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17人の愛好家による独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“中間考査”・3

2017/06/07 22:30 投稿

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17人の愛好家による独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“中間考査”・1

17人の愛好家による独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“中間考査”・2



~My Opinion~

私的前半戦ベストイレブン

文・とんとん

普段脚光を浴びる機会の少ないチャンピオンズリーグ・ヨーロッパリーグに不参加のチーム、若手の活躍が目覚ましいブンデスリーガらしい23歳以下で、それぞれベストイレブンを選んでみた。

<CL・ELに不参加>



GK オリベル・バウマン(ホッフェンハイム)

DF ベンヤミン・ヒュブナー(ホッフェンハイム)

DF 二クラス・シュタルク(ヘルタ・ベルリン)

DF マルツェル・ハルステンベルク(ライプツィヒ)

DF パヴェル・カデルジャーベク(ホッフェンハイム)

MF オマール・マスカレル(フランクフルト)

MF セバスティアン・ルディ(ホッフェンハイム)

MF ケレム・デミルバイ(ホッフェンハイム)

MF ヴィンチェンツォ・グリフォ(フライブルク)

FW エミル・フォルスベリ(ライプツィヒ)

FW ティモ・ヴェルナー(ライプツィヒ)

次点

GK ルーカス・フラデツキー(フランクフルト)

DF フレデリク・ソーレンセン(ケルン)

DF マルクス・ズットナー(インゴルシュタット)

MF ナディアム・アミリ(ホッフェンハイム)

MF マルコ・ファビアン(フランクフルト)

MF セルジュ・ニャブリ(ブレーメン)

FW サンドロ・ヴァグナー(ホッフェンハイム)

<23歳以下>



GK ティモ・ホルン(ケルン)

DF ニクラス・ジューレ(ホッフェンハイム)

DF マルセル・ティッセラン(インゴルシュタット)

MF ベンヤミン・ヘンリクス(レーバークーゼン)

MF ヨシュア・キミッヒ(バイエルン)

MF ジャン=フィリップ・グバマン(マインツ)

MF ナビ・ケイタ(ライプツィヒ)

MF ウスマン・デンベレ(ドルトムント)

MF マルセル・ザビッツァー(ライプツィヒ)

FW トルガン・アザール(ボルシアMG)

FW ジョン・コルドバ(マインツ)

今後に期待の若手

GK ミヒャエル・ツェッテラー(ブレーメン)

DF パスカル・シュテンツェル(フライブルク)

DF ティロ・ケーラー(シャルケ)

MF サリフ・エズカン(ケルン)

FW シャニ・タラシャイ(フランクフルト)

MF カイ・ハフェルツ(レーバークーゼン)

MF フィン・ポラート(ハンブルガーSV)



第6章 記憶に残った好チーム

サポートするチームの試合を観ていると、敵ながらも魅せられる好チームに出会うことがあるだろう。あるいは他の試合をチェックする中で、つい肩入れしたくなるプレーを魅せるチームを見つけることがある。そんな印象的だったチームを挙げてもらった――。


■予想を超えたライプツィヒ、後半に期待が持てるインゴルシュタット

文・とんとん

まずは、やはりライプツィヒ。ヨーロッパリーグの出場権争いには絡むと予想していたが、優勝を争える順位につけるとまでは思っていなかった。補強に巨額の投資をしてはいるが、個に頼るシーンは少なく、非常に組織立った好チームだ。統制のとれた4-4-2の守備ブロックはシーズン序盤から改良されている。2CB+アンカーで組み立てる敵に対して、2トップで3人を見る工夫が施され、ウィークポイントが1つ消えた。ただ、メンバーが固定的なため、選手が変わると守備に綻びが出るシーンもある。

前線のポウルセン、ヴェルナー、フォルスベリ、ザビツァーは揃ってスピードがあり、前線のどの位置でもプレーできるため、流動的なポジションチェンジが可能だ。昨季のラングニック監督期とは攻撃パターンが異なるが、別のインパクトを感じた。

後半に期待を持てそうなのがインゴルシュタットだ。カウチンスキからヴァルプルギスに監督が代わったものの、前線からのプレスという軸はぶれない。

ヴァルプルギスは非常に特徴的な5-2-2-1というシステムを採用。守備の仕組みとしては、まず1トップに入るレスカノが敵CB間のパスコースを切りながらプレス。これでサイドを限定すると、中盤の2-2の4人が中央の選手をマンツーマンで潰しに直走る。

こうしてサイドに誘導し、最後は5バックの大外に位置する選手が上下動して刈り取る。中盤・前線の5人には膨大な運動量が求められるが、この守備でライプツィヒ、レーバークーゼンを立て続けに撃破。順位を上げるには徹底した身体面のケアが欠かせない。


■堅実に中位をキープする2部王者

文・昴

今季、まさに旋風を起こしているライプツィヒを抑えて昨季のツヴァイテリーガを制し、昇格したフライブルク。14-15シーズンの最終節、14位から17位へ転げ落ちる、まさかの逆転降格から僅か1年のことだった。

