12月23日より公開された映画『クリード チャンプを継ぐ男』。既に鑑賞済みの人であれば、『ロッキー』シリーズの熱き魂が、確実に、そしてこれ以上ない方法で継承されたのを目撃したことだろう。
ガジェット通信はこのたび、“浪速のロッキー”こと元プロボクサーの赤井英和さんと、その息子で現在はアマチュアボクサーとして活躍する赤井英五郎(えいごろう)さんを直撃。あのロッキーが親友アポロ・クリードの残した息子アドニスと共に世界チャンピオンを目指す本作について、熱い思いを語ってもらった。
ちなみに、現在21歳の英五郎さんは今年アマチュアボクシングでデビューしたばかりだが、先日行われた全日本選手権ミドル級でいきなり準々決勝まで進出。これからの活躍が期待されるまさに“チャンプを継ぐ男”なのだ。
――ボクサーを志す人にとって、『ロッキー』は特別なシリーズだと思います。特に、“浪花のロッキー”という愛称で呼ばれた赤井さんにとっては思い入れの強い作品ではないでしょうか?
赤井英和さん(以下、英和):私がプロでリングに上がっていた頃は、ちょうど『ロッキー3』が上映された時期でした。マスコミの方が付けてくれた“浪速のロッキー”という愛称と共に認知も広がって、看板を付けていただいたようなもんですよね。まさに人生を支えてくれた映画です。その愛称がなければ、私なんか普通の選手ですよ。
――その『ロッキー』シリーズの最新章となる『クリード チャンプを継ぐ男』をご覧になっていかがでしたか?
英和:『ロッキー』シリーズは全て観てきましたが、今作のファイトシーンは特に迫力がありました。本物の試合を観戦しているようでしたし、ミット打ちのシーンひとつとってもリアルさを感じました。あとは、戦う男のそばには愛する女性がいて、いつも支えてくれている、というのがシリーズを通して温かさを感じるところですよね。
赤井英五郎さん(以下、英五郎):僕は直撃の世代ではないですが、シリーズはすべて鑑賞しています。世代を越えて愛される作品ですよね。40年前の1作目と比べると、当然ながら映像がきれいで撮影技術も進化しています。でもやっぱり、「『ロッキー』を観た!」というあのテンションはそのままだと思います。その魂はしっかりと受け継がれていて、“あの音楽”も最高でした。
――アドニスが父アポロの試合映像を観ながらシャドーボクシングする場面がありましたよね。英五郎さんもそんなことを実際にやってみたことはありますか?
英五郎:あそこまでテンションは高くないですけど(笑)、もちろん父の試合映像は観たことがあります。僕は父の現役時代の姿を知らないので、そういう点では今回の映画と共感できる部分がありました。父親の背中を追う姿に心境が重なる部分がありましたね。
――英五郎さんは、映像製作の勉強もされていると聞いたのですが。
英五郎:映像関係は興味がありますが、独学で勉強しているだけです。米国の大学では物理を専攻していて、エンジニアになるための授業を受講しています。将来的に何になりたいかまだ分からなくて、それをじっくりと考える時間を作ろうとしばらく日本に帰ってきました。
――ボクシングも含めて、これからどの道に歩むのかを考えていくわけですね。英和さんから見て、息子さんはどんなボクサーですか。
英和:とにかく気持ちの強いボクサーですよ。ボクシングはいくら防御が上手くても勝てないから、ヒットしてポイントを奪わなければならない。打たれることを恐れず、攻めていける選手です。(全日本選手権では)アマチュアながら、プロ以上に沸いた試合をしてましたね。
――一緒にトレーニングもされているんですよね。今作で言えば、アポロ的な存在であり、ロッキー的な存在でもあるわけですね。
英和:試合の時はリングの下で見てるだけなので、自分がリングに上がった方がマシくらいの気持ちでハラハラしながら応援してました。それでも、息子がボクサーの道を選択してくれたのは本当に嬉しかったです。
――劇中のアドニスは親の名前に反発したり、プレッシャーを感じたりしますよね。
英五郎:それこそ、プレッシャーがあったから昔はボクシングを避けていたんです。というより、興味がありませんでした。スポーツは日本にいた頃にラグビー、留学先ではバスケットボールやアメフトをやっていて、ラグビーはワールドカップに出場したいくらいの熱を持って取り組んでいました。アメフトに関しては大学のオファーを受けたりもしたので、その時々で常に本気でチャレンジしてきたつもりです。だからボクシングも、僕としてはいつも通りに始めてみた競技のひとつですが、たまたまお父さんがプロボクサーとして名を上げていた、というだけだと思うようにしています。
――スポーツ万能で秀才で、アドニス顔負けの完璧さじゃないですか! やはり共感を覚えるシーンは多かったでしょうか?
英五郎:アドニスは「父親なんて関係ない」と言いながらも、本心では父親の名前を汚したくないとも思っています。でもクリードという苗字は父親だけではなく自分の名前でもあるんだ、誰のためでもなく自分のためにリングに上がるんだ、という彼の心境は非常に共感できたし、勇気をもらいました。
――観る人によって、いろんな場面で勇気をもらえる映画ですよね。
英和:何かにトライしたいと観客の熱を高めてくれますよね。夢は叶うもんや、実現するもんや、と実感できる作品だと思います。
英五郎:アドニスだけじゃなく、ロッキーにも、アドニスの彼女ビアンカにも、相手選手のチャンピオンにも、全員に戦う理由があるんですよね。そのためには周りの支えが必要なわけで、観る人によっていろんな場面で感情移入できる作品だと思います。
――まさに万人が見るべき作品、ということですね。本日は、ありがとうございました!
(撮影:wosa)
『クリード チャンプを継ぐ男』予告編(羽佐間道夫Ver.)
https://youtu.be/eQHPaLNHqso
『クリード チャンプを継ぐ男』公式サイト:
http://www.creedmovie.jp
(C)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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