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明暗分かれた独1部で戦う“侍”

2014/05/29 23:06 投稿

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明と暗のコントラストが、独1部で戦う“侍”を覆った。2013-14シーズンは、岡崎慎司が新天地で眩(まばゆ)い輝きを放ち、細貝萌や酒井宏樹が躍動する一方、昨季に主軸を担った乾貴士はベンチからも追い出され、内田篤人や長谷部誠は怪我に苦しんだ。清武弘嗣も、チームの不振と歩調を合わせるかのように停滞。本来の偉才を示せなかった。泣き笑いが入り混じった1年間を、8人の侍が残した“戦績”とともに振り返る。



○岡崎とマインツの甘美なる前進

岡崎とマインツの“結婚”は、幸福に包まれた。33試合に出場し、15得点1アシストを記録。岡崎は得点ランキングで、マインツは順位で、それぞれ7位に入った。前季、岡崎は僅か1得点、マインツは13位。相思相愛がもたらした、甘美なる前進だった。


岡崎のスタッツ
出典)独ブンデスリーガ公式サイト


岡崎の戦績は、前季から劇的に向上。不動のレギュラーを務め、先発回数、プレー時間、得点、チャンス創出数、パス回数、クロス回数などが大幅に増えた。パス成功率と1対1の勝率は下がり、特に1対1の勝率は低水準だが、岡崎は単独でゴールをこじ開けるタイプでなく、オフ・ザ・ボールの質で勝負するストライカー。その数字で、彼の真価は捉えられない。数字には表れづらいが、ボールをキープする、ドリブルで持ち込むなどオン・ザ・ボールも目に見えて上達。敵からプレッシャーを受けても巧く身体でブロックし、味方に繋ぐ姿が印象的だった。

来季は監督の交代やヨーロッパリーグ出場による疲労が気掛かりだが、味方とのコンビネーションの深化による好機の増加も見込める。今季は何度となくミスした「簡単なシュート」を決められれば、連続2桁得点は確実だ。

岡崎と同様、細貝も移籍が声価を高めた。


細貝のスタッツ
出典)独ブンデスリーガ公式サイト


出場試合数とプレー時間、チャンス創出数は前季と比べて2倍~3倍で、パス成功率は日本人でトップ。中盤と最終ラインの間を広範囲にカバーし、攻守を切り替える“スイッチ”となってチームを下支えした。守備では激しさや粘り強さ、攻撃ではショートパスの的確な振り分けが光る。時にはセンターバックとしてもプレー。アウクスブルク時代から師事するヨス・ルフカイ監督の下、選手としての“幅”を広げた。

酒井宏樹は、いよいよ独1部の“水”に馴染んできた。


酒井宏樹のスタッツ
出典)独ブンデスリーガ公式サイト


身体が明らかに分厚くなり、球際の脆さを払拭。サイドの攻防で優勢を保った。地上戦、空中戦とも前季から10ポイント以上高くなり、勝率は6割を超える。これは独1部のサイドバックで最上位だ。得点やアシストを初めて記録し、クロスの成功率も改善。前季は時折、顔を覗かせた軽率なミスも減り、来季の飛翔を予感させる“ステップ”を踏み込んだ。

酒井高徳は終盤に巻き返した。


酒井高徳のスタッツ
出典)独ブンデスリーガ公式サイト


序盤から中盤にかけてはフィジカルコンディションが悪く、攻守に精彩を欠いたが、残留争いを強いられる苦境下で復活。脆かった1対1で負けなくなり、パスやクロスの凡ミスが減り、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた試合もあった。不調期間が長く、戦績は出場試合数やアシスト、空中戦の勝率を除いて前季を下回ったものの、最低限の結果は残したと言える。来季は好調と不調の波を減らし、1年間を通じて安定したプレーを披露したい。

清武は、クロスの本数と成功率、1対1の勝率が前季を超えたように、その優れた技術に磨きがかかった。


清武のスタッツ
出典)独ブンデスリーガ公式サイト


クロスは30本のうち43.3%が成功と、傑出した精度を誇る。しかし、プレーはどこか淡泊で、チームを牽引するような気概に乏しく、終盤はサポーターからブーイングを浴びた。監督や選手の誰もが認める稀有な才能を有しながら、それをチームの総力に還元できなかった点で、物足りなさは否めない。