降格しても、なおシュトライヒ監督の下継続路線を続けるチームは、今季も安定した戦いを見せている。

資金力には乏しいが若手主体の走るチームはリーグ走行距離トップ。とはいえ、流行のトランジションスタイルではなく、短いパスを繋いで崩している。

そのスタイルの影響かどうかは分からないが、4つのペナルティーキックを獲得。全て沈めている。これはリーグトップの数字だ。

選手も粒揃いだ。局面で違いをつくり、リーグトップクラスのチャンス演出数を誇るグリフォや、平均走行距離でトップを走るハーベラー、対人勝率の高いアブラシとソユンク。全て交代出場からチームトップの5ゴールを決めているスーパーサブのペーターセン。個々の強みを最大限に活かして、非常にまとまったチームとなっている。

戦力で上を行く相手に力負けする試合は少なくないが、勝てる相手からきっちり勝ち点を積み上げる安定感は、さすが2部王者である。

今季は中位を維持したままシーズンを終えると見ている。2年連続の昇格2チーム残留は、ほぼ間違いないだろう。それどころか、歴代最高の昇格組と呼ばれるかもしれない。



~My Opinion~

前半注目のライプツィヒは好き?嫌い?

2009年のレッドブルによる買収騒動から早7年。当時5部に居たSSVマルクランシュタットはRBライプツィヒへと名前を変え、色々な議論を生みながらも遂に今季ブンデスリーガに乗り込んできた。現地では他クラブサポーターの応援ボイコットなど多数の反発が話題を呼んでいる。恐らく、誰の目からも鮮烈な印象を残したライプツィヒの是非を問う。


■魅力的なコンセプトには好意的だが、レッドブル社のあり方に強い嫌悪感

文・Fusshalt

サッカー文化の破壊者たるライプツィヒが、前半戦で旋風を巻き起こした。個人的にはチームとしてのコンセプト(若手を中心に据えたチーム、戦術コンセプトに合致した若手選手の補強、ユース育成も含めたチームコンセプトの徹底、施設・設備を充実させる)は非常に魅力的であり、バイエルン一強状態といえる現状を打破しうる存在として、また豊富な資金をバックにした才能溢れる若手達による旋風のように激しいプレーは見る者にとって魅力的で、好きか嫌いかで言えば好きである。

だが、あくまでそれはチームとしてであり、バックにあるレッドブル社には嫌悪感しかない。「50+1ルール」を回避するために下位リーグの資金難のチームを買収し、自社の宣伝のためにチームの歴史や伝統の象徴であるエンブレムを自社のモチーフである牡牛に変更し、チーム名に自社を連想させるRBを入れる為に「Rasen Ballsports」(=芝生のボール競技)という造語を作った。

そういう、まず会社ありきという在り方には反感しか生じない。特に昨季英プレミアリーグを制したレスターシティがライプツィヒと対極にあるチームだから、余計にそう感じるのかもしれない。こちらは大富豪がチームを買収したケースだが、チームに敬意を表した運営を貫き、ただしスポンサードなどで自身の宣伝を行うというやり方は、実にスマートだ。

レッドブル社は数多くのスポーツをバックアップするという意味で無くてはならない存在ではあるが、何が何でも自身を前に出そうと言うスタイルを変えない限り、ブンデスリーガでは永遠にヘイトを集め続ける存在となると思う。


■個人能力に頼らない好チームと合理的な“系列システム”

文・とんとん

潤沢な資金で選手を獲得し、選手の個人能力で上位に食い込むようなら別だが、非常に組織立った好チームであるという印象だ。

今夏、ザルツブルクからアウクスブルクに移籍したヒンテレッガーが「ライプツィヒはザルツブルクを下部組織としか見ていない」と批判したように、レッドブル系列のザルツブルクから多くの選手を獲得している。その数は、24人のスカッドのうち7人(グラーチ、ベルナルド、シュミッツ、ケイタ、イルザンカー、サビツァー、今冬加入のウパメカノ)にもなる。

これも非難の対象となっているが、個人的には非常に合理的であると感じている。同じチーム哲学を共有し、言語も同じザルツブルクからの獲得はチームへの不適合リスクの心配が少なく、組み込みやすい。一方通行気味になっているが、ローンでの貸し出しで双方向とし、経験を積ませるのも面白いと思う。

ただ、ザルツブルクファンからしたら良い気はしないのかもしれない…。


■印象を変えた開幕戦。ハーゼンヒュットルの下、欧州への挑戦に期待

文・だのら

アンチが多いライプツィヒ。少し憎く、嫌いなところもあるが、私は好きだ。シーズン開幕前、豊富な資金を手に有望な若手を揃え、監督も引き抜いたこのチームにはあまり良い印象を受けなかったが、開幕戦を見てそれは変わった。

ハーゼンヒュットルの縦に速く、守る時は守るサッカーは知っていたが、ポゼッションもし、中央からじわりじわりと人数をかけて攻める。そのサッカーは昨シーズンのハーゼンヒュットルのそれを遥かに上回っていた。まさか、このチームが本当に優勝争いをするとは思いもしなかったが、今やバイエルンの連覇を阻止して欲しいと思うほどに好きになってしまった。

そしてこのままの流れで行くと、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの出場権も見えてくる。昨シーズンのレスターシティのように、勢いそのまま駆け抜け出場権を獲得し、ハーゼンヒュットルのサッカーが世界にどれほど通用するのか、ぜひ見てみたい。


■スタジアムの熱量は他に劣らず、大都市のポテンシャルも

文・まるよし

2択での選択肢しか無いのであれば、個人的には好意的に捉えている方の立場だ。単純に質の伴った魅力的なサッカーでリーグを活性化させているというだけでもブンデスリーガにとってプラスと言える。事実、ライプツィヒが旋風を起こしていなければ、今シーズンも既に優勝争いは終わっていた。まだ今のところは、他クラブのエース格のような主力選手を大金で引き抜くような補強もしておらず、競技面だけに限って言えばケチの付けようはあまり無いように思える。

