老後の資金がどのくらい必要かご存じでしょうか。必要資金がわかれば、その準備をどのように行うべきか対策が立てやすくなります。それでは、資金がいくら必要になるか試算していきましょう。
平均的な年金支給額を知る
総務省の『家計調査年報(2015年)』によると、2人以上の高齢者無職世帯における毎月の実収入平均は21万3,379円で、このうち社会保障給付による収入が19万4,874円となっています。あくまで調査段階の数字にはなりますが、平均的な年金支給額は1ヵ月あたり19万4,874円とわかります。これに対して、毎月の支出額は27万5,706円となっており、実際には毎月の収支が6万2,327円不足しています。
この状況が仮に65歳から90歳まで続くとしたら、どれくらい不足することになるでしょうか。
6万2,327円×12ヵ月×25年=1,869万8,100円
1,870万円程の資金が不足することになります。この資金を退職金などでカバーできればよいのですが、退職金が支給されない方は自分で貯める必要があります。また、退職金が出る方でも、将来の退職金が減額される恐れもあります。公的年金自体が減額される可能性があることを考慮すると、ある程度まとまった資金を確保しておく必要があります。
不動産投資家の将来には大きな支出が待っている?
仮に不動産投資を行い、家賃収入から管理費などの経費を引いた後に毎月7万円ほど残るのであれば、この不足分を埋め合わせることができます。将来の公的年金がどうなるかわからないことを考慮すれば、更に家賃収入があってもよく、早め早めの投資で安定した不動産収入を確保していくことが老後の資金対策につながります。
ただし、注意しなければならないのが、建物は経年劣化する点です。経年劣化に伴い改修を行い、支障がないようにしなければなりません。改修を行って魅力ある物件となれば、借り手のニーズが高まり、家賃収入の継続を見込むことができます。
たとえば、20年を一区切りとして大規模な改修を行うことを考えたとしましょう。新築で購入した場合には、20年後のことを考慮して、計画的に改修費用を貯めていく必要があります。改修費用を毎月コツコツ貯めていく方法も良いですが、退職金を改修費用に充てるというのも一つの方法です。
不動産投資家の未来予想図をライフステージに重ねる
退職時期が20年後となるように不動産運用を始めるとすると、退職年齢が65歳であれば、45歳から不動産投資を開始するのです。このように考えると、大規模な改修費用は退職金でカバーし、それまで貯まった家賃収入は借入金の返済や老後資金に充てることで、魅力ある物件を保ったまま、ある程度の資産を構築することができます。
また、退職金を改修費用に充てたとしても、その後の入居者を確保できれば、毎月の老後資金不足分を確保できることにつながります。
こうして不動産投資家の将来設計を描くことが可能となります。なお、入居者の入れ替わり時に、部屋の中をリフォームすることも考慮しておくべきです。リフォームを行うことで、より借り手のニーズは高まることでしょう。
この他、エアコンや水道、電気など経年劣化に伴い、買い換えが必要となることがあります。こうした小規模な修繕は人件費も含めて数万~数十万円程度となりますが、大家さんが支払うことになります。もし支払いをしぶった場合などには、入居者とのトラブルにもなりかねません。こうした小規模な修繕費用が10年程度経過すると数年おきに発生する可能性がありますので、入居者により長く住んでもらうためにも、ある程度余裕をもった資金管理をしておくべきでしょう。
こうした資金管理が万全であれば、不動産投資による老後資金確保も夢ではありません。空室リスクを軽減させることが、不動産投資の成功のカギともいえます。
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