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【機動戦士ガンダム】シャアの見逃されがちだけど好きすぎる名言ベスト3(+1)

2015/05/04 12:00 投稿

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Filed under: カルチャー, 映画,

みなさん、シャア・アズナブル師匠のことをご存知でしょうか?



そうです、そうです、「機動戦士ガンダム」シリーズの中でも1、2を争うあの人気キャラです。
ですから、例え「ガンダム」を観たことないよという方でも、
「あのアムロのライバルだった人でしょ!」
とか、
「あのシャレオツすぎる仮面をかぶったクールガイでしょ!」
とか、
「あの赤い人でしょ!」
とか、
「てかノースリーブグラサンでしょ!」
とか、
「ロリコン!」
とか、
「マザコン!」
とか、それぐらいの知識は当たり前のように持っておられるのではと思います。

でもまぁ、全くシャア師匠のことを知らない方のために、とりあえず、ざっくりと彼の説明をさせていただきます。
そもそもシャア・アズナブル師匠とは「機動戦士ガンダム」に登場した敵キャラです。ザクやズゴックやゲルググといった主に赤いモビルスーツを操るジオン軍の凄腕パイロットで、連邦軍でガンダムに搭乗するアムロ(主人公)の前に何度も何度も立ちはだかる御仁です。

でも実はシャア師匠の生い立ちはけっこう複雑でして・・・
本気で解説すると超長くなるんで、一気に端的に解説します。
実はシャア師匠は、ジオン共和国創始者であるジオン・ズム・ダイクンの実子なんですが、ダイクンが急死して(暗殺されたとの噂もあり)ザビ家とやらにお国ごと乗っ取られて、迫害されて逃亡生活をしいられ、でもってシャア・アズナブルという偽名を手に入れて、ザビ家に復讐するためにジオン軍に潜り込んでいたっていう、悲劇の王子様的なポジションなんです。

そんな不幸を背負った男だからこそ彼の言い放った言葉には深みが出て、
「認めたくないものだな。自分自身の若狭ゆえの過ちというものを」
とか、
「見せてもらおうか、連邦軍のモビルスーツの性能とやらを」
とか、
「坊やだからさ」
とか、"名言メーカー"とも言えるほどの珠玉の至言の数々を残しているのでした。

でも、いわゆるシャアの名言の代表格として挙げられる上記のような言葉は、誤解を恐れずに言わせていただくと、「どれもこれもしゃらくせーものばかり」だと思っています。

何でかって言うと、だって、どれもこれも、めちゃくちゃカッコいいセリフだから。
どれもこれも、スタイリッシュで、クールで、達観している風だから。

だが、そうじゃねぇのだ。本当のシャアという男は、そうじゃねぇのだ!
クールでもスタイリッシュでもないのだ!!


自分の女を奪った男に復讐するために、わざわざご大層な大義を掲げて地球に隕石を落としちゃうような嫉妬男なのだ。失恋して自暴自棄になる中2女子的マインドの持ち主の男子なのだ。

あと、何でも悟ったような雰囲気出しちゃってるけど、他人の気持ちを慮るのが案外苦手で、特に自分にすりよってくる女とどう向き合ったらいいかよくわかんなくて、結局、戦争でいいように利用したりマシーンにしたりしちゃうような、そうすることでしか自分に好意を抱いてくれる女子と接することができない、心に何か欠陥を抱えた男子なのだ。触る者みな傷つけたい年頃なのだ、てかずっと、そのお年頃なのだ。

だから、かっこいいのだ。

弱点だらけでかっこいい。
虚勢を張っててかっこいい。
嫉妬に狂っててかっこいい。
泥臭くてかっこいい。
人間臭くてかっこいい。

「かっこ悪い」から、シャアは超絶「かっこいい」のだ。
だから、先に挙げたようなクール&スタイリッシュなメジャー名言は、どうにも心に響かない。

......と、前置きがすげー長くなりましたが、そんなこんなでシャア師匠に対し、「アイツのことなんか好きじゃないんだからね!」と言いつつも気になってしまっている筆者が選ぶ、"シャアの見逃されがちだけど個人的に好きすぎる名言ベスト3"を発表したいと思います。
(※ちなみに・・・
シャア師匠はテレビアニメ「機動戦士ガンダム」、その7年後を描いたテレビアニメ「機動戦士Zガンダム」、さらにその6年後を描いた劇場用アニメ「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の3作に登場します。)