一方でクラブ名の経緯など、マーケティング目的と言われても仕方が無い商業色の強さは否めないし、その部分に世間からマイナスの感情が集まっているのには頷ける。しかし、大企業をバックに躍進を遂げたのはヴォルフスブルクやホッフェンハイムも同じ。クラブ名で言えばバイエル・レヴァークーゼンという前例もある。ファン感情とは別に、何もライプツィヒだけが全て特別ではないというのは理解しておくと良いかもしれない。

また、クラブの歴史が浅いが故に、イメージ先行でスタジアムの熱の低さやファンの少なさを揶揄されることもあるが、一度レッドブル・アレーナで試合を観戦した身として、それは偏見に過ぎないというのは伝えておきたい。

2シーズン前に訪れた当時は、まだ初の2部を戦っているシーズンではあったが、スタジアムには老若男女問わず多くのファンが訪れ、アットホームでありながら熱量の高い雰囲気に包まれていたのを覚えている(写真)。それは、他のクラブと比べてもそれほど差異のあるものではなく、自分自身が事前に持っていたライプツィヒに対する先入観とのギャップを感じたのであった。


注)筆者提供

ライプツィヒ自体は、東ドイツでも屈指の大都市。街の大きさやスタジアムの規模を考えれば、レッドブル社の資金力を抜きにしても高いポテンシャルを持ったクラブであり、今後は地域のシンボルとして地元に根付いたクラブになっていくのではないだろうか。

余談ではあるが、唯一不満に感じたのはレッドブル商品で占められたスタジアム内の売店(写真)。これだけは受け入れられなかった(笑)。


注)筆者提供


■「西ドイツのリーグ」時代を変えうる痛快劇

文・ゆんゆん

好感を持っている。

長い間、苦汁を舐め続けた旧東ドイツのクラブが巨大資本を後ろ楯にリーグを席巻している。周囲の敵意を物ともせずに。ディナモ・ドレスデン、エネルギー・コットブス、ハンザ・ロストックなど、かつて1部で戦った旧東ドイツのクラブは幾つか存在するが、どれも長持ちせず短期間で姿を消した。統一後のブンデスリーガは変わらず「西ドイツのリーグ」であり続けた。その時代が、ついに変わるのかもしれない。

ライプツィヒはリーグの覇権を争うだけのポテンシャルを秘めているし、現に早速王者バイエルンと優勝を争っている。国内外のビッグクラブが羨むような有望株を掻き集めているとはいえ、昇格初年度にしては出来過ぎだとは思うが。これにはラングニックのコンセプトに基づいた一貫した強化とハーゼンヒュットル監督の手腕を称える他はない。来季の欧州行きもほぼ手中に収めたと言っていいだろう。

レッドブル社への反発から抗議運動を展開するファンには特に共感を覚えない。そもそも何に対して抗議をしているのかがよくわからない。大企業が資金を注入してクラブを強化しているのはヴォルフスブルクやレヴァークーゼンなども同様ではないか。それとも外国企業だから問題だということなのだろうか。旧共産圏のクラブに「カネより伝統」と抗議するなんて時代は変わるものだ。

いずれにせよ、カタール資本やアブダビ資本の入った欧州のビッグクラブを特に違和感なく応援している日本のサッカーファンには、そうムキになるようなことでもないと思う。ブンデスリーガを楽しむうえで何から何まで現地のファンに合わせる必要もあるまい。

それよりも、筆者は旧東側のクラブがこの櫓舞台で西側のクラブを蹴散らしている痛快さを楽しんでいる。

いいぞ、もっとやれ。



アナタの“正体”を暴く?!カルトクイズ~出題編~

恒例となりつつあるクイズだが、よりマニア度が上がったかもしれない。執筆者から募り、集めた10問(各10点、合計100点)。アナタは何点取れるだろうか。

出題者・YAMADA

問1 

16-17シーズンのドイツ・ブンデスリーガは、昨シーズン王者バイエルンのホームゲームで開幕した。この日、アリアンツ・アレーナに集結したバイエルン・ウルトラスは自分達の背番号10番に対して弾幕を掲げた。

曰く「ミュンヘンにあるクラブは1つだけだよ、アリエン!」



では何故、空飛ぶオランダ人はウルトラスからこんなことを言われたのだろうか?

a:ロッベン本人に1860ミュンヘン移籍の噂が上がった。

b:ロッベンの妻が1860ミュンヘンのファンショップで買い物をした。

c:ロッベンの息子が1860ミュンヘンのサッカースクールに参加した。


問2

ドイツと言えば、ビール。ビールと言えば、ミュンヘンのオクトーバーフェスト。バイエルン・ミュンヘン御一行様も毎年このビールの祭典には足を運んでいる。

では、2016年のオクトーバーフェストに登場したこの女性のパートナーは誰?



a:ドグラス・コスタ

b:キングスレー・コマン

c:ラフィーニャ


出題者・まるよし

問3

2010年にザンクトパウリが世界で初めてスタジアムに作った施設は何?

