2016年4月10日(日)東京都立産業貿易センター台東館。エレベーターへ乗り込んできた男性が5階に到着してドアが開いた途端につぶやきました。
「ニャンフェス? なんじゃこりゃ」
にぎやかな会場とポスターを見て興味がわいたのでしょう。同乗していた私は思わず答えていました。猫のグッズや猫がつかうグッズをつくったひとたちが集まるイベントです、と。
そんなわけで全国から猫好きクリエイターが集うイベント『ニャンフェス3』に行ってました。
ニャンフェスは、猫好きによる、猫好きのための猫作品の展示・販売会です。
ハンドメイドを始めたばかりの方から、プロで活動されている方、店舗・ギャラリーの方まで、 猫に関する雑貨や絵、本、写真などのオリジナル作品が並びます。
回を追うごとに規模は大きくなり創作物の販売だけではなく猫の写真展『ネコフォトコンテスト』や、猫をテーマにした楽曲を演奏するバンド演奏なども催されて多彩な盛り上がりを見せています。今回出展された出展者は約250組。今回は特に作り手の『てざわり』が感じられる作品を出展されていた6組の作家の皆さんにお話を伺ってきました。
ニャンフェスあわせで製作 ~モココハウス様~
TOP画像にも使わせていただいた羊毛フェルトの猫たちを出展されていたのはモココハウス様。
羊毛フェルトの造型がつぶらでどこか懐かしく感動ものです。普段はいろいろなモチーフの羊毛フェルトを製作されているそうですが、今回はニャンフェスあわせでずっと猫をつくっていたとのこと。猫の造型は丸と三角でできていますよね、と伺ってみたところ、実は羊毛づくりでお顔の部分の丸をつくるのは簡単で耳をつくるのが意外に難しいとのこと。丁寧に作られた猫たちはは大人気。記者も実はひよこポシェットをさげた猫ちゃんをひそかに狙っていたのですが、既に売り切れでした。いやはや考えが甘くございました。しかし無事に愛するキジネコと同じ柄の子のアクセサリーを入手。市販にはない愛猫に似ている柄の子のグッズが入手できるのもニャンフェスの良さです。小さい子にも喜ばれる羊毛フェルト。にゃんこのあたたかみが再現されているだけでなく額や招き猫のアイテム感も素敵です。
普段も使えるように ~CHOCOKUMARON様~
アンティークの風味に特化した猫雑貨を出展されていたのはCHOCOKUMARON様。雑貨のひとつひとつだけえなくディスプレイにまで世界観が感じられる作品群は胸が熱くなります。お話を伺ってみると元々は服飾関連のお仕事をされていてオリジナルの作品をつくらないのかまわりの方に聞かれていたそう。作者の方はチョコ・クマ・マロンという猫を飼っています。例えばアンティークといえばエッフェル搭や鍵を用いた素材が広く用いられているものですが、オリジナルにするならうちの子にすればいい、という着想だったそうです。テイストは普段から自分でも使えるよう落ち着いた雰囲気に。飼い猫をモチーフにするだけでなく猫好きでなくてもほしくなるようなオトナ感が魅力です。
記者は愛猫との思い出の物が入れられそうなこちらの小箱を入手させていただきました。紙で巻いただけではなくきちんとワックスコーティングされているとのこと。丁寧なお仕事に感激です。
すべてシャーペンで書いている ~美紀羽天使(養成)妖精事務所様~
愛らしいだけではない何かがあるキャラを製作されていたのは美紀羽天使(養成)妖精事務所様。強烈で最強の猫キャラがそこにはいました。作者の方の飼い猫さんをモチーフにした「あむ王国のあむ王子あむタン」です。モデルのあむタンはアメリカンカールという種類で本当に悪魔の角のような子がモデル。ちゃんとキャラ設定があるとのこと。
精神年齢 3歳
事務所公式年齢 50歳
実年齢 70歳
趣味 おやじギャグ
もう猫を超越していらっしゃる。吸い込まれます。実はこちらのイラストすべてシャープペンシルで製作されているとのこと。持ち味に隠された技能に驚愕です。全国の都道府県名物とあわせて綴られているポストカードはひとつひとつツッコミたくなる面白さ。
確かに全国のおみやげ屋さんにキティちゃんと並べられるようなおとなしさはありません。しかしこの飛び出してくるアクの強さはヴィレッジヴァンガードさんあたりに置いてあったらはまること間違いなし。尻の感じやドヤ顔は猫好きにはびんびん伝わってくるものがございます。
すきなモチーフと猫をあわせて ~伊藤彩恵子様~
