クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ヘイトフル・エイト』、映画美術の巨匠・種田陽平にインタビュー。前編に引き続き、後編では、タランティーノ監督を大解剖! 種田氏が「『キル・ビルVol.1』(03)的なキツさとは今回のキツさはまた違いました」と語る、その理由とは!? "タランティーノ監督の小津安二郎化現象"とは!?
――今回のタランティーノ監督との仕事は、今までにないほど大変だったそうですね?
きつい仕事でした。「『キル・ビルVol.1』(03)的なキツさとは今回のキツさはまた違いました。『キル・ビルVol.1』(03)は、すべてが派手じゃないですか。青葉屋の決闘、GOGO夕張の飛び道具、あくまでもアクションがメインで。今回はまったく異なる、神経戦なんです。空間と役者の演技の組み立てや監督の計算が上手いこと絡んでいないと、話が成り立たないからです。「椅子の高さがちょっと違うなぁ」、「ブルース・ダーンは、結構大柄な奴だから、ちょっと座った時の感じが違うなぁ」って(笑)。で、反対側に置いてある椅子は、「これはなんかちょっと高いかなぁ」って(笑)。
――密室ですからね。その限定的な空間での微調整は気が遠くなりますね。
アクション派のクエンティンが突然、小津安二郎になってしまったような感じですよ(笑)。やっぱりそれは、監督が一生懸命だからなんだ。役者になりきって演出している。
『キル・ビル』(03)は、例えばフルコース料理みたいな感じなんです。前菜があって、メインのステーキがあって、最後にデザートもあって、盛りだくさんだ。ところが今回は、一部屋だけで、あとは駅馬車くらいしかない。最初にちょっとギョウザが出てきて、あとはもうメインのラーメンで終わりみたいな。ラーメンの中のチャーシューとか煮卵の味付けや位置にこだわるみたいな感じだったんで、本当に大変でした。一杯10万円の高価なラーメンでした(笑)。
――-突然の小津安二郎化って面白いですね(笑)
小津安二郎はあくまでも静的な画面でやっていたが、クエンティンには動きがある。それでも、細く組み立てていくというのは、本当に凄いと思います。
――タランティーノ監督の意外な一面が知れて、貴重な機会となりました!
クエンティンは生き生きしたものにこだわりが強いと思うんです。人間が大好きで、すごく平等で、黒人でもメキシカンでもアジア人にも偏見がないし、同じように女性にも偏見がないと思う。ただ、あるのは悪い奴は悪い奴、面白い奴は面白い奴という判断なんですよね、奴はどこまでも『ヘイトフル・エイト』は、8人全員が悪い奴。アメリカの西部劇映画なのに、クエンティンは僕が美術監督として適役だと思ってくれた。「種田に頼んでみたい」っていうのは、アジア人だからとか偏見を持ってないってことだと思うし、この映画のラストに彼の精神性が現れていると思いました。
映画『ヘイトフル・エイト』は、絶賛公開中!
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■参照リンク
『ヘイトフル・エイト』公式サイト
gaga.ne.jp/hateful8/
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