a:墓地

b:保育所

c:分娩室


出題者・暁空也

問4

現役時代はブレーメンやドイツ代表で活躍したGKティム・ビーゼが、現役を引退してから始め、昨年プロデビューを果たした競技は?

a:プロレス

b:卓球

c:レスリング

d:スキー


問5

ドイツの美人主審、ビビアナ・シュタインハウス氏が昨年10月下旬、交際を明かした元レフェリーの男性は?



a:岡田正義

b:ハワード・ウェブ

c:ピエルルイジ・コッリーナ

d:バイロン・モレノ


問6

「ポケモンGO」の流行を捉え、昨年7月にホームスタジアムで「ポケモン狩りツアー」を開催したクラブは?

a:バイエルン

b:ドルトムント

c:ヴォルフスブルク

d:シャルケ


出題者・かめゆみこ


問7

「キッカー」が選んだ2016年の言葉大賞は、ケルンのシュテーガー監督の「副審に私の眼鏡を差し出したよ。それでも見えなかったようだが」だった。では2位は?

a:「ミュンヘンは歯医者に行くようなものだ。毎回行かなくちゃいけない。たくさん痛むことも、どうにか無事に終わることもある」(ブレーメン時代のプレードル)

b:「チームでは何の問題もない。君も僕も8割はタマを掻いたことはあると思うよ」(ドイツ代表でのポドルスキ)


c:「家探しをすでに一つ断られたよ。貸主は長期の借り手が欲しかったようでね」(シャルケ・ワインツィアル監督)



出題者・るか

問8

若くして選手としての道を絶たれたナーゲルスマンが指導者への道を歩み出すにあたってキャリア選択に最大の影響を与えたとナーゲルスマン本人が語ってるのは誰?

a:トーマス・トゥヘル

b:ラルフ・ラングニック

c:ヨス・ルフカイ

問9

現在のブンデスリーガの監督のうち、選手時代にチームメイトとして一緒にプレーしたことがあるのは?

a:ディーター・ヘッキングとヨアヒム・シュトライヒ

b:ヴァレリアン・イスマエルとトルステン・フリンクス

c:ニコ・コバチとパル・ダルダイ

問10

※完答のみ正解

2011-12のチャンピオンズリーグの決勝に登録されたバイエルンの控えメンバーで、現在も独ブンデスリーガでプレーする選手は3名いる。それぞれが所属するクラブは?



第7章 前半戦を彩った名手達

例年に比べ、勢力図が大きく動いた前半戦。変化の中には幾人もの名手の姿が浮かぶ。皆の目に映った名手は誰だろうか――。

■“ジズー”の面影重なるフランクフルトの超新星

文・暁空也



昨年12月21日、マインツの守備陣は18歳に蹂躙された。

フランクフルトのアイメン・バルコック。驚愕のショーの始まりは、75分だった。左サイドでボールを持つと、重心の移動だけで対峙するCBハックに尻餅をつかせ、ペナルティエリア内に侵入。飛び出してきたGKレスルもフェイントで軽やかに交わし、ボールをゴールに流し込んだ。

さらに、85分。絶妙な飛び出しで味方からパスを引き出し、中央を突破すると、後方から追いかけてきたドナーティをいなして左のフルゴタに繋ぎ、アシストを記録した。

※以下の動画の34秒以降

https://www.youtube.com/watch?v=DRrk4vATqdo

188cmの巨躯からは想像しづらい、繊細で柔らかいタッチや豊かなスピードと、18歳の若さに似つかわしくない怜悧な判断力。才気は溢れ、迸(ほとばし)った。

バルコックは1998年5月21日、フランクフルトでモロッコ国籍の両親の元に生まれた。SGプラウンハイムでフットボールを始め、ロット・ヴァイス・フランクフルト、キッカーズ・オッフェンバッハを経て、2013年にフランクフルトの下部組織に加入。右利きで“本職”はセントラルミッドフィルダーだが、柔軟性に優れ、サイドもこなす。

独「ビルト」によれば、早くから注目される選手ではなかったという。十字靭帯を損傷したり、自転車で転倒して肘を骨折したり、U-19ドイツ代表に初めて招集された際には練習で怪我を負ったりと、不運にも見舞われた。

しかし、徐々に台頭。昨年10月20日にプロ契約を結ぶ。「夢が叶った」と笑顔を見せた彼は、同11月20日のブレーメン戦でデビューを果たす。

75分にガチノビッチに代わって投入されると、90分だった。こぼれ球を拾って前進すると、寄せて来たマーカーを左への切り返しで交わし、ペナルティアーク付近で左足を振り抜く。美しいカーブに彩られた白球は、ゴールの左へと吸い込まれた。

※以下の動画の冒頭

https://www.youtube.com/watch?v=DRrk4vATqdo

初出場初得点の快挙に、バルコックは「信じられないよ」と歓喜を爆発。コバチ監督も「1-1の状況でティーンエイジャーを投入するのは『クレイジーだ』と思う人もいるかもしれないが、彼には並外れたテクニックがある。あのゴールを見ただろう?」と賞賛した。

バルコックのアイドルは、ユベントスやレアル・マドリーで活躍し、フランス代表をワールドカップや欧州選手権のチャンピオンへと導いたジネディーヌ・ジダンという。「彼のテクニックと試合の流れを読む力はズバ抜けていた。また、ボールを持つと非常に冷静だ。それが好きだった」と語る。確かに、卓越した技巧と閃きは、同じアフリカ大陸のアルジェリアにルーツを持つジダンを彷彿させる。