プロのイラストレーターとして活躍されているのは伊藤彩恵子様。一筆箋や缶バッヂなど使い勝手のよさそうなグッズ類からミニ原画や手描き鳥模様猫扇子などじっくり楽しめる雑貨類の列挙に思わず顔がほころびます。わけても群を抜いていたのはこちらの「切手」です。珍しいですよね、と伺ってみたところ切手を作っているひとはなかなかいないとのこと。手数料がかかるそうです。(作れば)ご自身でも使えるので、とのお話。確かにクリエイターの方がDMなどにイラストのついた切手を使えばアイコンにもなります。発想が洒脱です。
こちらがその切手シート。他にも色々と買いこんでしまいました。
それにしても星空や花、パンなどとの組み合わせが愛らしいです。すきなものと組み合わせて描いていらっしゃるとのこと。パンについては色をだんだん変えていったそうで現在の色に落ち着くまで苦心された模様。パンに囲まれ遊園地のごとく自由に無邪気に遊ぶ猫のイラストがたまりません。伊藤さんのサイトにはパンの習作イラストも公開されていて見ているだけでも和みます。素敵な作品が表に出るまではさまざまな道程を経ているんですね。
きっかけは首輪だった ~キスキスコーシュカ様~
ニャンフェスで扱っているのは猫をモチーフにした雑貨だけではありません。こちらは猫が遊べるグッズや猫用マットなどを製作されているキスキスコーシュカ様。レトロでポップなヴィンテージ生地やフェルトのグッズが盛りだくさんで見ているだけで楽しくなります。マタタビが入っているものもあり丁寧な作りで安心して使えそう。グッズ作りのきっかけは首輪だったそうです。記者も覚えがありますが市販の首輪は実は重かったり硬かったりするため、猫に負担がかかってしまうことも。それきっかけとなり様々な猫おもちゃを仕立てるきっかけに。うちの子がつかえるように、という愛が起点というわけです。買うときにはきちんと遊び方についてのペーパーも添えてくださいました。早速猫に遊ばせてみました。猫は記者の私物(?)です。
この画像はまだ愛らしい表情を保っていましたが、与えてすぐの時点では気でもふれたかといわんばかりの狂喜乱舞の遊びっぷりでした。なかなか公共通信に掲載できる表情が撮影できなかったことを特筆しておきます。しっかり玩具として喜ばれていました。
普段は木工の職人をしていて ~公房やにわに様~
なんともとぼけた味わいの木工猫ちゃんたちを出展されていたのは公房やにわに様。ひとつひとつの木目が猫の色柄を想起させる木工作品群があたたかな雰囲気を醸していました。猫のフォルムを保ちつつも小さい子も喜びそうな味わいに脱帽です。
分けても面白いのはこちらの木工玩具。しっぽを回して平面に置くと……。
ゆっくりゆっくり転がります。
作者の方は実は普段木工のお仕事をされているとのこと。老練の職人さんが昔こういうおもちゃがあったと教えてくれたそう。それを猫にすればという着想から製作されたとのこと。スロウに転がるさまにとても癒されます。忙しいとき、叱られたときなどはぜひこれを机に置いてこっそり転がしたい。ストレスから開放され失われた心と時間を取り戻せそうな良い「転がり」でした。猫そのものではないのに猫といるときの時間の流れを再現している感があります。猫が好きだからこそ再現できるこの玩具、玩具以上の味わいがあります。
猫好きクリエイターよニャンフェスへ!
総じて皆さん、「うちのこをモデルに」「うちのこに使わせれば」「自分でも使える」といった猫への愛が創作のきっかけになっている点が共通していました。今回まわりきれなかった作家さんのもとにもまた是非伺ってお話を聞いてみたいものです。
全国の猫好きよ、ニャンフェスに集おう。
ニャンフェス
http://nyanfes.com/ [リンク]
【取材協力】
モココハウス様
http://mocohouse2012.blog.fc2.com/ [リンク]
CHOCOKUMARON様
http://chocokumaron.cart.fc2.com/ [リンク]
美紀羽天使(養成)妖精事務所様
http://ameblo.jp/nekonooujisama/ [リンク]
伊藤彩恵子様
http://itosaeko.jimdo.com/ [リンク]
キスキスコーシュカ様
http://kisskiss-kowka.net/ [リンク]
公房やにわに様
http://ameblo.jp/yassu0816/ [リンク]
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(執筆者: 小雨) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか