話題の人気ドラマ『ゴッサム/GOTHAM<ファースト・シーズン>』コンプリート・ボックスは、本日いよいよ発売!ドラマにも映画同様、ゴードン刑事が後に対峙することになる最凶のヴィラン(悪役)がわんさか出現します。今回は『ゴッサム』と合わせて観たい「映画の中のハードすぎる悪役」をご紹介!
■コディ・ジャレット『白熱』(49年)
『ゴッサム』に登場する悪役の中でも、一際異彩を放つのがオズワルド・コブルポットことペンギン。窮地を脱するためにその場限りの嘘をばら撒き、誰彼構わず裏切りまくり、泣き喚いて命乞いをしたと思ったら、ケラケラ笑いながら人をいたぶったりもする。もうメチャクチャな男なんですよ。そんな彼ですが、やっぱり、というか当たり前に重度のマザコン野郎。というわけで、映画の中の元祖マザコン・ギャングといえばフィルム・ノワールの古典『白熱』のコーディ・ジャレット!
この『白熱』という映画は、主人公の極悪ギャングであるコーディ・ジャレットの狂いっぷりを描いた作品。そして、コーディを演じたジェームズ・キャグニーの狂気100パーセントの演技が見所。165センチと小柄でずんぐりむっくり(『バットマン・リターンズ』のペンギンっぽい)なんですが、平気で仲間を見殺しにする冷酷さを持ち、ママっ子気質をバカにされると、たとえ嫁でも豪快に蹴り飛ばすという残虐さ。一度キレると歯止めの効かないバイオレンス・ベビーの暴れっぷりはいつ観ても圧倒されます。
■さそり『ダーティハリー』
バットマンといえば、ジョーカー。というか、『ダークナイト』以降は、映画の悪役といえばジョーカーと言われるほどの人気者ですよね。残忍で、頭が良く、何を考えているかわからない。で、『ゴッサム』からはちょっと脱線しちゃうんですが、『ダークナイト』に影響を与えた作品、そしてクライム・ムービーの最高傑作として名高いクリント・イーストウッド主演の『ダーティハリー』に登場するさそりは、「映画に出てくる悪役」としても超一流。
このさそりなる人物、「10万ドルを払わないと毎日1人殺す」と市警にケンカをふっかけ、14歳の女の子の歯をペンチで抜いた上に強姦、殺害。神父を狙撃、殴り屋に金を払ってボコボコにされ「ハリーにやられた!」と嘘をつき、子供がパンパンに乗ったスクールバスをジャック。とにかくやりたい放題の限りをつくす、正真正銘の外道であります。そんなさそり演じたアンディ・ロビンソンの鬼気迫る演技は映画史に残る最高の演技なんですが、そのせいで『ダーティハリー』以降、仕事が激減しちゃったのも有名なお話......。
■ヘンリー『ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録』
『ダーティハリー』のアンディ・ロビンソン同様、演じた役のイメージが強烈すぎて、一生「●●の人」と言われてしまう役者ってのがいます。そういう人で個人的に忘れられないのが『ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録』という映画で、実在の殺人鬼ヘンリー・リー・ルーカスを演じたマイケル・ルーカー。
ヘンリー・リー・ルーカスは、300人以上の女性を殺害し「殺人は息をするのと同じだった。」という名言を残したアメリカの連続殺人鬼。ルーティンワークと言ってもいいぐらい淡々と人を殺し、常に捕まる可能性を考慮したうえで殺害方法を変え、殺害場所も転々と移動する......。映画『ヘンリー』は、そんなヘンリーの日常を生々しく映像化したもので、とにかくマイケル・ルーカーの凄まじい存在感が魅力的な作品。そんなマイケル・ルーカーは最近だとドラマ『ウォーキング・デッド』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で再び注目されておりますが、いまだに「あ、ヘンリーだ!」と思ってしまうんですよね......。
■アントン・シガー『ノーカントリー』
さて話を『ゴッサム』に戻します! 『ゴッサム』の悪役は少々イカれた奴ばかり。なので変わった武器を使う人もいます。たとえば第3話「バルーンマン」に登場するバルーンマンは、気球に人間をつなげて空中に飛ばすという、かなり面倒くさい殺し方にこだわりを持った人物。続く第4話「アーカム」でも、針が飛び出す組み立て式万華鏡のようなものを使う殺し屋が登場。そうくると、コーエン兄弟の『ノーカントリー』に登場した殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム)もかなりゴッサム度が高いんですよね。なんせ武器は屠殺用の空気銃。見た目はただのガスボンベ。でも人間の頭を貫通するほどの威力を誇り、おまけに証拠も残さないというかなりの優れもの。ちなみにシガーはどうでもいい人間を殺すとき、コイントスで決めるんですよね。そのへんはバットマンの悪役トゥーフェイスを彷彿させます。そうそう、もちろん『ゴッサム』にはトゥーフェイス......になる前の検事ハーヴェイ・デントが登場しますよ!
■クイン『ブレイド』
ウェズリー・スナイプスがヴァンパイアをバッサバッサ斬り倒す『ブレイド』。マーベル・コミック原作漫画を映画化したもので、個人的にはいまだにアメコミ映画の中でトップクラスの出来だと思っております。で、この作品に出てくる悪のヴァンパイア貴公子フロスト(スティーヴン・ドーフ)の直属の部下クインという輩がおります。何を隠そう、コイツを演じているのが『ゴッサム』でハービー・ブロックを演じているドナル・ローグ。
たぶん観た人のほとんどが忘れていると思いますが、『ブレイド』でドナル・ローグは大活躍してるんですよ。例えばオープニング。ヴァンパイアたちの盛り場に登場したブレイドに捕まり「クイン、切り刻むのは飽きたぜ。今日は火あぶりにしてやる」とファイヤーされちゃうんですが、数分後には検視中に丸焦げのまま復活。そのままダッシュで高層ビルの窓を突き破ってダイブ。偶然真下を走っていた救急車に天井を突き破りながら落下。でもまだ生きてる。超パワフル。その後も何度となくブレイドと対峙し、走行中の電車に顔を押し付けられて大根おろしみたいにされちゃったり、両手を切り落とされたりと散々な目に遭ってます。ちなみにクインの最期は、ブレイドのサングラスをパクって調子こいてたら、ワイヤーで首チョンパ。ちなみにドナル・ローグは同じくマーベル・コミック原作の『ゴーストライダー』(07年)にも出演しております。探してみてね!
文/市川力夫
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