もっとも、偉大なる「ジズー」(ジダンの愛称)の域に達するためには、まだまだ改善が必要だ。時折、球離れの悪さが顔を覗かせ、一方でボールに触る回数が少ないと試合から消えてしまう。ヘディングも弱点の1つだ。

ブレーメンやマインツを呑み込んだ眩(まば)ゆい輝きを、より磨き上げられるか。フランクフルトの背番号28がハードルを越えた時、“本家”の背中が見えてくる。


■無敗のホッフェンハイムで攻守に貢献したヒュブナー

文・だのら

前半戦を唯一の無敗と、メディアを大きく驚かせたホッフェンハイム。その中でも私が印象に残った選手がベンジャミン・ヒュブナーだった。



私の贔屓チームであるインゴルシュタットから移籍したこともあり、注目はしていたが、その出来は予想以上だった。

序盤はジューレ、シェア、フォクトとのポジション争いに、新加入ということもあって遅れを取ったが、古巣・インゴルシュタット戦を機に出場機会を得ることになり、

以降は全試合出場。移籍後のシーズンを主力として活躍した。

高い身長を活かした空中戦の強さや、タックルの上手さが光っており、ピンチの場面も落ち着いた対応を見せていた。15節のドルトムント戦では、コーナーキックからヘディングで繋いでのアシストに加え、前線へのロングパスからのアシストも記録し、攻守においての貢献が目立った。27歳ながらセンターバックとしてさらなる成長を遂げる彼には今後も目が離せない。


■要を担うフォルスベリとチアゴ

文・とんとん

まず前半戦のMVPとして真っ先に思い浮かぶ2人、ライプツィヒのエミル・フォルスベリとバイエルンのチアゴ・アルカンタラだ。

フォルスベリはライプツィヒの独特の守備タスクをこなしつつ、カウンター時はスペースメイク・フィニッシュ・アシストと、どの役割でもハイパフォーマンス。引かれた時にはエジルのような豊富なアイディアとテクニックで攻撃をつくり、チームの躍進を支えた。



チアゴは巧みなポジショニングで攻撃の起点を担う。スペースメイクの動きが少ない今季のバイエルンの中で、自らサイドに流れてギャップをつくったり、わずかなスペースの中でボールをコントロールし中継点となったりと、攻撃の中心として存在感を放った。何気に1試合あたりのパスカットの本数はリーグで最多である。



その他、若手に目を向けるとマインツのジーン=フィリップ・グバマンが印象的。今夏に入団した彼はバウムガルトリンガーの抜けたボランチとして定位置を掴む。フランス産ボランチらしい強靭なフィジカルと危機察知能力で敵のチャンスの芽を摘んだ。



フライブルクのヴィンチェンツォ・グリフォはプレーエリアが広く、アタッキングサードだけでなく、リンクマンとして低い位置で組立てのサポートもこなした。どのチームでも重宝される万能タイプで、イタリア方面からもオファーの噂が挙がっている。



下位チームで印象的なのがインゴルシュタットのパスカル・グロス。右足のキック精度が非常に高く、プレースキックに定評がある。チームは17位と低迷しているにもかかわらず、1試合平均のキーパス数はリーグでナンバーワン。非常に献身的に守備もこなすチームの支柱だ。




■昇格クラブの最終ラインで奮闘する若き戦士

文・YAMADA

昨シーズンのツヴァイテリーガを優勝したフライブルクは、今季のブンデスリーガでかなり頑張っている。なんと冬休みを1桁順位で迎え、ボルシアMGは言うに及ばず、シャルケやレーバークーゼンよりも上にいるのだ。にもかかわらず、あまり取り上げてもらえないのは、ひとえにチームが地味だからだろう。その地味なクラブにあって、自分のハートを射抜いてくれた選手がいる。20歳のCBカグラル・ソユンクである。



自分がソユンクのプレーを注目するきっかけとなったのは、第7節ホッフェンハイム対フライブルクであった。最初は「フライブルクのCB、髪がクルクルしる~」、「あ、ガム噛んでるぞ~」くらいの軽いきっかけで、ソユンクが目にとまった。が、それだけのことで、ハートを打ち抜かれはしない。


左がソユンク、右はワーグナー

実は、この試合、アレヨアレヨという間に「ソユンクonステージ」な展開となったのだ。

まず34分、最終ラインのソユンクがパスミスし、これが相手への決定的なアシストパスに。敵からパスを貰った形になった相手FWワーグナーは、当然これを相手ゴールに押し込んでホッフェンハイムが先制した(ソユンク=逆アシスト1)。

失敗を取り戻すべく、後半も滅茶苦茶張り切るソユンクは78分、前線へ見事な縦パスを通し、これをニーダーレヒナーが決めてフライブルクが同点に追い付く(ソユンク=アシスト1)。

しかし、その直後の80分。フライブルクのペナルティエリア内に侵入してきたルディをソユンクが後ろから押し倒してあっさりとPK献上。これをクラマリッチが決めてホッフェンハイムが逆転に成功した(ソユンク=PK献上=逆アシスト1)。

結局、試合は2-1でホッフェンハイムが勝利し、ソユンクはこの試合の3得点全てに絡む大活躍(1アシスト&2逆アシスト)を見せたのだ。

なんというエンターテイナー。面白過ぎる。

ちょっと暑苦しい外見(トルコ系らしい彫の深い顔立ち、太い眉と少々眠たそうな二重瞼)で、滅茶苦茶覚えやすい顔立ちなのもイイネ!

