不動産投資を行っている方は、不動産所得などの確定申告が必要となります。不動産所得に減価償却費を計上するにはどうすればいいのでしょうか。
減価償却の意味やその効果、実際の計算方法を考えていきます。区分所有が節税になる理由は、下記の記事をご覧ください。
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減価償却とはどういうもの?
購入した不動産を、購入した年に一括して経費として計上するのではなく、何年かに分けて計上することを減価償却といいます。耐用年数は、対象となるものによって変わります。例えば企業の場合、机やコピー機などは減価償却資産とするケースが多くなっています。不動産投資でも同様に減価償却とすることが可能です。
不動産投資の場合、減価償却の対象となるのは建物部分のみとなります。土地は減価償却の対象とならないため注意が必要です。さらに、建物については、建物と建物付属設備に分けて計算します。減価償却を計算する際は、取得価額、耐用年数、減価償却方法の3点が重要となります。
減価償却方法のステップ
それでは、実際に減価償却をどのようにしていくのか、具体的にみていきましょう。
1. 区分所有マンションの取得価額の算定
区分所有する建物購入価格に加え、仲介手数料などの「諸費用」も取得価額に含めるべきものがあります。これら全てを取得価額に含めて計算していきます。例えば、以下のものが取得価額に含まれます。
・ 仲介手数料
・ 契約書印紙代
・ 借入金契約印紙代
・ 借入金手数料
2. 建物分を求める
区分所有マンションの投資は、マンション内の一室や数室など一部を購入することになりますが、同時に共用部分やその建物が建っている土地についても購入していることになります。そのため、購入価格を元に計算していく必要があります。これは減価償却が土地分に適用できないことによります。まず、全体の取得価額を按分して「減価償却可能な建物分の取得価額」を求めましょう。
3. 計算方法
定額法か定率法により、計算していきましょう。定額法は、毎年の償却費の金額が一定になっている償却方法です。計算方法は、取得価額×定額法の償却率によって行います。
これに対して定率法は、償却費の額が初めの年ほど多く、年々減少していく償却方法になります。ただし、定率法の償却率により計算した償却額が「償却保証額」に満たなくなった年より後は、毎年同額を償却していきます。未償却残高×定率法の償却率によって計算していきます。
償却金額が償却保証額に満たなくなってからは、改定取得価額×改定償却率によって償却金額を計算していきます。なお、2016年4月から取得した不動産については、定額法によって行うことになっています。
4. 耐用年数の計算
国税庁が定めている法定耐用年数表をもとに計算していきます。
法定耐用年数 − 経過年数=A
経過年数 × 20%=B
A+B=耐用年数
5.減価償却費を計算する
以上の要素をもとに減価償却費を計算していきます。
実際の計算例
それでは、実際に計算していきましょう。
条件:マンション、3,000万円、5年の中古物件、2017年4月に投資
1.取得金額の計算
不動産投資ローンは、ローン会社によって手数料が異なりますが、融資金額の2%に消費税をかけたものとします。例えば、今回は2,500万円のローンを利用すると、手数料が54万円、印紙税は2万円になります。これらが取得金額になり、3,056万円が取得金額になります。
2.建物分を求める
3,000万円のうち、1,500万円が土地分、1,500万円のうち1,200万円が建物分、300万円を建物設備分になるなど計算していきます。
3.定額法により計算する
2017年に取得しているため、定額法によって計算します。
4.耐用年数を計算する
・ 建物本体
47年 − 5年 = 42年
5年 × 20% = 1年
42年 + 1年 = 43年
・ 建物設備
15年 − 5年 = 10年
5年 × 20% = 1年
10年 + 1年 = 11年
5.減価償却費を計算する(1年間の減価償却費)
・ 建物本体:定額法
1,200万円 × 0.024 = 28万8,000円
・ 建物設備:定額法
300万円 × 0.091 = 27万3,000円
合計56万1,000円
最初はなかなか難しいことも多い
区分所有に不動産投資をする場合、投資当初は実際に個人で計算して申請するのは難しいかもしれません。自身で知識を身につけることも大切ですが、アフターサポートも徹底した管理会社から物件を購入することをおすすめします。
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