『アーロと少年』
【ストーリー】
巨大隕石の墜落による恐竜絶滅が起こらなかったらという仮説に基づき、恐竜が地上で唯一言葉を話す種族として存在している世界。兄や姉に比べて体も小さく、甘えん坊の末っ子アーロは、何をするにも父親がいてくれないと始まらない。そんなある日、アーロは川に落ちて激流に飲み込まれ、家族から遠く離れた見知らぬ土地へと流されてしまう。ひとりぼっちの寂しさと不安にさいなまれるアーロは、そこで自分と同じ孤独な少年スポットと出会い、一緒にアーロの故郷を目指す冒険に出る。
監督:ピーター・ソーン
製作総指揮:ジョン・ラセター
リー・アンクリッチ
アンドリュー・スタントン
日本版エンドソング:Kiroro
公式サイト:http://www.disney.co.jp/movie/arlo.html
草食は群れをはぐれたらあかん!/erini(エリー二)
草食恐竜の主人公「アーロ」。びびりで怖がりという性格なのですが、本来は草食動物に備わってる必要な本能では?
何回か見るとまた、違った味わいになりそうな不思議な映画です。
また、作品映像は優しい風合いでありながらも、 自然の恐ろしさ、厳しさが描かれており、圧巻! 「いつ食うか、食われるか」のドキドキハラハラシーンが多々あります。
【プロフィール】erini(エリー二)
漫画とダンスが好物です。特技は漫画の早読み。 主にOtajoで執筆中。 ウェブサイト:http://getnews.jp/archives/author/eri
実写レベルの風景! 過酷な状況で生き抜くアーロの柔軟性と適応力がすごい/non
まず本編が始まった瞬間思うのが、映像がめちゃくちゃキレイ! すげえ!!! ということ。もうほぼ実写! 植物も凄いですが、特に水。実写って言われても気付かないかも……と思うくらい水そのもの。卵の殻の質感なども、触ったらどんな感じか想像できるくらいリアルな質感で、細部まで目を凝らしてしまいます。そんな実写のようなリアルさのなかに、少しコミカルなデザインの恐竜たちがいるのがアニメなんだな、と感じさせてくれる。
そしてCMや予告映像では、恐竜アーロと少年スポットの異種間の友情というハートフルな物語のように見えますが、実はけっこうショッキングなシーンが多数! ディズニー作品は、『白雪姫』や『ピノキオ』などちょっと怖いシーンが含まれている作品もあるので、最近の作品が生ぬるかったのかもしれませんね。
少しわがままなで気弱なアーロ。いつも逃げ腰な性格も、そこは“まだ子ども”と思ってみれば素直に受け入れられるはず。むしろ、自然の苛酷さ、そこで生き抜くために強くならなければならない、という必然性を通して成長するアーロを応援したくなります。なんだかんだ、やっぱり最後は感動しない人はいないんじゃないでしょうか?
ネタバレになるので言えませんが、筆者的には、あの境遇でアレを受け入れたアーロって懐が深いというか、偉いなぁ、と思います。体力・精神ともに限界のところを助けてもらったから、ではあるのですが、私は素直に受け入れられるかなぁ……。
【プロフィール】non
アニメや可愛いものが大好き。主にOtajoで執筆中。
ピクサーだからとハードルの上げ過ぎは禁物か/よしだたつき
アニメーション映画としては満足……ですが、ピクサー映画としてはちょっと物足りなかった印象でした。今作を簡単に説明するなら、家族と離れ離れになった子ども恐竜が、新たな出会いの中で成長を遂げ、亡き父の代わりとなるために家に帰るまでの物語。恐竜版『ライオンキング』と言ってもいいですね。
しかし、作品全体の空気感は『ライオンキング』ほど愉快じゃないし、ホームから離れてしまった経緯、そこに帰らなければならない物語上の理由がイマイチ。そしてなんと言っても、主人公アーロにあまり魅力を感じることができず……。ほぼ終盤まで、何に対しても怯え、困惑し、すぐに怒り出す、ピクサー史上最も共感しにくい主人公でした。「自分より大きな物事を成し遂げる」ことが家族の一員としては認められる条件、というアーロ父の提唱する家訓にも抵抗を覚える人が多いのでは? むしろ、Tレックスのブッチ(CV松重豊)が、アーロ父よりもめちゃくちゃ良いことを言います(感涙)。
……と、ピクサーだからと言ってハードルを上げてしまった結果、厳しいことを言ってしまいましたが、前述の通りアニメーション映画としては満足の作品でした。恐竜が絶滅せずに独自の文明を築いていたら? という、あり得たかもしれない別の世界観にはワクワクしたし、壮大な自然をリアルに描いた映像美には圧倒されました。親子で観に行って素直に楽しめる作品には違いありません。
【プロフィール】よしだたつき
PR会社出身の肉好き草食系雑食ライター。『Variety Japan』(http://variety.co.jp/)のシニア・エディターとしても活動中。先日のピクサー・イン・コンサートにも言ってきたよ♪
アーロが可愛く見えるか見えないかは……あなた次第!/藤本エリ
昨年のエグいほどの出来(もちろん褒めてる)だった『インサイド・ヘッド』と比べると、良くも悪くもあっさり気味の本作。途中にちょっとしたビックリはあるものの、思った通りの展開でキレイに集結する真っ当なアニメーションです。筆者はピクサー作品は全て公開日もしくは試写会で観てますが、たまにはこういう安心して観れるアニメがあっても良いのでは無いでしょうか。寿司食べてると途中でカッパ巻にほっとするのと一緒、焼肉の後のワカメスープ的なね。ただ、ピクサー作品で初めて観るのが『アーロと少年』という方には「ピクサーはこんなもんじゃないぜ」と言っておきたい(誰?)。
主人公アーロを可愛く見えるか、きも……可愛くはないと感じるか、人それぞれの感覚で左右されそうな作品ではありますが、“ダメ派”だった人も映画を観ているうちに可愛く見えて来る人は多いと思います。これぞピクサー・パワー。そして何よりも、アーロが途中で出会うTレックスの親子がとても魅力的です。ピクサー、ディズニー作品はサブキャラが毎回素敵で、場合によっては主人公を凌駕する人気を獲得する事もありますが、本作のTレックス親子は確実にそれでしょう。
アニメーション技術やCGの美しさは文句無し! kiroroの日本語版エンディングテーマは「超ベタじゃん!」と心でツッコミながらも、涙してしまう名曲。良いものは良い。
【動画】『アーロと少年』Tレックスのやんちゃすぎる武勇伝
https://www.youtube.com/watch?v=z13s19XoXFg
(C)2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
コメント
コメントを書く