その後、フライブルクの別の試合をDAZNで見ていたら、解説者が「20歳と若いのでポカも多いが、対人も強いしパスも出せるしこれからが楽しみなCB」というような紹介をしていた。

確かに、ソユンクのプレーには波が有る。「キッカー」の採点を見ても、あまり高い評価は得られていない。

だが、Optaによると、16-17シーズンの前半のツヴァイカンプフ(1対1、いわゆるデュエル)の勝率2位がソユンクで、174回・69.0%なのである(ちなみに1位はバイエルンのフンメルスで163回・69.3%)。

素晴らしいじゃないか、高い可能性を感じるぞ、ソユンク!

と、いうわけで、今一押しの若手CBソユンクなのである。みんな、応援してね。



~My Opinion~

ミュラーの不調で露わになるバイエルンの特異性、タイトルより大事なものがある?

文・まっつー

トーマス・ミュラーの調子がどこかおかしい。2008-2009シーズンにトップチームに昇格して以降、毎年のように公式戦で2桁得点を挙げてきた男が、今季はここまでリーグ戦の15試合に出場し、僅か1ゴールにとどまっている。指揮官は何としてでもこの問題を解決する必要があるが、カルロ・アンチェロッティはまだその重要性を理解していないのかもしれない。

最初はアンチェロッティ監督によるシステム変更の“被害者”だと考えられていた。開幕から4-3-3というポジションにこだわっていたアンチェロッティのチームにミュラーの居場所はなかったからだ。

もっとも、居場所はないと言っても、試合には出場し、ポジションは与えられていた。ある時は右ウイング、またある時は左ウイングといったように。ドリブルで違いを生み出せるタイプではないミュラーにとって、難しい位置であることは間違いなかった。

一方で、アンチェロッティ監督は中盤の3人のうちの1人にミュラーを当てはめるつもりはなく、9番のポジションにはロベルト・レヴァンドフスキがいるため、納得がいく選択でもあった。

改めて説明するまでもないが、ミュラーは「トーマス・ミュラー」というポジションを与えて初めて活躍できる選手なのだ。「相手にとって危険な場所が感覚的に分かる」と以前にインタビューで話したこともあるミュラーが、スペースを見付けるのには中央が好ましいということをアンチェロッティは理解できていなかった。

実際、それからミュラーは得点感覚という最大の武器をなくし、チームの不調をも招いた。11月には公式戦3試合で勝利から遠ざかるという厳しい時期も経験している。そのため、12月3日に行われたマインツ戦からアンチェロッティ監督は4-2-3-1を採用し、ミュラーをトップ下に据えた。柔軟性を最大の長所とするイタリア人指揮官らしい選択で、ミュラーの動きも見違えるほど改善されている。それからほどなくしてシーズン初ゴールも生まれ、ミュラーの完全復活は近い…はずだった。

フォーメーションを変更後、確かにチームは上昇気流に乗った。マインツ戦以後、公式戦は全勝中ということからも容易に理解できることだろう。一方で、自らのポジションに戻ってきたはずのミュラーにゴールラッシュの波は訪れず、“チームの顔”の表情はどこか冴えない。

それは長い中断期間を経た後の後半戦でも同様だ。カタールで行われた冬のキャンプでアンチェロッティは4-2-3-1をみっちり鍛えたというが、再開後の2試合を見る限り、どうやらミュラーを最大限に活かすために割かれた時間はそれほど長くなさそうである。これは決して簡単に見過ごしていい問題ではないというのに、だ。

フライブルク戦ではビルドアップの際にアルトゥーロ・ビダルが最終ラインの左に落ちることで、ドウグラス・コスタへのパスコースの角度を確保。ミュラーも中央で、相手DFを釘付けにするというタスクを担っているが、あくまでサイドの突破力を活かすために採られた策だ。もっとも、この試合ではビルドアップからのミスが多く、作戦がハマったとは言えなかった。

ブレーメン戦では両サイドに陣取るフランク・リベリとアリエン・ロッベンというアンタッチャブルな選手を最大限に活用するため、ボールはミュラーを通過し続けた。中央で虎視眈々と狭いスペースを睨み続けるミュラーは、まるで存在しないかのごとく扱われ、62分にレナト・サンチェスとの途中交代を余儀なくされている。

アンチェロッティほどの指揮官がミュラーを隅に追いやる危険性を理解できていないはずがない。かつてバイエルンを率いたルイ・ファン・ハールは「ミュラーは常にピッチに立つ」と語り、ジョゼップ・グアルディオラ前監督がチャンピオンズリーグの準決勝という舞台でミュラーをベンチに置き、多くのバッシングを受けたことは記憶に新しい。だからこそ、アンチェロッティは最も穏やかな方法を採っている。ミュラーを起用しながら、決して彼中心のチームにはしないといったようにだ。

実際、外部の人間もそういった“企み”を見抜きつつある。ローター・マテウス氏は自身が執筆する「シュポルト・ビルト」のコラムで「4-2-3-1というシステムにミュラーのポジションはない」と断言し、トップ下にはミュラーではなく、チアゴ・アルカンタラを推している。現状で「6番」のポジションとして起用されているスペイン人テクニシャンだが、ミュラーが活躍できていない現状を客観的に見ることができれば、「10番」のポジションに引き上げるのは悪くないアイディアだろう。

