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大勢の人がひっきりなしに行き交うロンドンのパディントン駅。通路のはじっこでひとりぽつんと立っている小さなシルエットを見かけたらどうしますか? すごくていねいな言葉づかいであいさつをしてきたその相手がクマだったら? 

赤い帽子に青いダッフルコート、立って歩くクマといえば、もうおわかりですね。原作者マイケル・ボンドにより1958年に誕生して以来、ありとあらゆる人から愛されているクマのパディントンが、なんと実写で映画化されて世界中で大ヒット!

映画は、パディントンの生まれ故郷ペルーで幕を開けます。なぜ英語をしゃべれるようになって、どうしてロンドンに来たのかというパディントンの驚くべき秘密が明らかに。大好きなマーマレードの瓶を持てるだけ持って、遠いイギリスにやっとたどり着いたものの、思いもよらず冷たかった世間の風。なんとかブラウンさんのおうちに泊まれることになったパディントンでしたが、ずっと憧れていたロンドンでの生活は、見るもの聞くものすべてが初めてのことばかり。絵本作家の奥さんはやさしいけれど、ブラウンさんはきちんとした生活のペースを乱されて、早くパディントンが出て行ってくれないかとやきもきしていましたが……。

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いままでもセルアニメや人形アニメになっているパディントンですが、今回は初の実写化。造形は最も有名なペギー・フォートナムの挿絵と本物のクマをベースにCGで作られましたが、そのモフモフ感は想像以上です! 

出演は、英国を代表する俳優たちが勢ぞろい。パディントンの声は『007 スカイフォール』のQ役で大ブレイクし、続く『スペクター』でも大好評のベン・ウィショーが演じているのですが、その飄々とした話し方は、違和感がないどころか、これ以上の適役がいないと思わせるほどのベストマッチ。実はもともとコリン・ファース(『英国王のスピーチ』でアカデミー賞受賞、最新作『キングスマン』)で製作が進んでいたものの、監督とコリンの両方が満足せず、友好的に仕切り直したそうです。まじめなブラウンさん役は『ダウントン・アビー』のグランサム伯爵役でおなじみのヒュー・ボネヴィル。個性的なファッションも楽しいブラウン夫人は、イギリス映画にはかかせない女優のサリー・ホーキンス(『ブルージャスミン』)。さらにハリー・ポッターシリーズのファンの方々には耳寄りな情報が! 家政婦役でロンの母モリー、骨董品屋のご主人はホラス・スラグホーンが出演。そしてパディントンの叔父さんと叔母さんには二代目ダンブルドア校長とドロレス・アンブリッジが声をあてているので、しっかり聴いてみてくださいね。

そして本作の大悪役、パディントンを狙う謎の美女をニコール・キッドマンが演じますが、立ち向かうパディントンのアクションシーンは、ある大ヒット映画へのオマージュ感たっぷり! ハラハラしたり、ホロっとしたり、ただ可愛いだけじゃないパディントンの大活躍は、老若男女の区別なく、文句なしに楽しめることうけあいです。

ちょっとだけ本物と違うロンドンの風景や、ドールハウスのような可愛いインテリアなど、他にも見所が満載。エンドマークが流れた時に「もう一度観たい!」と思う人が続出することまちがいなし! 原作者のマイケル・ボンドも大絶賛という、この冬一番ハッピーな作品をお見逃しなく。ちなみに彼はパディントンに挨拶をする紳士役で一瞬出てきますので、ぜひスクリーンで探してみてください。

【著者プロフィール】♪akira
WEBマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」(http://www.targma.jp/yanashita/)内、“♪akiraのスットコ映画の夕べ”で映画レビューを、「翻訳ミステリー大賞シンジケート」HP(http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/)では、腐女子にオススメのミステリレビュー“読んで、腐って、萌えつきて”を連載中。AXNミステリー『SHERLOCK シャーロック』特集サイトのロケ地ガイド(http://mystery.co.jp/program/sherlock/map/)も執筆しています。

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