2014年のカンヌ国際映画祭で激賞され、ウェスタン・ノワールの秀作として高評価を得る『悪党に粛清を』主演のマッツ・ミケルセンを直撃取材。北欧デンマークが誇るマッツとクリスチャン・レヴリング監督による"アメリカを舞台にした西部劇"は骨太作だが、古典的ウェスタンを連想するだけでなく、斬新な"何か"も感じる。その"何か"を聞いた。
1870年代アメリカ。マッツ演じる元兵士のジョンは、妻子を惨殺され復讐鬼と化す孤高の男だ。ジョンは犯人を捕まえ即座に射殺するが、奴は一帯を支配する悪名高いデラルー大佐の弟だったため、壮絶で孤独な戦いの渦にのみ込まれていく。
報われず、孤独に戦う主人公の姿に男の哀しみの姿に目頭ハレまくりだが、「男が孤独を運命づけられているかとうと必ずしもそうではないが、ジョンは不幸なことに、たまたま家族を失ってしまうわけだ。アメリカで普通に生活していれば子どもの成長を見届けていた人生だったと思うが、ジョンはすべてを突然、失ってしまうわけだからね」と説明するマッツ。物語冒頭の話だ。
マッツは、「そういう境遇になっても人は先に進まねばならないが、ジョンは一線を越えてしまう」と本作の悲劇を説明した上で、作品のテーマについて言及する。「そこには人間性というテーマがあるが、彼が一生涯孤独かというとそうではなくて、どこかでやり直すチャンスがあるはず、そういうことが到来する予感はするよね」と希望の存在も語る。とはいえ、「ただ、ジョンは確実に一線を越えてはいるので、元の状態に完全に戻ることはないわけだよ」と人生の不条理、哀しみなどを体現する孤高の主人公であることを説明した。
しかし、この激動の主人公像を観ていると、確かに往年のウェスタンを連想するも、ジョンはシンプルなヒーロー像を担っているわけではない。その前段階であると、マッツは言う。「この作品の終盤で描いている男性像が、古典的な西部劇の冒頭に出てくるヒーローだったりするわけだ。ジョンは最初、まったくヒーローではないが、この映画の顛末になってくると、男はほかの映画のブルース・リーだったりするわけだよ。僕に言わせればジョンは、バッドアス、グッガイ! ワルないい奴だ! と、いったトコロではないかな(笑)」。
https://youtu.be/hgCwfj3nyFw
映画『悪党に粛清を』は、2015年6月27日(土)より、全国ロードショー!
■参照リンク
『悪党に粛清を』公式サイト
http://akutou-shukusei.com/
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