1994年初夏。


携帯電話なんてものはまだ

ヤクザかホストか一部の成金くらいが持つものだと思われていたこの時代

たまたま家に居た僕の家電(かでんではなくいえでん)が鳴った


「あ、どうも! ノイズTVマシーンのもんだけど」

この時代のパンクな若者は

敬語なんか使わない

 

「あ! あのちさいモヒカンの!

どしたの?」

 

「ああベースのね(笑)。あいつとギターのやつ辞めちゃってさぁ(笑)(笑)

俺、今度入ったギターのもんなんだけど~

一緒にホコ天やんないかなと思って~」

 

ん?

いまいち頭の中で整理がつかない

俺がこの前、
あのモヒカンの小男にライヴハウスのドアをやさしく開けてもらって驚いたのは、

ほんの1~2ヶ月前の話だ。


あのバンドでもっともパンチの効いてたあのモヒカンの小男が辞めた!?


てゆうかあいつベースだったのか。


で、たしか、アイドルっぽい若そうな

そう、光ゲンジの山本淳一似のやつが横にいたな?

とゆうことはそいつがギターでそいつも辞めた!?

 

で、

今、電話で喋ってるのは、会ったこともない入りたてのギターの奴。


なまってる。


会ったこともないのに、なんだか顔が浮かぶ。


太ってるような気がする。


でもなんだ?


押しが強い。


何かを感じる。


直感めいた何かだ!

 

 

なんとか整理がついた。


「ホコ天!? やるやるっ!!

いくらかかんの?」

 

当時からまず気になるのは金だ。

だって、すげぇ金かかんならやりたくてもできないからね。

 

「いまんとこ俺のバンドと2バンドだから、
1バンド\25000で音響の機材とかPAとか全部込みだよ!

アンチノックとかのノルマと一緒だよ。

場所取りは俺たちがやっとくからさぁ~、エンブロイルは当日昼過ぎに来てくれりゃいいよ!

短波等ってバンド知ってる?
あいつらと2バンドでやってたんだけどあいつら解散しちゃってさぁ」


『短波等』と書いて『たんぱら』とゆうバンド。

このバンドともたしか2回くらい対バンで会ったことある。

ヴォーカルがやたらうまくてかっこよくて

 

ちなみにこの当時の僕の中のうまくてかっこいいとは

世良まさのりみたいなとか男っぽいやつです。


ベースのやつもやけにモテそうなやつだったなとゆう印象のバンド。

あいつらも解散したのか。

 

「で、今度の水曜にアンチノックで俺たちやるから来てよ!

そんときくわしく喋んべ!」

 

なまってんな。


↑もちろん水曜だったか何曜だったかまではさすがに覚えてないけど

行く約束をした。


なによりもホコ天でやれることが嬉しかった!


場所取りのルールや機材の用意の仕方や

なにもわからないためにやらずにいたホコ天で

ついにやれるんだ!

しかも全部用意してくれるんだって!

やた~!!


この電話をかけてきた奴に早く会いたくなってきた。

 

 

そして水曜日(仮)