5月18日対ダイヤモンドバックス戦で2安打を記録し、ベイブ・ルースに並ぶメジャー通算2873安打に並ぶ偉業を達成したマイアミ・マーリンズのイチロー選手。日本ではこの記録達成で話題は持ち切りだが、この日からマーリンズを率いたのが、これまで高校野球のコーチをやってきただけの、指導者としてはド素人だったことはご存知だろうか?ダン・ジェニングス、この男の「無理やり夢を実現する執念」が凄すぎるのだ。
https://youtu.be/ejujOAfEULk
マイアミ・マーリンズのGM(ゼネラル・マネージャー)であり、自らを監督に指名したという大胆な男、ダン・ジェニングス。MLBの歴史の中で、ここまで指導の経験未経験者がチーム監督になったという前例は極めて稀で、低迷中のチームとはいえ、いきなりMLB球団を率いるのはかなり無茶苦茶な判断である。
ネット上でも「マーリンズ・ファンご愁傷様」「給料2倍欲しいだけ」「なんで未経験者が監督やってるの?」「イチロー監督でいいよ、もう」と大ブーイング。
ただ、ちょっと待ってくれ!ジェニングスの野球への執念深さは経歴を見たら明らか。
ジェニングス監督の経歴だが、サザン・ミシシッピ大学でカレッジベースボールのプレイヤーとして過ごし、1984年にヤンキースのトライアウトに落ちプロ入りを断念。間もなくしてアラバマのダヴィットソン高校の監督、86年にシンシナティ・レッズのスカウト、88年にマリナーズのスカウト、95年デビルレイズのスカウティング・ディレクター、2002年マーリンズの副社長、2007年のアシスタントGM、2013年にGMに就任。要は野球選手を諦めてから、高校野球の監督、スカウト、スカウト部長、球団副社長、GM補佐、GMと静かに毎年コツコツとステップアップしていった進化する社蓄の鑑なのである。
GM(ゼネラルマネージャー)といえば球団の頂点と普通の人は考えるが、ダンは違った。「現場が一番偉い!GMの上はチーム監督だ」・・・そう考えたに違いない。そして2015年、己の強権を発動して、借金6とまだまだやれるタイミングでマイク・レドモンド前監督を解雇、自らを監督に指名。彼の30年に渡るベースボールへの執念が今炸裂した最も面白い機会に、我々は日本の英雄・イチローのいるチームの監督として立ち会っているのだ。
世の中を見渡してみても、映画会社の社長が映画監督を務めるだろうか?答えはNoだ。ゼネコンの経営者が現場監督になってビルを建てることはできるだろうか?答えはNoだ!そう考えると、ジェニングス新監督の無謀な挑戦に大注目である。
今のところ2勝2敗、スコアは2-3、2-4と惜しい、実に惜しい、が、現在5連敗で地区最下位ぶっちぎりのマーリンズ。ダン・ジェニングスという男の30年の積年のベースボールへの想いは実を結ぶのか?はたまたマイアミビーチの藻屑と散るのか?
これは完全に金と権力で監督になる、違う意味での『マネーボール2』、何がなんでも夢を叶えた男の物語、要注目である。
【参照リンク】
・https://youtu.be/V2TcgQSzsp4
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