とはいえ、ミュラーを先発から外すことは誰も望んでいない。先日、クラブの重鎮であるウリ・ヘーネス会長が「トーマスが疑いなき、先発メンバーになることを願っている。彼は調子が良く、自信を失っていなければ、常に先発に入るし、バイエルンのカギになる選手だからね」と語った通り、ミュラーはバイエルンの“シンボル”なのだ。

確かに、タイトルの獲得や結果といった面で見れば、レバンドフスキ、ロッベン、リベリ、コスタといった個の力を活かすことが最も効率的な道筋で、リスクが少ない。これまでもアンチェロッティ監督はそういったスター選手の能力を活かすため、システムを整備し、多くの成功を収めてきた。

しかし、ことバイエルンに関しては好まれるやり方ではない、許されないとすら言っていいかもしれない。バイエルンの指揮官は、時にシステムにマッチせず、不調に陥っている選手を使わなければならないという“特異性”にも適応しなければならないのである。



アナタの“正体”を暴く?!カルトクイズ~回答編~

問1の答えはc

ロッベンの息子が1860ミュンヘンのサッカースクールに参加した。ブンデスリーガ開幕前の8月中旬、ロッベンの息子ルカ君があろうことか1860ミュンヘンのサッカースクールに参加。ロッベン本人もその練習を見学しており、1860サポから驚きの声が上がった。




問2の答えはb



なお、ドグラス・コスタのパートナーはこちら。



また、ラフィーニャのパートナーはこちら。



問3の答えはb







「海賊のすみか」と名付けられた保育所は、6歳以下の子どもを最大100人受け入れ可能。試合のある日は来場客の子どもたちを引き受ける。保育所からはピッチを見渡すことができ、子供達もザンクトパウリを応援することができる。ちなみに墓地はHSVが作り、分娩室はハノーファーがオープンした。

問4の答えはa

WWEと契約し、昨年の11月3日にデビューした。ちなみに、タッグマッチを見事に制した。



問5の答えはb

ハワード・ウェブとシュタインハウスは共に元警察官で、審判の講習会で意気投合したという。ウェブは既婚者で、英国紙によれば家族関係は破綻しているそうだが、実質的には「不倫」であり、審判員の“ファール”にレッドカードが出されてもおかしくない。

問6の答えはc

ポケモンGOに便乗したのはヴォルフスブルクで、料金は5ユーロだった。

問7の答えはc

過去10年で11人目の監督になったワインツィアル。彼は首脳陣が納得する結果を出せるのだろうか。

問8の答えはa

アウクスブルクのセカンドチームで引退を決めたナーゲルスマンは、当時のセカンドチームの指揮官だったトゥヘルにスカウティングを任されたことから、指導者を目指すようになった。ちなみにcのルフカイは当時のトップチームの監督。

問9の答えはc

ヘルタ・ベルリンの在籍が1997-2011と15年近くになるダルダイ。コヴァチは92-96で一度チームを離れていたが、03年に帰還して03-06の3シーズンで共演し、ボランチでコンビを組んだ。

ちなみにフリンクスはブレーメンが97-02、05-11、バイエルンが04-05。イスマエルはブレーメンが03-05、バイエルンが05-07で、すれ違っている。シュトライヒはDDRオーバーリーガのみでのプレー。ブンデスリーガでのプレー経験はない。

答10の答えはバイエルン、フライブルク、アウクスブルク

該当する選手はラフィーニャ、ペテルセン、宇佐美。その他の控え選手はブット、ファン・ブイテン(共に引退)、プラニッチ(FCコペル・スロベニアリーグ)、オリッチ(TSV1860ミュンヘン・ツヴァイテリーガ)。


皆様、何点でしたか?

適当にランクを分けると…

0点→大凶

10問中9問が3択でありながら0点とは、驚異的な運の持ち主です。籤引きなら大凶が引けるかもしれません。

10点~40点未満→初級者

まだまだ独ブンデスリーガを学び始めたばかりのアナタ。少しずつ、知識を蓄えていきましょう。

40点以上~70点未満→中級者

幅広く情報を収集しているアナタ。60点近く取れたならば、上級者への扉は目の前にあります。

70点以上~90点→上級者

基礎から流行、ディープまで対応できるアナタは、独ブンデスリーガにどっぷりと浸かっています。大切な友人やパートナー、家族などに呆れられたり怒られたりしないように気を付けましょう。

100点→マニア

神話級の実力者。是非とも次回からこの企画に参加して頂きたい。丁重に、おもてなし致します。ご連絡、お待ちしております(笑)。



第8章 “青き侍”の前半戦

今季も多くの日本人がブンデスリーガでプレーしている。前半戦の彼らのプレーについて感想を集めてみた。

■再び分かれた明暗

文・暁空也

“青き侍”の明暗は、今季も分かれた。ケルンの大迫やHSVの酒井、フランクフルトの長谷部、ヘルタ・ベルリンの原口が主軸を担う一方、アウクスブルクの宇佐美やドルトムントの香川、マインツの武藤は怪我もあって先発に定着できず、ヨーロッパリーグで途中出場を果たしたシャルケの内田も、ようやく復帰への一歩を踏み出したに過ぎない。独ブンデスリーガでは数年来、日本人の誰かが活躍すると誰かがポジションを失うという状況が続くが、今季もそれは繰り返された。