・見逃され名言その1
「見えるぞ、私にも敵が見える」
(「機動戦士ガンダム」 第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」より)

物語前半では、ガンダムに乗るアムロよりもシャア師匠の方が圧倒的に強かったんです。アムロは高性能なガンダムに助けられ、実力差のあるシャアを何とか退けていたという感じでした。
が、物語が進むにつれ、アムロはめきめきとニュータイプ能力(戦場においての定義は、敵や味方の動きや思考を感覚的に察知することのできるすげー力、みたいなこと)を上げていき、物語終盤ではシャアを余裕であしらっちゃうほどに。
そんなアムロを前にしたら、誰だって焦りますよね。
だってみなさんも、久々に再会した元クラスメイトが何気にJリーガーになってて、「しょ、小2の頃は俺の方がサッカー上手かったもんね!!」って心の中で無駄に勝ち誇ったことあるでしょ? それと同じですよ。
だが、しかし。シャアだって負けてませんよ。最終回の1話前の第42話で、ようやくニュータイプ能力に目覚め始めるのです。
で、戦場で応戦していたガンダムを一度は見失ってしまうのですが、ニュータイプ能力により感覚的にガンダムの位置などを把握することができた際にこのセリフ、「見えるぞ、私にも敵が見える」です。
このときのシャア師匠、ちょっとテンション上がってますよ。何だったらちょっと嬉しそうですよ。
そりゃテンションも上がるでしょ。だって同窓会の帰り道で何となくリフティング対決して、何となくJリーガーといい勝負できちゃったら、そりゃちょっといい気にもなりますよ。
......ちょ、誰だよ、今、「シャアって案外、器がおちょこ」って言ったの!
いいんだよ、師匠はそれでいいんだよ、だって人間だもの!!

・見逃され名言その2
「サボテンが、花をつけている」
(「機動戦士Zガンダム」 第34話「宇宙が呼ぶ声」より)

「Zガンダム」にレコア・ロンドという女性がおりました。
彼女はシャア師匠(このときはクワトロ・バジーナと名乗っている)の恋人......というか愛人......てゆーかセフ......てゆーか"大人の友達以上恋人未満"な美女です。
そんなレコアさんが自分の制止を振り切り、「あなたは私を止められるだけのことをしてくださいました!?」なんて捨てゼリフを吐いて戦場に飛び出して行き、挙げ句戦死してしまった(とシャアは思い込んでいた)ため、彼女の部屋を訪れていたのでした。
そこにレコアさんを慕っていたカミーユ君(Zガンダムのパイロットで主人公)が現れ、いきなりシャア師匠はブッ飛ばされるわけです。グーパンチです。
年下にですよ、てか後輩にですよ、つーか部下にですよ?
でもってカミーユ君が「あなたがもう少しレコアさんに優しくしていたら、あんなことにはならなかったんです......!」なんて語り掛けているのに、カミーユ君をスルーしつつ、ブン殴られて倒れたままの体勢でこの言葉ですよ、「サボテンが、花をつけている」ですよ。
確かにレコアさんが世話していたサボテンに花が咲いてましたよ、そんなレコアさんの室内の変化に気付かないほど彼女をほったらかしてた自分を悔いたのかもしれませんよ。
にしても、ですよ。
そりゃカミーユも呆気にとられますわ、呆れて無言で出てきますわ、ダメだわ、この人って思われましたわ。
そりゃレコアさんだってシロッコ(敵軍の将、ドS、ドジゴロ)に乗り換えるわ、そりゃ寝取られるわ、NTRですわ。
でもそんなダサいとこがいいんですよ、二枚目ぶってるクセに実はダサいっていうギャップ萌えですよ。
キム○クですよ、キムタ○。一周回って、そのダサさがもはや超絶かっこいいわけですよ。
ちょ、マジで。

・見逃され名言その3
「行くかい?」
(「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」より)

自分(筆者)の知人に1000人斬りのナンパ師がいるんですよ。
その男のナンパテクはもはや神懸っていて、もはや常人には真似できない領域となっていたんですが、そんな知人のナンパ師君があるとき、歌舞伎町で向かいから歩いてくる女に声を掛けたんですよね。
「行こうよ」つって。
全然知らない女にですよ、初対面の女にです。
でも「行こうよ」っていきなり言ったんですよね。
で、その後も、その一言を連呼するんですよ。
「行こうよ」「いいから、いいから、行こうよ」つって。
馴れ馴れしく肩に手を回しながら、ニコニコしながら「行こうよ」つって。
それ以外の言葉は発しないんですよ。
そんで、女を自分の行こうとしてた方向に向かって一緒に歩かせるんですよね。
で、出会って3分後にラブホに入って行ったんですよ。
これね、M山君の実話なんですけどね。

