見た目は可愛らしい中年ウサギの“スタンプ”が主人公の本作。“ポンコツ”と名づけられたマシンに乗り、人類の時代が終わったポストアポカリプスの世界で遺跡探索を繰り広げるゲームとなっている。
発売日の決定と共に、スタンプ役を務める声優が黒田崇矢(ゲーム「龍が如く」シリーズの桐生一馬、アニメ「呪術廻戦」の夜蛾正道など)であることも発表。また、主人公の旅の途中で現れる「錆掘り集団」である“BB団”や、ブラス村の住人(住兎?)役の声優陣も明らかになった。
今回は、NetEase Games東京オフィス内で催されたメディア向けの発表と試遊会の模様をレポートしていく。
まず遊んでみて特に印象深かったのが、スタンプが操る“ポンコツ”のドッシリとした重量感だ。ズシンズシンと進んでいく様は、軽快すぎることもなく、かと言って重すぎることもない。アクションがメインということもあり、ほどよい操作感になっている。
もちろんジャンプしたり、壁を蹴って上に登っていったり、さらにワイヤーを引っかけて高く跳躍したりするといったアクションも豊富。加えて、ダッシュしながら障害物となる壁を一気にドリルで掘り進めていく爽快感もある。
また、遺跡内に潜むメカ系の敵との戦いの際には、ドリルはもちろんナタやショットガンなど武器を変えて挑むことも可能で、メカとしての性質をプレーイングでもしっかり感じ取れるようになっていた。
本作には、XPを稼ぐことで“ポンコツ”のレベルを上げたり、スキルを解放していったりという「メカを自分好みに育てていく楽しみ」もある。XPは敵を倒すだけでなく、壁を壊した際にも得られるので、戦闘が苦手なプレイヤーでもどんどん強化していくことが可能だ。
今回の試遊では、ボス戦にも挑むことができた。戦闘中は天井から岩が降ってきたりもするが、どこへ落ちるかは事前にマーカーが表示されるので、プレイヤースキル次第ではうまく立ち回って回避できる。
ボスもダメージが蓄積すると一時的に「頭に星がくるくる回る」という、いわゆる気絶したような状態になることがあり、攻めるチャンスがわかりやすくなっている。ユーザビリティには考慮された上で、しかしユルすぎることもなく、探索型のアクションゲームとして歯ごたえある難易度で設計されていると感じる。
なお本作は、横スクロールでありながら世界観やストーリーもしっかり作りこまれており、そうした意味ではアドベンチャーゲームにも近い面白さがある。
今回の試遊中にもさまざまな場面でBB団のメンバー達とやりとりするシナリオが楽しめた。どのキャラクターも、ちょっとした短いシーンでイキイキとしたキャラクターの個性が感じられるのは、さすが脚本家・虚淵玄の作品だ。
中でも筆者が気に入ったのは、最年少キャラのレッキス(声:鬼頭明里)だ。遺跡から見つかる「ガラクタ」の声が聞けるという能力が備わっているようで、こちらが見つけたガラクタを急に奪い取り、主人公をイラつかせるシーンがあったが、レッキス自身に悪気はない。子供が大人の持ち物に興味を持って「ちょうだい!」と言うような純粋な感覚だ。まるで「頑固おじいちゃんとわんぱくな孫」を見ているようで微笑ましく、その先の物語でも2羽のどんな絡みがあるのか楽しみになってしまった。
また、今回は虚淵と本作のプロデューサーにインタビューする機会にも恵まれた。
本作は元々、虚淵が趣味としてUnityで作り始めるところから始まっているそう。氏が個人制作を進めていた時点で、すでにストーリーや世界観については出来上がっていたという。なお、着想を得たのは原型師のmightyさん(@almighty0404)が制作して過去X(旧Twitter)へアップしていた「シルバニアファミリーの人形がロボットに乗っている写真」からとのことである。
[完成]シルバニアファミリー+ジャンクロボ かむかむレモンの容器、懐中電灯の部品、ガンプラ部品でシルバニアが乗れるメカ作成。どうせならということでウサギも自分好みに改造!_(:3 」∠)_ #シルバニアファミリー #創作メカ pic.twitter.com/M8la02IDQk— mighty@受注仕上げ作業&発送 (@almighty0404) December 26, 2015
「愚痴っぽいおじいさんの厭世観と、世界観をリンクさせたい。人生の境が終わってしまったと思っている主人公が、愚痴を言いながら旅をしていく。それが“人の時代が終わった廃墟の世界”というコンセプトにつながっている」と虚淵。
ただプロデューサー曰く、そこからさまざまに肉付けしていく中で、あまり悲壮感や絶望感を感じさせない作りにするのも本作のこだわった部分とのこと。しんみりしたストーリーの中にも、ギャグや脱力ネタが豊富だ。
特に今回新たに公開されたBB団は、もともとは「ゲームシステムをアナウンスするためにキャラ性を持たせて書かれた」だけだったシナリオを、虚淵がすべてリライト。その結果、「お笑い集団」と本人が称するような華のあるキャラクター群になったとのことだ。
哀愁漂う主人公と、それを取り巻く魅力的なキャラクターたち。そしてもちろん「オチ(物語の結末)は良いですよ! 虚淵玄が書いているから、そりゃあいい!」とプロデューサーも太鼓判を押す。
元々は成人向けゲームのシナリオライターの出身で、さまざまなキャリアを重ね、今回ようやく念願かなってアクションゲームの脚本を手がけることになったという虚淵。そして、そんな稀代のクリエイターである彼と、念願かなって共にプロジェクトを進めるに至ったNetEase Games。本作は、そんな二者の願いが交わって生み出された、愛にあふれた一作だ。
9月24日、いよいよ中年ウサギ“スタンプ”の旅が始まる。「オヤクソクもありながら、予想は裏切る。だけど期待は裏切らないことを心がけながら作っている」とプロデューサーも語るように、今作が虚淵の新境地として迎えられる日がくるのは、もう目の前だ。
Rusty Rabbit(ラスティ・ラビット)|ストーリー&キャラクタートレイラー(YouTube)
https://youtu.be/rw6vRVftH0A
(C)2023 NetEase, Inc./NITRO PLUS
(取材・平原学/ひらばるまなぶ)
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