12月18日(現地時間)に劇場公開された映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の覚めやらぬ興奮にも関わらず、少なくともあるひとりの男は米ディズニーに対してあまり快く思ってはいない。クエンティン・タランティーノ監督だ。このオスカー受賞監督は、12月16日(現地時間)のハワード・スターンのシリウスXMのラジオ番組の中で、ディズニーに向けて「わざわざ潰してしてくれたね」とコメントした。
「本当に悪い知らせだった。そして本当に腹が立った」とタランティーノ監督はスターンに言った。
なぜタランティーノ監督が怒っているのだろうか。監督によると、ディズニーがアークライト・シネマズを強奪したという。J・J・エイブラムス監督の映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の上映のために、タランティーノ監督が70mmフィルムで撮影した映画『ヘイトフル・エイト』がロサンゼルスの有名な劇場シネラマ・ドームから追い出されたという。タランティーノ監督の説明によると、アークライト・シネマズはディズニーに『ヘイトフル・エイト』をシネラマ・ドームでクリスマスに上映すると申し出たが、ディズニーは、もし『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』がこの劇場で上映できないなら、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』をアークライト・シネマズ系列の全劇場から引き上げると脅迫したという。
「これは本当に悪意がある、強奪だ」と、タランティーノ監督は付け加えた。
タランティーノ監督は特にこのアークライト・シネマズを崇めているという。『ヘイトフル・エイト』の初回劇場公開は12月7日にシネラマ・ドームで行われた。しかも、同作のオープニングのクレジットタイトルにはシネラマのロゴが表れた。
ディズニーがミラマックスを所有していた当時、タランティーノ監督は、全世界の興行収入3億3300万ドルを稼いだ映画『キル・ビル』の2作品や、全世界の興行収入2億1390万ドルを達成した映画『パルプ・フィクション』をディズニーで公開し、同社にかなりのお金を落としたと付け加えた。タランティーノ監督は、彼の不満はエイブラムス監督にあるわけではないと説明した。「僕はJ・Jのことが大好きだ。『スター・ウォーズ』の人たちに向けて言っているわけではなく、ディズニーの人々へ向けてだ」と言った。
タランティーノ監督は、この冬のホリデーシーズンには映画『Joy(原題)』、映画『Sisters(原題)』、マーク・ウォールバーグとウィル・フェレルの出演映画『Daddy’s Home(原題)』など、多くの人気作品が公開される一方で、自分の作品を含めてこれらの映画が『スター・ウォーズ』の競争相手にはなり得ないということには納得している。
スターンはタランティーノ監督にエイブラムス監督がこの問題を解決すると保証し、ディズニーのCEOボブ・アイガーがこの番組の敬けんなリスナーだということに言及した。スターンは、「こんなことがディズニーの利益に影響を与えるわけはないだろう」「ディズニーはこんなことをする必要はなかったはずだ」とコメントした。
スターンは番組の中でアイガーに呼びかけた。「聞いてくれ、ボブ。この劇場のことはどうでもいい。クエンティンは変人だよ、すまないクエンティン。彼らはばかげた70mmのフィルムで映画を作った。そして、クエンティンはこの劇場を大切に思い、ただ、このすごい映画をここで公開したいだけなのだ。あなたは今、世界の頂点に座っている。あなたは『スターウォーズ』を持っている。そのうえ、他に何が欲しいの?」
続けて、「ボビー、寛大な人になってほしい。私はクエンティンにこの新しい映画を公開して欲しいんだ。彼はすごい仕事をした。彼は機材が欲しい。憎にくしいだろうが、私のためになんとかしてくれないだろうか? クリスマスのお願いだよ」と訴えた。
アークライト・シネマズは12月15日(現地時間)、シネラマ・ドームにクリスティのデュアルヘッド6Pレーザープロジェクターとドルビー3Dを導入をすると発表し、『スター・ウォーズ』の公開にぎりぎり間に合わせることができた。平均的な3Dのプロジェクション・システムの2倍以上の明るさで映写できる。
スターンは最近、シリウスXMラジオと自身の4時間番組と新しいストリーミング・ビデオの5年契約を結んだ。
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