「月見焼(つきみやき)」「カリまん ナポリタン」「たこ焼き串」「ハンマーチキン」「ビッグアメリカンドッグ」「ちくわ天(カレー)」。
このラインナップを見てピンときた人は、コンビニ通だと言える。これらはコンビニ業界5位のミニストップが、2014年から最近までに発売してきたユニークなファストフードの数々。「ビッグアメリカンドッグ」「ちくわ天」以外は、すでに販売期間が終了し味わうことはできないが、発売の度にいろいろな"物議"をかもしては話題になり、好評のうちに販売が終了していった商品たちだ。
例えば、「たこ焼き串」が世に出たときは「あり派」「なし派」で意見が盛り上がった。なぜならこの「たこ焼き串」、ソースとマヨネーズが外にかかっているのではなく、最初から中に入っていたから。さらに、片手で食べられるようにと3個を1本の串で刺してしまった。今までありそうでなかったこの斬新さに、ネット上がざわついたのだ。
「ソースインなのはベタつかなくて、子どもにも食べさせやすかった」「3個から買えるのは手軽」「串に刺してあるから食べやすかった」「たこ焼き串をなめていた。うまい」「できたての"フワッ、トロッ"とした食感が楽しめた」など、実際に食べてみた肯定派に対し、「あかん。たこ焼きはアツアツを火傷しそうになりながらトレーからほおばるのがうまいんや」「ソースとマヨネーズがかかったあの見た目が美味しそうやのに、それが外見にわからないのはどうなんやろ」といった疑問を投げかける人など、さまざまな声が交錯した。
そこで、現在販売されている「ちくわ天(カレー)」が大好きな記者が、ミニストップの広報に直撃。なぜにこんな"変わり種"のファストフードが誕生するのか、その理由を聞いてみた。
■後発であり、業界5位だからこそなせるワザ!?
取材に答えてくださったのは、広報の山盛雅美さん。まず山盛さんは、ミニストップの成り立ちにその秘密があることを教えてくれた。
「ミニストップの1号店が開店したのは1980年の7月なので、1970年の初め頃から誕生しはじめたコンビニチェーンの中では明らかに後発でした。そこで、コンビニに付加価値をプラスしたお店にならなければならないと考えてできあがったのが"コンボストア"というコンセプトでした。
このコンボストアというのは、コンビニエンスストアとファストフード店を融合させた業態を表すミニストップの造語ですが、いつでもできたてのおいしさを店内ですぐに楽しめるコンビニチェーン唯一のスタイルです。だからミニストップには各店に厨房がありますし、イートインスペースがあります。ちなみに、ミニストップという名前は"Minute-stop"、つまり"ちょっと立ち寄るところ"からきています。ロゴマークの家と木も"あなたの憩いの場所"を意味しているんです」
――なるほど! イートインスペースは後からできたわけではなく、すでに1号店のときから存在していたわけですね。
「はい、1号店の写真を見ていただければわかりますが、コンビニというより完全にファストフード店に見えると思います」
――(社史を見せてもらいながら)ホントだ! これは完全にコンビニには見えませんね。テーブルとイスのスペースの方が広いぐらいで、レジの方もコンビニ店員というより、ハンバーガーのオーダーを受ける人そのものです。
「ミニストップは『"おいしさ"と"便利さ"で笑顔あふれる社会を実現します』というミッションを掲げています。ですので、今回のご質問の答えは、ここにすべて集約されると思います」
――「おいしさ」と「便利さ」......、たしかに「たこ焼き串」はその象徴かもしれませんね。ソースを上からかけると、手や口がベタついて食べにくい。それなら、最初から中に入れておいしく仕上げれば食べやすくて便利と、見事にミニストップのミッションを体現しているじゃないですか!
私の大好きな「ちくわ天」はどうですかね。コンビニでちくわ天を販売しているのは、ミニストップさんぐらいだと思うんですよね。しかも、このカレー味、"カレー風味"ではなくて、ちくわの穴の中にずっしりカレーそのものが詰まっていたので、初めて食べた時は驚きました。かなり、ユニークな商品ですよね。福神漬けまで中に入っているという芸の細かさだし。
「ちくわ天もそうですが、月見焼やハンマーチキンのようなミニストップならではのコンビニグルメは多いですね。これはもちろん各店に厨房があるというのも大きな理由ですが、会社の規模も影響していると思います。大手チェーンさんと、展開店舗数が約2,150店の私たちは比べものになりません(※編集部注 7月時点でセブン-イレブンは17,000店、ローソンは11,000店、ファミリーマートは10,000店を超える)。この規模だからこそ提供できる商品というのもあるようです。
また、弊社の場合、社員数が1000人弱ですので、社内の風通しも比較的いいというか、決裁権のある方との距離が近いことも、次々にユニークな新商品を打ち出せる理由の一つかもしれませんね。本部長が同じフロアに座っていたりするので、商品開発の話を通しやすいようです」
――ということは、これからミニストップが成長して大きくなれば、逆に"ミニストップらしさ"がなくなってしまう可能性も......。
「2,150店がいきなり10,000店にはなりませんし(笑)、増えたら増えたでそうはならないように努力します。ミニストップらしさを持ち続けていきたいと思いますし。ミニストップらしいといえば、今実施している店頭キャンペーンもそうではないでしょうか。税込み700円以上の商品をお買い上げ毎にスクラッチくじが引けるのですが、名付けて"人生を狂わせないクジ"(笑)。1万円か3,000円かハズレか、無料の商品引換券がその場で引けて、その場で当たりはずれを確認できます。
こう言ってしまうのも変ですが、1万円であれば一生分の運を使い果たすこともありませんし、使い道にも困りません。そもそも700円の商品をお買い上げいただいているので、1万円当たったとしても、差し引き9,300円の得、という計算で、当選者は大人の事情で合計2,259名です。このスケール感がミニストップらしいなと......。もし、ファストフードや、自慢のソフトクリームなどで700円以上のお買いものができたときはぜひ挑戦していただきたいです」
ミニストップは全国に約2,150店舗展開しているわけなので、当選者が2,259名ということは、約1店舗で1人の当選という計算ですよね。なんだか「ノーリスク、ノーリターン」のようなくじです(笑)。わかりました、ぜひ大好きなちくわ天(1本170円)を5本買って、試しにやってみたいと思います!
■参照リンク
MINISTOP 公式サイト
http://www.ministop.co.jp/
ミニストップ公式アカウント
https://twitter.com/ministop_fan
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