第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞した芦沢央のデビュー作を、内野聖陽×吉本実憂の共演で実写映画化した映画『罪の余白』がスゴすぎた! 娘を失くして復讐の狂気が暴走する父=内野と、その娘を追いやったであろう天使と悪魔を使い分ける女子高生=吉本の攻防戦は、日本映画史上に確実に残る驚愕のサスペンス! 今回、インタビューで「実際、内野さんを転がしている時は楽しかったですか?」という問いに、「咲として、ですけどね(笑)。楽しかったです」と堂々と答えた吉本実憂さんは、近年稀に見るイツザイだぜ!


――娘を亡くした行動心理学者の父親と、人の命を弄ぶ邪悪な女子高生・木場咲の対決が凄まじかったです。物語の最初の印象はいかがでしたか?

不安でしたね。自分が木場咲にどう向き合って行けばいいかという想いは、最後まで残りました。撮影開始が11月で、その前の1か月間に稽古とリハーサルをしましたが、まず1回お芝居をして、それをカメラに録って観て。監督やキャストと話しあって自分の意見も言い、それを踏まえた上でまた芝居をするということを繰り返し朝から夜までやりました。その作業の中で咲の人物像が、すごく鮮明に見えてきましたね。

――悪魔のような木場咲を演じる上で、人物像のリクエストはありましたか?

お芝居って楽しんでなんぼだと思いますが、その楽しみ方を監督に質問したところ、「咲は悪い言い方をすると、手の上で大人までも転がしてしまう子だったりするので、相手が精神的に傷ついたり、自分の言葉でだけで傷ついたりすることを楽しんで」と(笑)。そこからは、内野聖陽さん演じる父親は、どうすればこんな女子高生の言葉だけで傷を負うんだろうと思い始めたら楽しめるようになったかなあと思いますね。

――実際、内野さんを転がしている時は楽しかったですか?

咲として、ですけどね(笑)。楽しかったです。

――その内野さんに劇中では殴られたり、胸ぐらをつかまれたりしていましたが、同じ俳優として対峙した感想はいかがでしたか?

リハーサルの時から楽しかったですね。お芝居としての迫力、娘を精神的に追い込みかけた咲に対しての復讐というか父親の想いを向けてくる眼差しがすごくて圧倒されました。ただ、木場咲としてはそこまでも超えていかなくちゃいけなかったんです。撮影を続けていくうちに役柄に入り込み、ある時、肩を押された際にピキッとキレてしまって(笑)。

その様子もカメラに録っていたので後で観ましたが、いい表情をしているとおっしゃってくださって。わたしは台本を頭で考える癖があるのですが、自然とキレちゃったという感情が大事で、相手の方と一緒に作っていく過程で初めて生まれてくる感情がある。それは実際に対峙しないとわからないことだったので、勉強になりました。


――俳優さんは役柄を愛せないといけないという話も耳にしますが、木場咲は愛せましたか?

もしかしたら、わたしの心のどこかでは気づかないうちに愛していたかもしれないですが、愛するよりも向き合うほうがキーになっているかなと思いました。わたしが言ったことがない言葉を言ったりもするので、入り込まなければできないかなとも思いましたね。

――精神的にしんどそうですね。

撮影の時はリハーサルで感情を固めていたのでスムーズにいったと思いますが、一つの部屋にこもって撮影したここともあったので体力的にきましたね。
でも精神的にきたというより鍛えられた、と言うほうが前向きなのかなと思います(笑)。

――さて、この衝撃すぎる『罪の余白』。どういう方々に観てほしいですか?

完成した作品を客観的に観られていないので、反対に感想を教えてほしいです(笑)。わたしがいつも作品に出る時は、皆で作った作品を観ていただいて何かの助けになればいいなと思っていますが、この作品は捉え方が人それぞれだと思います。なので、何かを感じていただければ、わたしは十分です。


映画『罪の余白』は、2015年10月3日(土)より、TOHOシネマズ新宿ほかにて全国ロードショー!

https://youtu.be/a4ipnen2znU


■参照リンク
『罪の余白』公式サイト
http://tsuminoyohaku.com/
RSS情報:http://news.aol.jp/2015/10/07/yoshimotomiyu/