印象でした。
ご存知の通り、キャラクターたちが動物ではあるのですが、その動きもきちんと動物なのが一因かもしれません。スキンが動物で中身が人間、というパターンはあれど、動き・表情まで動物のそれを意識した作品はそうそう無いように思います。
丁寧なシナリオとディズニーのアニメーターたちのおかげで、パラレルワールド『ズートピア』やジュディもニックも、今なおきちんと存在しています!
【プロフィール】wosa(おさだこうじ)
「予備校生のような出で立ち」で写真撮影、被写体(スチル・動画)、記者などできる限りなんでも、体張る系。 「防水グッズを持って水をかけられるのが好き」などの特殊な性質がある。 好きなもの: 食べ物の写真、昔ゲーム(の音)、手作りアニメ、昭和、穀物。
これで人生が狂う子供続出か?(良い意味でネ!)/藤本エリ
本作の舞台は、人間がおらず動物達が人間の様に(と、人間を軸に考えるのが野暮なほど完成されている世界観なのですが)暮らす「ズートピア」。人間がいなくて、主人公達が会話が出来る設定となっているという意味では、筆者の個人的ピクサーNo.1作品『カーズ』(2016)とも近くて面白いなと思いました。
以前ドキュメンタリーか何かで「弱肉強食というと草食動物が不利な様に感じるが、絶滅危惧種のほとんどは肉食動物であり、そういう意味でどちらの立場の方が弱いのだろう」という事を知り、興味を持っていたテーマであったので、まさかディズニー・アニメーションでその事について考えさせるとは思いませんでした。これって人間にも言えると思うんですけど、個が持つ力よりも“集団”の方が強いみたいな……、いやあ、本当に深いです。
とはいえ、作品のテイストはとてもポップでキュートでエキサイティング! 思い切り笑えて驚いて萌えるエンターテイメントとなっているので、まずはポップコーン・ムービーとして楽しんで、その後主人公達に色々思いを馳せてみるのが良いのでは無いでしょうか。
ウサギのジュディとキツネのニックのバディは、恐ろしいほどに魅力的。特にジュディの可愛さは異常で、これによってケモナーになる子供が多発すると思うと胸がアツくなりますな。そして、日本語吹替えがどれも素晴らしかったのも特徴。特にニック役の森川智之様は筆者も今からケモナーになってしまうかと思うほど素敵でした!
【プロフィール】藤本エリ
映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。
コメント
コメントを書く