バットマンの出ないバットマンもの・・・着眼点はいいけど果たしてそれが面白いのか?
僕が間違ってました!(笑)「GOTHAM/ゴッサム」は、DCコミックスの持つポテンシャルに改めて気づかせてくれる傑作なのです。
ここでざっと説明すると、ゴッサム・シティというのはバットマンが活躍する街ですが、本作はダークヒーローが登場する前の、ゴッサム・シティの犯罪と狂気を描いた作品です。主人公はゴードン刑事、映画「ダークナイト」サーガでは、ゲイリー・オールドマンが演じていたあの警部ですが、若き日の、新米ゴードン刑事が主人公。そして後にバットマンになるに違いないブルース・ウェインはまだ少年です。そして、この若きゴードンが、ゴッサム・シティの犯罪に立ち向かっていくのですが・・・というお話です。これがなぜ面白いのか?解説していきましょう。
バットマンはDCコミックスのキャラクターですが、DCというのは、もともとディテクティブ・コミックという雑誌を創刊し、そこからDCというマークおよび呼称が生まれたのです。「ディテクティブ」とは、刑事・探偵の意味であり、つまり元々DCコミックスは、犯罪者と戦う刑事や探偵の物語が多かった。だからバットマンもスーパーヒーローでありながらも、地球の平和を守るタイプではなく、犯罪者と戦う型のヒーロー=クライム・ファイターなのです。だからDCコミックスの遺伝子には、"犯罪アクション"が組み込まれているのであり、その要素を拡大させたのが、この「GOTHAM/ゴッサム」なのです。
DCコミックスのヒーローものの特長は、彼らが自分のホームタウンを持っていることなのです。
例えば、
スーパーマンはメトロポリス
アロー(グリーン・アロー)はスターリング・シティ
グリーン・ランタンはコースト・シティ
フラッシュはセントラル・シティ
というようにです。
当然、バットマンはゴッサム・シティです。このDCコミックスの世界の中でも、ゴッサム・シティは最も危険な街です。そして、この街が危なければ危ないほど、バットマンの物語が盛り上がるわけであり、だから"街"というのは、大事な舞台なのです。
実際、バットマンの映画を撮ったティム・バートンもクリストファー・ノーランもゴッサムの街をどう描くか?にこだわっていました。結果、ティム・バートンは、異様な怪人たちが生まれてもおかしくない、ちょっとファンタジックな魔都としてゴッサムを描いたし、ノーランはロケを重視してリアル志向の犯罪都市として表現しています。
今回、「ゴードン」ではなく、「ゴッサム」というまさにゴッサム・シティをタイトルにもってくるあたり、バットマン神話においてゴッサム・シティは"設定"ではなく"重要レギュラー・キャラクター"そのものなのです。
実はDCコミックスは、過去に「Smallville/ヤング・スーパーマン」というTVドラマを成功させています。これは若きスーパーマンの青春時代とその故郷=スモールビルでの出来事を描いた作品でした。この成功が、「GOTHAM/ゴッサム」に活きているのかもしれません。
このTVシリーズは、犯罪アクション・ドラマとして面白く、バットマンの知識がなくても楽しめるエンタテインメントです。と、同時に、バットマン好きを喜ばせるネタもいっぱいなのです。
後にバットマンと戦うペンギン、リドラー、トゥーフェイス、スケアクロウ、そしてジョーカーといったヴィラン(悪役)になるであろうキャラクターたちの若き日が描かれるのです。セリーナ・カイル、アイビーに至ってはまだ少女。
原作コミックの設定を巧みにいれながら、このドラマにあうように脚色されています。最初から狂気の人物もいますが、彼らがどうダークサイドにおち怪人たちになっていくのか、そのプロセスがうまく描かれています。
感心したのはセリーナ・カイル。とても、かわいいのですが、映画「バットマン・リターンズ」でキャットウーマンを演じたミッシェル・ファイファーにソックリなのです!よくこの女の子を見つけてきたなあ、と、彼女と若き日のブルース・ウェインの初恋?っぽいドラマも素敵です。
なお、このドラマ・オリジナルの悪役でフィッシュ・という女ボスがでてきます。演じるのは、ジェイダ・ピンケット=スミス。ウィル・スミスの奥さんですが、ウィル・スミスは来年2016年公開予定のバットマンに登場する悪役たちの活躍を描いた映画「Suicide Squad (原題)」でデッドショットというキャラを演じており、夫婦そろってバットマンのヴィランです(笑)。
いかがでしょうか?一度訪れたら、ハマること必至の「GOTHAM/ゴッサム」。犯罪アクション・ドラマとして一級の面白さです!
テキスト/杉山すぴ豊
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Permalink提供:ワーナー エンターテイメント ジャパン
海外ドラマ「GOTHAM/ゴッサム」
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