ものすごいスケジュールだった。
夕方まで東京で取材をして、翌朝10時に熊本で取材、そしてその日夕方にはまた東京で取材という、綱渡りのスケジュールを有効かつ効率的にするにはどうすればよいのか。
熊本で開催された『2016くまもと 地域振興フェア』の取材記である。
夕方から航空機で熊本に飛んで前泊というのが普通だろうが、いったん帰宅し準備をしてから羽田空港に行っていたのでは時間がなさすぎる。
そこで記者は、東京駅を22時に出発する寝台特急サンライズ瀬戸・出雲で岡山まで行き、そこから山陽・九州新幹線で一気に熊本入りするルートを選択した。
そうすれば前泊なしで9時過ぎには熊本駅に到着できる。
カーペットだけの普通車指定席を除けば全室個室のサンライズは明朝6時27分に岡山に到着する。ここで14両編成の285系電車は分割され、高松と出雲市へそれぞれの道を歩む。記者が乗車した列車はJR西日本所属の編成だった。
その列車分割は、鉄チャンでなくてもこの列車の一大イベントだ。見物客で早朝にもかかわらず大盛況。
しかし、ぐずぐず撮影している暇はない。
新幹線乗り換え改札に急がなくてはならない。
鹿児島中央行きのみずほ601号が定刻で到着した。山陽・九州の直通新幹線は、ひかり号に対応するのが「さくら」、のぞみ号に対応するのが「みずほ」と考えればよい。
N700系7000番台はJR西日本の車両だ。
そして9時4分に熊本駅に到着。
ここから九州産交バスで会場であるグランメッセ熊本に向かう。
肥後銀行と熊本産業文化振興共催の「2016くまもと地域振興フェア」のコンセプトは次の通りだ。
本フェアは、当行の地域活性化への具体的な取り組みとして開催するもので、『熊本の魅力と可能性を世界へ発信』をコンセプトに掲げ、“熊本の地域の力”、“熊本の「農」の力”、“熊本の可能性”の3つのゾーンを設けた、新しい趣向のフェアです。
地域振興のイベントはいくつも開催されているが、それを東京や大阪ではなく地元で開催するというのは珍しい。
地域再発見という意味合いも含まれているのだろうか。
「森のくまさん」をはじめとした熊本のお米を紹介するコーナー。
「東京や大阪でのイベントにも行きますよ。熊本のお米の魅力を伝えるためにたくさん勉強しました!」
と語ってくれたキャンペーンガールの二人。
記者の目の前に巨大なタワーが出現した。コンパニオンさんに話を聞いてみた。
「これは、熊本県産の野菜だけで作ったタワーです。大きいでしょう?」
巨大ベジタブルタワーといったところか。見ると本当に野菜が詰まっていて面白かった。
今度は、果物が詰まったオブジェだ。
これらのオブジェは自由に撮影ができるようになっていて、来場者も思い思いに撮影を楽しんでいた。
イチゴのスムージーを売っていたので、購入して前出のオブジェの一画にある「イチゴ畑」の中で撮影。
甘酸っぱいイチゴが口いっぱいに広がる、濃厚なしかしさわやかなスムージーだった。
九電工が販売するオリーブオイル。
写真右のものは通販でも購入可能だが、左の陶器入りのものは九州でしか買えない限定品。
しかも、この高級オリーブオイルはJR九州が誇るクルーズトレイン「ななつ星」において二日目の朝食で供されるほどの品。
パンにつけて食べてみたが、エキストラバージンなので新鮮すぎて逆に青青しい香りが鼻孔をくすぐり、オイリーさは皆無だった。
イベントで温泉を持ってくるというのはもはや定番かもしれないが、ここでは熊本県の複数の温泉から持ってきているのが特筆すべきところ。
コンパニオンさんに聞いてみた。
「1つではなく複数の温泉を流していますので実際に手に触れて、違いを実感していただいたらと思います」
足湯ならぬ「手湯」ではあるが、雰囲気は抜群。このまま温泉に行きたい気分を押し殺して取材を続けた。
もう、残り時間は少ない。
九州らしく、すべてのオブジェがでかくて豪快なのが特徴。
せっかく来たのだから、せめて熊本の美味しいものでも食べないと、東京には帰れない。
ということで、途切れることのない大行列の中で購入した「赤うし」1頭分を使って限定販売された牛丼とステーキの弁当。
これで心残りはない。
熊本空港に急ぎ、12時55分発のNH646便で羽田に戻った。
16時間30分の0泊2日の弾丸取材旅行だったが、福岡出身の記者から見ても熊本には食や自然の魅力は多い。
おおらかな人柄と、阿蘇をはじめとする大自然に育まれた豊かな食文化。
九州に旅行先を決めた際には、ぜひ各地の温泉で日ごろの疲れをいやしながら、素朴だが伝統のある熊本の食を実感してほしい。
※写真はすべて記者撮影
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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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