不動産投資は、サラリーマンに合っている投資と言われれています。不動産投資は安定して継続的に収益を上げられる可能性があり、安定資産として所有するメリットも大きいです。そのため、今回は不動産投資の概要や、メリット・デメリットを解説します。また、他の投資と比べて、なぜサラリーマンに合っている投資なのかという点も合わせて解説していきます。
将来的な不安を感じる現状
現代の日本において、将来的な不安は誰しもが感じてしまうのが現状です。不安を感じてしまう原因としては収入と支出の関係、年金問題、会社員の今後、資産運用の必要性といった4点が挙げられます。これに対して不動産投資は、上記4点のリスクを解消するために非常に有効な手段です。まずは4つについてそれぞれ解説していきます。
収入と支出
国税庁の「平成27年分 民間給与実態統計調査」」によると、日本の平均年収は420万円となっています。男女別に見ると、男性平均521万円、女性平均276万円という結果になっています。就業形態別では、正規社員485万円、非正規社員171万円、つまり、最も高いカテゴリでも年収521万円というのが今の日本の平均給与なのです。
そして、学歴によっても賃金の差は表れています。厚生労働省の「平成28年賃金構造基本統計調査」によると、男女ともに30歳以上では大学・大学院卒者が中学卒・高校卒者に比べて給与が高くなっています。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計―労働統計加工指標集―2016」によれば、フルタイムの正社員を続けた場合の60歳までの生涯賃金(退職金を含めない)は下記の通りです。
男性 | 女性 | |
大卒・大学院修了者 | 2億7,000万円 | 2億2,000万円 |
短卒・高専卒者 | 2億1,000万円 | 1億7,000万円 |
高卒者 | 2億1,000万円 | 1億5,000万円 |
中卒者 | 1億9,000万円 | 1億3,000万円 |
一方、生涯の支出を考えると22歳~83歳(日本の平均寿命)での支出は、子ども2人で大学まで通わせる想定だと、約2.17億円~2.47億円となります。代表的な支出項目となる教育費は下記となります。
● 教育費
全て公立 | 高校卒 | 約523万円 |
大学卒 | 約795万円 | |
全て私立 | 高校卒 | 約1,770万円 |
大学卒 | 約2,297万円 |
その他、結婚関連費用や住宅費、生活費などを考慮すると、自分が稼げる収入よりも、支出の方が上回るケースもあり得るかもしれません。そのため、会社などから得る労働収入以外で、自分の資産を増やす必要があります。
年金について
毎月支払っている年金基金は、一定の年齢になれば国から支給されます。その年金額は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)という機関で運用されています。GPIFは国民から徴収した資金を株や債券などで運用します。
株や債券で運用しているということは、株価が下がったり債券額が下がったりした場合、GPIFが運用している資産は減ります。GPIFの運用状況を見れば分かりますが、景気動向によって実際に大きく資産は変動しています。
つまり、将来的に自分がもらえる年金額は変動し、2017年現在で約束されている年金額をもらえるとは限らないということです。この点は、大きな老後不安につながります。
また、少子高齢化が進むことで日本の年金制度は今後、現状のままの状態で維持される可能性は極めて低いと考えられます。受け取り額の減額や受け取り開始時の引き上げなどが考えられます。
会社員の今後
会社員の今後については、淘汰される企業や働き方改革の促進、広がっていく格差など、さまざまな懸念があります。現在日本では、IT関連をはじめとしたベンチャー企業が増えてきています。さらに、インターネットの発達により、営業手法や利益の上げ方が変わってきている状況です。現に、クラウドソーシングを利用すれば、労働力の確保までインターネットを利用して行うことができます。
つまり、企業間同士での優劣に差ができ、今まで以上に企業が淘汰される事態になります。さらに、働き方改革によって「フレックス通勤」や「プレミアムフライデー」など、生産性の向上に努めている企業が多く、今後この流れはさらに促進していくと考えられます。
また、企業間による生産性の格差が広がることによって、利益格差はますます大きくなると考えられます。独立行政法人経済産業研究所がによる『「稼ぐ力」の企業間格差』でも、今後は企業の利益格差が生まれるであろうことが述べられています。
企業間の利益格差が大きくなるということは、社員の給与格差も大きくなるということです。そのため、前項で話した「支出が年収より上回る人」が増える可能性が高まり、将来不安を感じる人が増えるということになります。
資産運用の必要性
上述した理由によって、今後資産運用の必要性は増すことでしょう。資産運用をしないと、以下のようになると考えられます。
・ ITの発達により企業間の利益格差が広がる
・ 企業間に利益格差が広がれば社員の給与にも格差が出る
・ 給与格差が生まれればますます収入より支出が上回る家庭が増える
支出の方が多ければ借金をして補うことになります。そうなれば、老後も借金の返済に追われる可能性もあります。しかし、老後もらえるであろう年金額は、従来の金額のまま、もらえるという保証はないので、老後にその借金を返済するのは難しいと考えられます。
つまり、支出を補うために、資産運用をして自らの資金を増やす必要があるということです。資金を増やすことで、老後資金の足しになり、将来の金銭的な不安を解消することができるでしょう。
不動産投資の概要
結論から言うと、前項の資産運用方法としては、不動産投資をすることがベストです。不動産投資の概要は以下の通りです。
● 不動産投資とは?
