松山ケンイチが漫☆画太郎原作の「珍遊記~太郎とゆかいな仲間たち~」の主人公・山田太郎を、前バリ上等の露出度で演じていることでも話題の、映画『珍遊記』! そのメガホンを握った漢は、超適任! 山口雄大監督だ。話によれば、山田太郎やあるシーンでは、黒澤明監督の『七人の侍』(54)をベースにしているとか、していないとか!? これを読めば『珍遊記』を今すぐ観たくなります!
――リアルタイムの世代には、たまらない実写化となりました!
なんとなく絵柄は知られていても、読んでいるのはその世代の人たちだけですよね。僕らも映画化するときに、どのくらいの層が知っているかっていうのをリサーチしたんです。そしたら漫画を読んでいるのは、ほぼ自分たちの世代だけなんです。そして読んでいる人たちも、大して内容を覚えていないっていうことがよくわかったんですよ。
――そうですね(笑)。言われてみると、内容はよく覚えていないです。
画太郎作品の全裸のばばあって「珍遊記」には出てこないんです。実は「珍遊記」って、後々の作品よりも意外と下品じゃなかったりします。少年漫画として「週刊少年ジャンプ」でやっているのってこれだけで、あとは全部青年漫画なんですよ。だからゲロなんかほとんど出てこないんです。「地獄甲子園」とかはバンバン出てくるんですけどね。絵のタッチが似ているだけで、違うんです。
――ご自身は覚えていた???
いや、覚えていないです(笑)。言い方はヘンですけど、内容がないといえばないじゃないですか。出だしだけ一応設定があって、あとはバーって行くみたいな。内容が「こういう話だったよね」っていうのがないから、そういうものって記憶に残らないんだなっていう(笑)。印象でしかないんですよね。
――山田太郎役の松山さんには、どう説明したんでしょうか?
彼はもともと知っていたんですよ。以前、『ユメ十夜』(07)っていう夏目漱石原作のオムニバスで松山君と一緒にやっていて、そのとき画太郎さんが脚色を担当していて、画太郎色が強い作品になっているんですけど、そのときから松山君は「画太郎さん、大好きなんですよ!」って言っていて。彼はそもそもギャグ漫画が大好きなんです。
――なるほど。ファンだった。
撮影では、一緒にイメージを作っていきました。撮影に入ってからも、なかなか山田太郎がつかみ切れなかったんですよね。撮影の後半になってやっとつかめてきて、迷いながら撮影していた部分は後からアフレコだけし直して声のトーンをそろえました。松山君は声を気にしていたんですよね。だから撮影前にボイトレとかに行って、どのくらい高い声を出したらいいかとか彼はよく研究していましたよ。
――最終的にたどり着いた、山田太郎像とは???
山田太郎は普通の映画の主人公のように、成長したり目的に突き進んだりをまったくしないんです。松山君とそういう話をしていて出てきた案が、『七人の侍』(54)です。菊千代(三船敏郎)って能動的に動かない。話自体は志村喬と農民たちの話で、そこに菊千代が暴れているだけで、たまにしでかすことが物語を動かしたりする。別にポリシーがあるわけじゃないんですね。だから、キャラが近いよねって。
――なるほど! 見方が随分変わります!
ついでに言うと、最後に教祖が変わっていて、それを遠目に玄奘と太郎が見ていて、「祭り上げられりゃ、誰でもいいんだろ!」みたいなことを言う。あれも『七人の侍』(54)がベースです。侍のラストがまさにああいう感じなんですよ。
――画太郎さんのファンの人に向けてはどうやってアピールしますか?
中村泰造です。あれってファンしか喜ばないですよ。温水さんの存在感や温水洋一のテーマみたいになっているマキシマム ザ ホルモンの曲がいい感じになっていると思うんですけど、脚本段階ではファンに対するエクスキューズという解釈でした。画太郎さんの初期作品の名物キャラじゃないですか。画太郎さんもそこは出してほしいっていう話があったので。
――あえてメイクがない、まんまの温水さんが最高ですよね(笑)
画太郎さんファンにとっては最初のピエール瀧さんのくだりとか、中村泰造とかがほぼ原作通りなので喜んでくれるかなと思います。原作と映画は内容全然違うんですけど、最後中村泰造で終わるっていうのは原作と一緒なんですよ。だから展開は違えど、基本的な構造は一緒。愛情があるということは、原作ファンもわかってくれると思うんですけどね。エクスキューズ以上になればいいなと思います(笑)。
映画『珍遊記』は、大ヒット上映中ーーッ!!!
■参照リンク
映画『珍遊記』公式サイト
chinyuuki.com
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