ここ数戦、ACミラン本田圭祐に関しての批判的な地元メディアの記事を目にすることが多くなっている。本田の入団以来、ACミランの成績不振も相まって、この日本人の10番への風当たりは強くなっているが、今回はリーグ戦5戦で3勝2敗4位と序盤でまだまだチームが固まらない状態での批判。「スピードが無い」「全く消えていた」は毎度のことだが、勝利してなお続いているのが「10番に相応しいプレー」という意味不明の宿題だ。
23日のイタリア、ガゼッタ・デロ・スポルトはいよいよ「本田起用に対する契約条項があるのでは?」と余りにも馬鹿げた論調で批判を続けているが、これもかつての栄華を極めたACミランの幻影を追い続ける「目の肥えた」ファンたちの、厳しいがチーム状況を全く顧みない野次馬的な論調だ。昨シーズン前半ゴールを量産した本田や、出だし好調だったが最後は追われるようにチームを去ったインザーギ監督にしても然り、日本のメディアもそんな変わり身の早いイタリア・メディアにつられ本田へのネガティブな論調ばかりを紹介しているので、今回はACミランのフォーラムから全く逆の意見を紹介したいと思う。
今この日本人のトップ下のミッションは前線への早いプレスによる守備貢献だ。現状守備に不安があるミランは6試合で8失点、これはトップ10内の中でも10位ラツィオの10失点に次ぐ2番目に悪い成績ということからも、前線からの守備が必然的に必要となる。5節のパレルモ戦での本田の走行距離は5.7mで、チーム内トップという数字からも前後へと守備貢献に奔走したことが窺える。
大半のサポーターコメントは「本田の存在感がまるで無かった」の繰り返しだが、守備まわりに対する意見も少なくない。
「本田は常にチーム内にベターなオプションが無い時にプレーさせられる。毎試合多くの守備の仕事をやり遂げチームの為に100%出し尽くす。前線での仕事は物足りないけれど、ここ2試合の本田は守備に重きを置いたから、ボナベントゥーラが自由にプレーできたと思う」
「ディフェンスの仕事をよく助けていると思う。ただ彼はクリエイトするために、そのポジション(トップ下にいる筈だ)、周りとの連携を求めていかなければ、スーパーサブの存在になる」
「スルーパスの出来は及第点だ。悪くはないと思うよ」
「本田はでかい試合でこのパフォーマンスを続けていく必要がある。リンクアップを上手くやり、プレッシャーがかかる状況下で正しい判断と的確なパスをするべき」
「レジスタ(ボランチ)の位置で試すのはどうだろう?ミランに来て本田の守備能力は伸びていると思う。下位のチームでリスクをとって試してみるのは手だと思う」
など、なんとか勝ち星を拾って行く中での華やかではないが泥臭くミッションをこなす本田をしっかりと見ているサポーターもいるのだ。
一部ではあるがサポーターの中でもミハイロビッチ監督の意図を理解しているようにも思える。「監督は本田が信念を持ってプレイしている姿を本当に気に入っている。これを最後までやり遂げてくれ。本田が自身のポテンシャルを完全に見せつけながらプレーする姿を俺たちはみることができるさ」「今の中盤のメンツを見る限りだと、本田をトップ下に起用することに何の疑問もない、調子の悪い時でも彼がみせるガッツを賞賛したいよ。(批判する人たちは)ベンチを見渡してごらんよ?ベルトラッツィが戻ってきたときに、本田がプレー内容を改善できてなければ彼はベンチに座らされるだろうけどね」など。
昨シーズンの10位に終わったACミランは、野球でいうところの「再建モード」だ、常に首位だったかつてのチームとは違い、どのような形でも勝利を拾って行く姿勢が必要なチーム状況を鑑みるとき、本田圭佑は「もっとも現在のチームビジョンを体現する存在」といえるのである。
■参照リンク
https://www.reddit.com/r/ACMilan/comments/3lzct5/post_match_thread_udinese_v_ac_milan/
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