○負傷に泣いた内田と長谷部、失意の乾

内田と長谷部は、負傷に泣かされた。ただ、前者はアシスト、パス成功率、1対1の勝率が前季を上回っただけでなく、時にはペナルティエリア内まで侵入するなど大胆さ、怖さが加わり、スケールアップ。サイドバックとして、新しい領域を切り開いた。彼の不在時にシャルケの右サイドが機能不全に陥るのは、良くも悪くも“名物”だ。それほどの影響を与えつつある。


内田のスタッツ
出典)独ブンデスリーガ公式サイト


後者も、1対1の勝率が地上戦と空中戦の両方で上がるなど、移籍したニュルンベルクで奮戦。豊富な経験を基に精神面でも引っ張り、後手に回ると腰が引け、瓦解しがちだった中盤を鼓舞した。最終節での鬼気迫るプレーが象徴するように、プロ意識や責任感も並外れている。


長谷部のスタッツ
出典)独ブンデスリーガ公式サイト

乾は失意の日々を過ごした。開幕前に加わった新戦力の後塵を拝し、1年間を通じて先発に定着できず。29節から33節まで5試合連続でベンチ外という苦渋も味わった。アルミン・フェー監督が前季よりもバランスを重視し、守備で踏ん張れる選手を主軸に据えたため、攻撃以外での貢献が限定的な乾は弾き出されてしまった格好だ。

ある意味では“犠牲者”と言えるが、途中出場時や数少ない先発時にアピールできなかったのも事実。軟体動物を想起させる柔らかいボールタッチ、ふてぶてしいまでの“トリック”は鳴りを潜め、消極的かつ凡庸なプレーに終始した。日に日に焦燥感が滲み、ついには指揮官に対する批判や諦観にも似たコメントが飛び出すと、完全に出番を喪失。得点もアシストも挙げられないまま、閉幕を迎えた。


乾のスタッツ
出典)独ブンデスリーガ公式サイト

もっとも、無策ぶりを露呈してチームを残留争いに沈めたフェー監督は退任し、攻撃的なスタイルを好むトーマス・シャーフが後任に収まったのは吉報。ヨアン・ミクーやメスト・エジル、ジエゴといった技巧派に自由を与え、その才能を最大化してきた彼ならば、乾の復活は遠くないはずだ。

○首都に降り立つ原口元気

来季は、浦和レッズの原口元気がヘルタ・ベルリンに籍を移す。独「フランクフルター・ルントシャウ」によれば、長谷部はフランクフルトへの移籍が濃厚という。独2部の1860ミュンヘンで15試合6得点の大迫勇也には、1部昇格を決めたケルンからオファーが届いた模様だ。そのケルンには長澤和輝がいる。乾や清武の去就は不透明だが、10人を超える侍達が各地で斬り結ぶ姿を目の当たりにするかもしれない。その喜怒哀楽や熱量は、独1部に彩りを与え、隆盛を加速させるはずだ。



<編集後記>

ご無沙汰しております。約2カ月ぶりのブロマガです。あまりに忙しく、書きたい話題は多々あり、どう“料理”しようか思い浮かべつつ、そのままになっていました(苦笑)。

そこから解放されたわけではありませんが、少しだけ時間ができたため、短いながら書き残しておきます。かなりの手抜きで、質を問うレベルですらありませんが、ご容赦下さい。

さて、独1部の13-14シーズンで最もインパクトを残した日本人は岡崎でしょう。シュツットガルト時代の不遇が過ちだったと証明する、見事なゴールラッシュでした。

それを予期できたのが、個人的には嬉しい。移籍の報道が出た時から、チームのスタイルにバッチリ合うと思っていましたから。

昨年8月13日に書いたブロマガも、最高の“預言”となりました。

http://ch.nicovideo.jp/football-kyo-no-utage/blomaga/ar314837

過剰な自画自賛は見苦しいので、これくらいにしておきましょうw

迎える新シーズン、「明」の選手は一層輝き、「暗」の選手は捲土重来を果たしてくれるよう、心から祈ります。

清武や乾には厳しい言葉を充てましたが、それも彼らの才能を信じているからです。

また、原口は十分に通用するでしょう。堅守速攻型のヘルタ・ベルリンに、彼のスピードや突破力は合います。すぐにレギュラーを確保できるほど甘くないですが、ピッチ内外で細貝を頼れるのも心強い。とても楽しみです。当然、2部で経験を積んだ長澤や大迫も。大迫は1部でプレーできるといいですね。

ではでは、また。

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