話がだいぶ逸れましたが、シャアがこの「行くかい?」って言葉を言った相手は、13歳の少女、クェス・パラヤさんでした。まぁ相手は中1ぐらいの女子だったってことですよね。
クェスさんはアムロと共に行動していた勝気なお嬢さんでして、アムロにちょっと憧れていたんですよね。
でね、あるコロニー内で、敵対しているシャアとアムロがばったり会っちゃって、生身で殴り合いのケンカすることになるんですが、そのさなか、アムロに同行していたクェスさんに「行くかい?」ですよ。
確かにね、アムロとシャアの舌戦を聞いていたクェスさんは、「アムロ、あんたちょっとせこいよ」とは思ったんです。何だかアムロの言い分はおかしい、シャアの方が正しいことを言っている。
と思って、牽制の意味で、クェスは仲間だったアムロから銃を奪い、その銃をアムロに向けたんですよね。
そんな布石は一応あったんですが、それってほんの数秒の間のやりとりなわけです。
でもアムロに銃口を向けた刹那、シャア師匠は彼女に向かって「行くかい?」ですよ。
4文字ですよ。
クェスがアムロから銃を奪ってから6秒後です(今、DVD観て計測しました)。
それでクェス、もうアムロを裏切って、シャア師匠側に完全に寝返っちゃいますからね。
その後、彼女はマシーンですよ。シャア師匠の都合のいい、言いなりの戦闘マシーンにされるんですよ。モビルスーツパイロットにされて戦死ですよ。
4文字。6秒。
間が。間が絶妙。
「行こうよ」と「行くかい?」・・・・。
パねぇな。やっぱり。超人だわ。
あ、ちなみにこのときのシャア師匠は30過ぎですね、はい。
クェスさんは13歳です。あ、さっき言いましたっけ。

余談ですが、次点の名言は、

・見逃され名言(次点)
「ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ。そのララァを殺したお前に言えたことか」
(「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」より)

です。
これ、最終決戦で、マジの最後の最後にアムロに言い放ったセリフです。
全シリーズ通して、シャアの公式の最後のセリフがコレです。
ララァっていうのは、最初のテレビシリーズのときに出てきたキャラで、少々語弊はありますが、一言で表現するならシャアとアムロと三角関係になっていた(というほど色恋沙汰にはなってませんが)女子です。
ちなみにララァはシャアの年下です。
・・・・クソかっこ悪くないですか、このセリフ。
でも、マザコンな自分(筆者)は27年前、劇場でこの映画を観て、小学生だった当時、ろくに意味もわかりませんでしたが、鮮烈に脳裏に焼き付き、今に至ってます。
自分が愛した年下の子に、密かに、密かに母性を見い出していて、アムロとの争いの最中に死んでしまった彼女のことをずっと忘れられずに、アムロに復讐戦を挑む。
"地球のため"、"スペースノイドのため"、なんて大義を掲げてきたけど、最後の最後に吐いたこのセリフから読み取れるのは、(賛否両論あるでしょうが)至極個人的な感情からの嫉妬、復讐。
おそらく"地球のため"、"スペースノイドのため"というのもシャアの本音だったんでしょう。
でも、"俺の最愛の女を奪ったお前(アムロ)を許せない"っていうのも、まぎれもないシャアの本音。
・・・・ってこの男、めちゃくちゃダサくないですか。

けれど。
母親を投影していた女を忘れられず、アムロを心のどこかで憎み続けていた男。
でも、ただの一人の男としてアムロの目の前に立ち、「俺の女を返せよ」とストレートに恨み節を言うことができなかった男。
それができなかったために、スペースノイドの代表ヅラして、地球上の人類が滅びてしまうかもしれないほどの戦争を起こし、アムロとの決着にこだわった男。
不器用すぎる男。

自分は、そんなシャアと、新宿の赤提灯かなんかで、延々とお互いの失恋話でクダを巻きながら、朝まで飲んでみたいんです。

文・昌谷大介(A4studio)

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