大迫は、トップ、トップ下、両サイド、さらには中盤の底でも起用され、主にチャンスメイクを任された。ケルンは、得点の大半をモデストが挙げる。彼に繋ぐ、彼を生かす動きを、シュテーガー監督は大迫に求めた。実際、攻撃では優れたキープ力と正確なパスでモデストにチャンスをもたらし、守備では走れない――恐らくは“走らない”――モデストの穴を埋める。決して本意ではないだろう。しかし、チームのために奮闘。手にする好機が限られる中でも得点やアシストを伸ばしており、ケルンの躍進を支える大黒柱だ。

酒井は逞しさを増した。以前は好不調の波が激しく、精神的な弱さを窺わせたが、不慣れな中盤の中央でのプレーや主将の責任感は、彼を“大人”に変えていく。今では1つひとつのプレーに安定感があり、表情にも自信が漂う。攻撃での迫力や精度が増してくれば、リーグで屈指のサイドバックになり得る。

長谷部は、3バックの中央で声価を高めた。190cm級のセンターバックが多い独ブンデスリーガで、180cmの彼が輝けるのは、いわゆる「フットボールIQ」が抜群だからだ。味方と敵のポジションや体勢などを見極め、いち早く動き出し、ピンチの芽を摘む。常に“先”を取れるため、高さやパワーで勝る相手との競り合いにも勝てる。元々は中盤の選手であり、最終ラインからのビルドアップの向上にも貢献。独メディアが彼を「ベッケンバウアー」と評したのは、最大級の賛辞だ。

原口は、攻守のクオリティが一段と上がった。攻撃では「自ら仕掛ける時」と「味方を生かす時」を的確に判断。ペナルティエリア付近での怖さが増した。守備は従来の運動量や献身性に強靭さが加わり、“奪い切る”回数が上昇。決定力に難を抱え、得点の数は物足りないが、サイドアタッカーとして着実に進化している。

宇佐美や香川は、コンディションの問題だけでなく、その個性が監督の志向と一致せず、ピッチから遠ざかった。前線の人選でも守備力を重視するアウクスブルクと宇佐美の親和性は低く、縦に速いスタイルへシフトしたドルトムントに香川の居場所は見付けづらい。ただ、宇佐美はシュスター監督の解任後に出番を増やしており、香川も継続的にチャンスを与えられている。ゴールやアシストなど“目に見える結果”を示し、先発の座を掴みたい。

武藤は怪我の回復が遅れ、3試合の出場にとどまったものの、2得点の“荒稼ぎ”。マインツの前線は充実しており、競争も激しいが、シュミット監督は最前線でも2列でも機能する彼を重用する。後半戦は当面、「スーパーサブ」としての起用が濃厚だが、限られた時間で輝きを放ち、序列を覆したい。内田は、復帰後に右膝とは別の場所を負傷。シャルケの戦力に数えられるまでは、なお時間を要する。現実的には、後半戦も“試運転”に充て、来季に復活を期すべきかもしれない。


■信頼を得た酒井、巻き返しを期待される宇佐美、そして内田は大怪我から待望の復帰も

文・だのら

酒井高徳がHSVのキャプテンに就任したり、期待された宇佐美があまり使われなかったりと、色々なことがあった。怪我の武藤、宇佐美、香川は出場機会をあまり得られなかったものの、全体的に見れば多く与えられており、良いシーズンになっていると思う。

モデストとコンビを組み、ケルンの攻撃を牽引した大迫や、攻撃のキーマンと化している原口は、ゴールやアシストこそ少なかったものの、自分の役割をこなした。長谷部や酒井も不慣れなポジションながらも良いパフォーマンスを見せ、監督の信頼を得ていた。これから始まる後半戦も、彼らは出場機会を得るだろう。

また、出場機会が少なかった宇佐美も、新監督の構想内に入っており、後半戦での巻き返しに期待がかかる。長期間怪我に悩まされ、一時は引退報道も出た内田篤人の復帰も間近とのことなので、日本人同士のマッチアップなど、“日本人ダービー”の楽しみがまた増えるだろう。


■得点を量産するモデストを支える大迫

文・とんとん

日本人でのベストは、ケルンの大迫。得点ランクで2位につけるモデストは得点こそするが、守備は下手な上、ほとんど関与しない。そんな彼とコンビを組むとなると、守備のタスクは膨れ上がり、起点となる動き出しにも奔走しなければならない。絶対にコンビを組みたくないタイプだ。システムによってはサイドなど別ポジションでの起用となるが、ほぼ全試合でスタメン出場。献身性とその時々に応じた融通の利くプレーでシュテーガー監督の信頼を掴んだ。



~おわりに~

「3」の公開が大幅に遅れ、誠に申し訳ありません。執筆者の問題ではなく、全て私の責任です。読者および執筆者に、平身低頭して陳謝致します。

そして、来たる「独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“回顧録”」は、遅くとも7月中旬には公開できるよう、すでにプロジェクトが進行中です。

私は罪滅ぼしも兼ねて新しい執筆者の“スカウティング”を積極化しましたが、幸いにも成果は上々。既存の執筆者と合わせて20人を突破する見込みです。ドルトムントやケルンも、ついに担当者が決まりました。内容は、さらに濃密になります。完成品を思い描くだけでワクワクしますし、ご期待下さい。

最後に、読者および執筆者に心からの感謝を。


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