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我が家のジャーマンシェパード。飼主の後ろをゆったりと歩いてます。

犬の散歩は毎日のデイリーワーク。人も犬も楽しく快適な散歩を行うことは、お互いの健康維持にも大きく貢献します。散歩は犬のストレスレベルを正常に戻すという報告もイタリア・パルマ大学の神経科学者らが論文で発表しています(※1:※2)。
犬にも人にも健康をもたらす散歩ですが、マナーの悪さが指摘されることもしばしばあります。一番のクレームは排泄物です。しかし、これは言うまでもないので、ここではその他のマナーについて取り上げたいと思います。

嫌がられる歩かせ方の例

私たちは当然ながら、人社会の中で暮らしています。街には犬を怖がる人も多くいます。そうした人たちへの配慮も必要でしょう。どんなに愛らしい小型犬でも、また大型犬でも、犬が怖い人達からみれば恐怖以外の何物でもありません。愛犬が楽しそうに振舞っているとしても、犬が怖い人には迷惑に感じられるでしょう。
ここで、私が犬嫌いな人達からヒアリングした「犬の嫌な行動」を簡単にご紹介します。

・街中なのに、ロングリードで自由に歩き回っている
道いっぱいにジグザクにあるいたり、急に走ったり、行動に予測がつかないので、こちらに向かってくるのではないかと思うと怖い。 
飼主の横にくっついて大人しく歩いていれば幾らかは良いが、それでも怖いと感じる。

・犬に睨まれる
犬に見られると、こちらに近づいてくるのではないかと思い、怖いと感じる。

・吠えたり、興奮した犬がいるだけで怖い
明らかに犬が興奮しているのに、飼主が制御できていないと不安になる。

こうした不安の声に対して我々飼主にはなにができるのでしょうか。

ロングリードは公園などの広い場所で

犬の動きが自由になるロングリードや伸縮リードは、道路などのない、十分な広さのある公園などでの使用に限定しましょう。他の人とも十分に距離が保てれば、安全も確保できます。私も車で走行している時に、ロングリードを付けた犬が車道に飛び出して怖い思いをした経験があります。
公園などでロングリードなどに替えて、たっぷりと匂い嗅ぎや運動をさせてあげることはストレスの軽減やリラックスにも役立ちます。

犬の視線を確認する

街中で、犬を怖がっている人は、見ればすぐに判ります。身を仰け反るようにして、犬から距離を取ろうとしています。犬を怖がる人は、怖いからこそ犬を監視してしまいます。すると犬はその視線を感じ、相手を見つめてしまうこともあります。犬の視線を確認して、怖がっている人を見ているようなら、飼主はアイコンタクトを取って注意を反らしましょう。

犬がリラックスして歩けるように

犬が興奮している状態では、飼主の指示も無視されがちです。興奮状態にある犬は、何かの刺激に反応して道路などに飛び出す事があります。これはとても危険な事です。
さらに、緊張状態のまま歩くことは、犬にとってもストレスになりやすいです。犬が安心し、リラックスした状態で歩くことができるようにトレーニングを行いましょう。また、犬が何故興奮してしまうのかについても意識を向ける必要があります。犬が先頭を歩くと、警戒心が強く働くことがあります。こうしたことも犬の興奮につながります。犬が飼主の側面や後方を歩いていれば比較的リラックスしやすくなります。
穏やかに散歩ができれば、犬にとっても人にとっても散歩は楽しい行事になり、かつ安全も確保できます。それでも、何かの刺激に反応して犬が興奮することがあります。この時にはコマンドを使い、犬の興奮をコントロールして、リラックスできるように促します。こうした意味でも最低限の服従訓練を行う価値はあります。

マナーを守るのは飼主のつとめ

愛犬の安全を守るのみならず、人社会でのマナーを守ることは愛犬家の務めでしょう。愛犬が可愛いからといって、犬の好き勝手を許すことは、他の人に迷惑をかけるだけでなく、愛犬を危険に晒すことにもつながります。日頃のトレーニングを楽しく行い、愛犬には色々な事を教えてあげましょう。
また、街中には犬が反応しやすい刺激がたくさんあります。穏やかさを身につけることも愛犬のストレス軽減に役立ちます。
 
補足になりますが、ストレスや刺激に慣らすことは犬の情緒を安定させます。飼主が過剰にストレスや刺激を遠ざけていると、犬はストレスや刺激への耐性が下がり、些細な刺激にも反応し、ストレスを溜めやすくなります。これでは散歩をしていてもストレスを発散できないかもしれません。犬をリラックスさせてあげるためにも、興奮のコントロールは欠かせません。これは難しいことではなく、日々のトレーニングを適切に行っていれば誰でも簡単にできることです。トレーニングを通じて愛犬に自信を付けさせることで、様々な刺激に晒されても動じないようになります。
 
犬嫌いな人を安心させることは難しいかもしれませんが、我々飼主ができる範囲のことは最低限努力したいものです。こうしてリラックスして歩いている犬は、その姿からも判ると思います。お互いにストレスにならないようにマナーを守って楽しい散歩を行ってくださいね。
 
参考文献:
※1:Behavioural and physiological indicators of shelter dogs’ welfare: Reflections on the no-kill policy on free-ranging dogs in Italy revisited on the basis of 15 years of implementation.(Physiology & Behavior,2014-06-22,Volume 133,Pages 223-229,2014 Elsevier Inc.)

※2:Stanley Coren Ph.D.,F.R.S.C.(2015)A Simple Way of Reducing Long-Term Stress in Dogs?,Psychology Today.

TOP画像は著者が撮影したもの。

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