不動産投資信託といわれる「REIT(リート)」のような証券化不動産投資と、ワンルームマンションやアパート、マンション、テナントビル、駐車場のような不動産を購入・経営する、「実物不動産投資」です。
どのような違いや特徴があるのか、それぞれのポイントを解説します。
REITのポイント
REITとは、多数の投資家から集めた資金で投資法人がマンションやオフィスビル、商業施設などを購入・運用し、物件からの家賃収入等を出資者へ配当する投資です。
メリットは、数万円と比較的少額から始めることができ、複数の物件に投資してリスク分散できる、という点が挙げられます。また、実物の不動産投資に比べて流動性が高く、株式投資と同様にいつでも購入や売却ができること、物件の維持管理・運営を必要としないことも利点です。
デメリットは、投資額に対するリターンを投資法人の運用に委ねているため、実物の不動産のように自分の創意工夫で収益性を高めることができない点です。また、不動産を直接所有しているわけではないので、これを担保に金融機関から融資を受けることができません。このため、投資資金は自己資金の中でしか行えず、レバレッジ(少ない元手で高額な取引が可能)が効かないこともデメリットといえるでしょう。
ワンルームマンション投資のポイント
ワンルーム(区分所有)物件投資とは、マンションの一室を購入して他人に賃貸することで、毎月の家賃収入によって利益を得る投資です。
メリットは、アパート・マンションの一棟物件投資に比べ、比較的少額で投資ができる点が挙げられます。また、売却する際も一棟物件投資に比べ少額であるので、購入者を見つけやすく流動性が高いこともメリットでしょう。
デメリットは、空室の影響を大きく受けるという点です。入居者が居れば稼働率100%ですが、退去して空室になれば稼働率0%になって家賃収入が入りません。一方で、修繕積立金・管理費は支払う必要があるため、収益性が低くなるのです。
アパート・マンション投資のポイント
アパート・マンション投資とは、一棟物件を丸ごと購入して部屋を賃貸することで、毎月の家賃収入によって利益を得る投資です。
メリットは、ワンルームマンション投資に比べ、1室の空室発生時で即稼働率0%になる可能性は低く、緩やかに稼働率が変化するため計画的な経営ができるという点でしょう。また、建物と土地を担保として金融機関からの融資を受けるため、少ない自己資金でレバレッジを効かせた投資ができるのもメリットです。
デメリットは、収益性が低く高利回りが期待できないという点です。近年の人口減少・世帯数減によって物件の供給が過剰な状態になっています。こうした状況を踏まえ、市場のニーズに合った物件選定が必要になるうえ、ライバル物件が多いことから家賃の競合が発生しやすいのです。
テナントビル投資のポイント
テナントビル投資とは、店舗や会社を対象として賃貸することで、毎月の家賃収入によって利益を得る投資です。
メリットは、住居用に比べて家賃を高く設定できるため、収益性が高く高利回りが期待できるという点が挙げられます。また、テナント退出時はスケルトン(店舗や会社の内装・設備が無い)の状態で返還するため、原状回復に費用を負担しなくてよいこともメリットとなります。
デメリットは、住居用アパート・マンションに比べ、オフィス環境を向上させるための空調設備やOA環境の充実が必要になるため、維持管理費が高くなるという点です。また、物件全体の家賃収入に対して1部屋の家賃割合が高いため、空室発生時の影響が大きいことや、空室リスクが景気動向に左右されやすく、リスクコントロールしにくいこともデメリットといえるでしょう。
駐車場投資のポイント
駐車場投資とは、土地を購入して他人に駐車場として賃貸することで、毎月の収入により利益を得る投資です。
メリットは、必要とされる駐車場内での事故対策や駐車場の不正利用対策が、アパート・マンション経営に比べて維持管理の労力が少ないという点です。また、入退去時に必要な部屋の原状回復作業が必要ないため、維持管理に要する費用が少なくてすみます。
デメリットは、節税効果が小さいという点があります。建物や機械設備がある場合、これらが経年劣化により資産価値が下がることを踏まえて、毎年一定金額を費用として計上できる減価償却費があります。しかし、土地が大部分を占める駐車場の場合、土地は減価償却費の対象とならないため、恩恵を受けにくいのです。
メリット・デメリットを理解して検討する
投資全般にいえることですが、事前に勉強をしないで始めるのは危険で、大きな間違いを引き起こしかねません。特に実物不動産の場合、運用している金額が大きいため、失敗してしまうと取り返しのつかない事態に、陥ってしまうこともあります。
投資は自己責任と言われますが、損をして後悔しないためにも不動産投資商品全般に関する知識を身につけ、今の自分ができる範囲で目的にあった投資を行うことが大切なのです。