一般的な不動産投資とは、マンションなどの不動産を購入して、その不動産から家賃収入を得るという方法です。不動産の種類は、マンションの一室やアパート一棟など、色々な種類の不動産があります。いずれの不動産でも、その不動産に入居者を募集してその入居者から家賃をもらうことで収益を上げます。
一方、不動産投資は家賃収入を得るだけでなく、将来的に不動産自体を売却するという方法もあります。つまり、家賃収入というインカムゲインと、売却益というキャピタルゲインという2つの収益を得られるということです。
不動産投資のメリット
前述した不動産投資のメリットは以下の4点です。
・ 安定した収益
・ 保険としての役割
・ 老後資金
・ インフレに強い
● 安定した収益
まず、不動産投資は入居者からの賃料収入がメインとなるので、ある程度安定して収益を上げることができます。収益が途絶えるときは、賃借人が家賃を滞納したときと、投資していた不動産が空室になるときです。
しかし、賃借人は不動産所有者で選別できますし、空室率の低い不動産を選別することもできます。さらに、「借り上げ保証」という制度を利用すれば、手数料はかかりますが空室時でも収益を上げられます。つまり、家賃収入を安定的に得るために、不動産所有者自身が対策を取れるということです。
● 保険としての役割
不動産投資をする場合、金融機関から資金調達するケースがほとんどです。その際、団体信用生命保険に加入することが出来ます。保険料は毎月の融資返済額の金利に組み込まれ、家賃収入の一部で支払うケースが多いようです。
団体信用生命保険はローンを組んだ本人が亡くなったり高度障害などになった際、金融機関にローン残債を補填する保険となります。
万が一、本人が亡くなった際はローン残債のない不動産が遺族に残り、家賃収入を得ることも、売却して現金化することも出来ます。つまり不動産投資は生命保険の機能も備えていると言えます。
● 老後資金
不動産は所有し続ける限り、賃料収入というインカムゲインを得ることができます。例えば、会社を定年退職した60歳以降でも、不動産を所有していれば継続してインカムゲインを得ることができるということです。
そのため、不動産投資は老後資金にもなり得ると言えます。上述した通り「年金は所定金額を得られるか分からない」というリスクがあります。しかし、不動産を所有していれば、給与収入がなくなった老後も、定期的に安定した収益を上げることができると可能性があるのです。
また、不動産市況や自分の投資戦略によっては、不動産を売却して一括で資金を得ることも可能です。このような面から見ても、不動産投資は老後資金としての役割も担います。
● インフレに強い
不動投資はインフレに強いというメリットがあります。インフレとは、お金の価値が下がり物価が上昇する状態です。つまり、世の中にお金が回りすぎたことによって、お金が供給過多になり、お金の価値が下がるということを意味します。
しかし、不動産投資は「実物資産」に投資するので、インフレに強い投資と言えるでしょう。仮に、世の中のお金の価値が下がり、物価が上昇するというインフレ状態になったとします。インフレ状態になると、現金を所有していても、現金の価値は下がってしまいます。しかし、不動産の場合には物価上昇により家賃収入は上がっている可能性が高いのです。
また、不動産価格も上がっていると考えられるので、売却益も上がっています。このような面から見ると、不動産投資はインフレに強い投資方法と言えます。
サラリーマンこそ取り組むべき理由
結論から言うと、サラリーマンこそ不動産投資に取り組むべきです。その理由は、「信頼性が高い」「節税効果がある」という2点です。
● 信頼性が高い
サラリーマンは、対外的な信頼性が高い属性です。サラリーマンは、勤務先から安定して継続的な収益を得られるので、ローンを組みやすいと言われています。不動産投資をするときには、入居用不動産が対象の住宅ローンではなく、投資用不動産が対象のアパートローンを借り入れます。
金融機関からのローン審査は以下の項目を審査します。(下記は一例です。)
・ 借入者のプロフィール(年収や勤続年数)
・ 勤務先について(会社規模や業態、会社業績)
・ 信用情報(過去の延滞歴など)
・ 物件の収益性
・ その他の借り入れ
上記のうち、会社規模や会社業績などにもよりますが、基本的にはサラリーマンの信用度は金融機関から高く評価されます。例えば、個人事業主や会社経営者であれば、よほど安定した経営をしていないと、年収の波が激しいと判断されます。
その点から、サラリーマンは金融機関の審査に通りやすく、アパートローンを借り入れやすいのです。アパートローンを借り入れることは、不動産投資をする上で重要な「優良な物件取得」につながります。
● 節税効果がある
また、不動産投資は節税効果があります。その理由は、賃料収入は「不動産所得」になり、不動産所得は総合課税という税制になります。総合課税とは、他の収入と合算して年収をカウントされる税制です。そして、不動産所得は経費として計上して、課税所得を減らすことができます。
具体的に経費とは以下の5項目です。
・ ローン利息部分
・ 物件取得費(仲介手数料など)
・ 管理費、修繕維持積立
・ 固定資産税などの税金
・ 減価償却費
減価償却費とは、不動産の取得価格を何年かに渡って経費として計上することです。そのため、特に物件取得費を計上できる初期は、不動産所得が赤字になることもあります。また、減価償却費を経費計上できるしばらくの間は、不動産所得を赤字に計上できる可能性があります。
つまり、不動産所得の赤字金額分、サラリーマンの年収をマイナスできるということです。そうなると、課税所得が減り所得税が節税できるということです。所得税が減れば住民税も減ります。
ただ、注意点としては、不動産の売却益は異なるという点です。不動産の売却益は「譲渡所得」になり、譲渡所得税は分離課税と言われる税制になります。分離課税なので、譲渡所得税は単体で課税されます。そのため、サラリーマンの給与所得は、そのままの所得額で課税されます。
不動産所得はサラリーマンに向いている
サラリーマンが投資するとしたら、不動産投資が向いています。また、「サラリーマンだから」という理由だけでなく、今後の日本の情勢を考えても、不動産投資はリスクヘッジできる投資方法と言えるでしょう。将来の資産形成を十分考慮し、自分に合った投資を行いましょう。