肌寒い日が増えてきたなかで、夏クールの連ドラも続々と最終回を迎えている。
半年続いたNHK朝ドラ『まれ』も最終週に。"新人女優の登龍門"と言われてきた朝ドラ。近年は『梅ちゃん先生』の堀北真希、『ごちそうさん』の杏、『花子とアン』の吉高由里子など、すでに実績のある女優をヒロインに起用することが多いが、『まれ』の土屋太鳳は一般層にはこの朝ドラで広く知られ、今後が期待される。
朝ドラ終了後のヒロインは、吉高や『あまちゃん』の能年玲奈のようにインターバルを取るケースと(能年は所属事務所とのトラブルが伝えられているが)、杏の『花咲舞が黙ってない』のように直後のクールから民放のドラマに出演するケースの二通りある。朝ドラで付いたイメージを一回ニュートラルに戻しつつ長期の撮影後の休養に当てるか、知名度を高めたところで一気に売り出していくか。
土屋はさっそく10月から日曜劇場『下町ロケット』(TBS系)に出演する。阿部寛が演じる主人公の娘役でヒロインのポジション。『半沢直樹』や『花咲舞が黙ってない』などの原作者でもある池井戸潤の直木賞作品のドラマ化で注目度は高く、朝ドラ後に良い流れを作れそうだ。
ところで土屋に関して、朝ドラ撮影中に「太った」との声がある。確かにスタート前と比べると、顔が幾分ふっくらしたように見える。演じたのはパティシエ。オーディションでヒロインに選ばれてから、役作りでケーキ作りの練習に打ち込んだという。腕前はプロ級に上がったが、ケーキや洋菓子を食べることも日常的に増えて・・・というのが太った理由とか。それは彼女なら仕方ないかな、と思える。土屋の演技への取り組みは実に真摯と言われている。本人が「私は女優として技術も基礎もないので、役として生きることを目標にしています。環境や時代背景を調べて作品のテーマを考えて、役作りをします」と語っていたこともあった。インタビューでその役作りについて聞くと、まるでリアル『ガラスの仮面』。パティシエ役となってケーキをたくさん口にしたのも、演じ切る一環だったのだろう。
そもそも性格が真面目。それが見て取れるのが彼女のブログだ。一昨年12月からほぼ毎日、エッセイばりの長文で更新を続けている。太鳳(本名)という名前の由来について詳しく書いていたこともあったが、日々の出来事だけでなく、自分が何を思い感じたかも率直に綴っていて。
だが、土曜まで放送が毎日ある朝ドラの撮影はハード。出ずっぱりのヒロインは睡眠が3~4時間ということもざらだと聞く。『まれ』の撮影に入る前、取材で彼女にブログはどうするか聞くと、「やり方を変えていくかもしれませんが、できたら毎日頑張りたいです」と話していた。そして本当に、多忙ななかでブログを毎日書き続けた。ときには短めの日もあったが(それでも多くのタレントブログよりずっと長い)、ありがちな「何を食べた」といった話でなく、『まれ』の撮影エピソードや裏話に、自分の想いを誠実に書き連ねていた。一読すれば、その真面目さが溢れ出ている。
『まれ』では快活な役だった土屋だが、もともとは陰のある役が多かった。『下町ロケット』で演じるのは、下町の工場を経営しながら宇宙への夢が捨てられない父親に、ことあるごとに反発する娘の役。また人一倍真摯に演じるであろう彼女が何を見せてくれるかも、このドラマの大きな見どころだ。
文・斉藤貴志
■参照リンク
土屋太鳳 公式ブログ
http://ameblo.jp/tao-tsuchiya/
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