「人間は1日に平均でスプーン40杯もの砂糖を摂取している」
それは何も甘いものに限ったわけではなく、今や砂糖はカタチを変えて様々な食品に入り込み、むしろ一般家庭にある食品や、「ヘルシー」と宣伝された「低脂肪」食品にまで"砂糖"の危険性が及んでいるのだ。そのことを知ったオーストラリアの俳優デイモン・ガモーが自ら実験体となり、1日にティースプーン40杯分の砂糖を60日間にわたって摂取するという実験に乗り出した!砂糖を摂りつづけるガモーの体には一体どんな変化が訪れたのだろうか・・・?次々と出てくる衝撃の結果が大きな話題となった本ドキュメンタリー作品『あまくない砂糖の話』は、オーストラリアでは自国製のドキュメンタリー作品として史上最高の動員を記録、驚異的な大ヒットとなった。
本作でモルモットとなったガモー自らが語る、"あまい"砂糖に隠された"あまくない"真実!来日した彼にとにかくいろいろ聞いてみた。
――低脂肪ヨーグルトやフルーツジュース、シリアルといったいわゆる「ヘルシー」と謳われている食品に、実は大量の砂糖が潜んでいるという事実に驚きました!公開されたオーストラリアで大ヒットとなり、反応も凄かったのでは?
公開されてしばらく経つけど、オーストラリアで外を歩いてると話しかけられたりします。皆、すごく感情的な反応を示してくれて、「人生が変わった」「体重が減った」「食生活が変わった」とか話しかけてくれますね。Facebookでも毎日のように"ビフォアー・アフター"のメッセ―ジ写真が送られてきて、多くの人たちにインパクトのある映画を作れたことは本当に誇りに思ってます。
――何か政治的な圧力はなかったですか?
政治的に問題のある作品だったことは確かです。ただ、ニュージーランドやイギリスでは行政もこの映画を取り上げてくれたり、上映会もしてくれたんです。オーストラリアではそういうことはなかったんですが、ただ、国内の食品業界のいくつかは、我々にコンタクトしてきて「現状を変えたい」「砂糖の量をもっと減らして良い製品を作りたいけど、どうしたらいい?」などアドバイスを求めてきた会社も実際にありました。
――素晴らしいことですね!ちなみに国民の3人に1人が肥満になっているという、世界一の"砂糖大国"アメリカでは公開されたんですか?
Yeah!(目を見開いて)
――反応はどうでした(笑)?
アメリカでパブリシティツアーをした時に、ABCやNBCと大手の番組に出演させてもらったんですが、出るときに「砂糖組合」みたいなところから毎回弁護士が来て、「糖尿病、あるいは肝臓病という言葉を使ってはならない」という指示を出演前に受けたんですよ。つまりメーカーがいろいろと工作して、「砂糖」がそういう病気の名前に触れることがないように操作をしているんですよね。でも消費者にとっては、嘘をつかれている事と同じで、真実が見えなくなっている現実は感じました。
――特に「低脂肪」などが書かれている食品にあれだけ砂糖が入ってることに驚きました!個人的にはアメリカのスムージー(ヘルシーと表示されているにも関わらず実際にはスプーン34杯もの砂糖が入っていた!)に衝撃を受けましたが、ガモーさんが個人的に衝撃を受けた食品は?
トマトソースはびっくりしましたよ。よくラベルを見るとティ―スプーン8杯のもの砂糖が入ってましたからね。8杯はコーラと同じです。あとはソース類。マヨネーズとかバーベQソースとかは6~8杯もの砂糖が、フローズンヨーグルトだって11杯の砂糖が入ってますからね。しかもフローズンヨーグルトなんて、「低脂肪」をうたって、パッケージデザインも健康的な感じでデザインしてるのに、実際には砂糖がきっちり入ってますからね。これが現状です。
ちょうど30年位前に、「脂肪がよくない」というブームがありました。それ以来私たちの生活の中では「脂肪」がずっと敵でしたが、ただ最近になって脂肪は満腹感を感じるためにも、自然に摂取できる脂肪(アボガドやナッツなど)は必要であるというのが科学的にも証明され、知識としても広まってきたんです。ただ「脂肪が敵」の時代に、食品に「味をつける」ということで登場したのが、砂糖だったんですね。
なので現状、砂糖が入ってないと逆に「味がしない」みたいな錯覚を起こしてしまうんです。子供がよく野菜を嫌うのは、彼らが甘いもの、いわゆる砂糖が入っているものを頻繁に食べてるがゆえに、味覚がおかしくなっているんですね。そういう意味も含めて、再教育、とくに親の立場から再び教育していくのがとても重要だと思います。
――教育という意味で、アメリカのケンタッキー州で幼い頃から毎日マウンテンデューを飲み続けているという虫歯だらけの少年には驚かされました。
彼が通っていた歯医者さんに話を聞くと、大体日に5~6人ほど患者がいて平均年齢は4~8歳の間なんです。彼と同じような子、もっとひどい状態の子たちをたくさん見てきている。すごくショッキングでしたね。
あとアメリカで出ている科学的事実というのは、結局はフード業界、食品業界によって雇われている科学者たちによるものが本当に多いということ。彼らは雇われて、真実を隠すようなデータや実験結果を出す。彼らの言いワケとしては「摂取するあなたの責任ですよ」と言っているんですけど、その一方で膨大な広告費を使って科学者を雇い、ソーシャルメディアで嘘の情報を流したりしているワケです。一時期のたばこ業界と似ているんです。
――ちなみに日本食はどう思ってますか?
日本は伝統的な食生活が非常に根付いているので、魚・米・野菜を中心とした食文化があるから大丈夫じゃないですかね。ただオーストラリアにはそういううものがなくて、ミートパイだったり、KFCだったりマクドナルドだったり、そこが大きな違いだと思います。ただ最近中国で、1990年第初頭には肥満がいなかったのに、今は増えてきてる。これは明らかに欧米の食生活が浸透しているという理由があると思うので、これから気をつけていかなければいけないと思います。
3月19日よりシアター・イメージフォーラム他順次公開
(C)2014 Madman Production Company Pty Ltd, Old Mates Productions Pty Ltd, Screen Australia ALL RIGHTS RESERVED
■参照リンク
『あまくない砂糖の話』公式サイト
http://amakunai-sugar.com/
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