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そこの雑踏行き交う通行人のみなさん、今日も働いてますか!?26年のキャリアを持つ日本語ヒップホップの元祖にして最先端、ライムスターの活動が盛んすぎて、我々ナイスミドルは刺激を受けずにはいられない。



彼らを知らないという道行くトーシロたちのために一応簡単に説明しておくと、ライムスターは1989年結成の日本語ヒップホップユニット。最近ではTBSラジオのウィークエンドシャッフルで、楽勝っぽくギャラクシー賞もゲットしたことで有名な宇多丸、酔っ払いのサムライマーことマミーD、そして生まれながらのコスリスト、シゴキスト、ターンテーブルサディストことDJ JINの三人で構成される。結成より四半世紀を経て未だに全盛期、この男たちのアクションはとどまることをしらない。まさに、キングオブステージ。

https://youtu.be/OmjJWUM8VcA


5月10日には、お台場でライムスター初の野外音楽フェスティバル『人間交差点2015』を開催するぞ。キングギドラ、スチャダラパーという日本語ヒップホップの最前線を切り拓いてきたメンツからレキシ、SUMMITといったライムスターらしいホーミーたちも集まるイベント、まさにハズせん現場だ。
お台場の高い空の下、人差し指をかかげたいやつは大人も子供も不和RIDE ONするしかない。当然チケットはとっくの昔にソールドアウトと思いきや、若干なら残っているという。今すぐアクセスしてみよう。当然チェックはキャッシュ、現金で。

そして、この人間交差点2015に先立って4月29日には、自ら設立した新レーベル スタープレイヤーズから第一弾音源として、キャリア初の両A面シングル『人間交差点/Still Chahging』を発売。しかも初回限定盤には去年のツアー「King Of Stage Vol. 11 The R Release Tour 2014」より、Zepp Tokyo公演の模様を中心に収録したライブ映像をDVDまたはブルーレイで同梱。
どちらを買っても間違いない。選ぶのは君だ。ファンにとってはまさにロイヤルストレートフラッシュ。日本銀行券を握りしめて待とう。


それにつけても、この二つの新曲だが、聞けば聞くほどに音楽は素晴らしい! と心の底から唸る出来上がりになっている。ライムスターや日本語ラップに興味がなくても、このブームが去って明後日にはゴミ箱漁っても、ハードワーカー各位は、耳ヲ貸スベキ傑作だ。

https://youtu.be/OmsAkXakEuA


フェスのタイトルにもなっている『人間交差点』。最近のライムスターはビルボード東京でピアノソロをバックにしたラップの弾き語りを見せたり、ソイル&ピンプセッションズとのコラボ楽曲『ジャズィ・カンヴァセイション』でも生音バンドとラップの融合に取り組んでいるが、その路線における金字塔ともいえる楽曲だ。

https://youtu.be/MsOpGamVChs


国内最強ファンクバンドとの呼び声も高いMOUNTAIN MOCHA KILIMANJAROのタイトでルーズでフリーキーな演奏をバックにライムスターのラップがちょうどいいテンポで乗っかり、人々の生き様がすれ違う人生の面白みを語りかけてくる。
マミーDは『エキストラなどこの世には一人もいないんだ、お前は主役、君は主人公』と呼びかけ、宇多丸は『たとえただ黙って立ってたって、楽しそうに笑い合ってたって、誰だってそりゃ痛みに耐えて胸に物語を抱いてる』と語る。決して簡単にメジャーシーンに踊りでたとは言えない、日本語ヒップホップの黎明期からコケてコケてコケて、泥水すすってきて、それでも、最後までリングの上に立っているサバイバーである彼らだからこそ、説得力を持つ語り口。
人々のありふれた苦悩にまみれた一生について、そうと知りながらもなお肯定しようというリリックを、あえて揺らぎのあるファンクサウンドに乗せることで、誰にでもわかりやすくてエモい楽曲にしないのがクソな未来さえも生き抜いちゃうラフでタフなテクノロジ―を使いこなすライムスターの真髄だ。
それはアカデミー賞映画『バードマンあるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡』の簡単には観客にカタルシスを与えない抑制した生々しい演出に似ている。

そう、我々ハードワーカーならば誰もが知っているように人生はほとんど笑うしかないコントだ。
仕事していればだいたい時間の流れが早すぎてホント泣きそうになるし、都合のいい理想や偉い人の予想は気持ちいいくらい裏切ってくれる。
それでも、昨日より今日のが倍マシだし、『上がってこう』というのが彼らからの唯一のメッセージ。そんな皮肉でポジティブな人間賛歌こそがこの『人間交差点』だ。

https://youtu.be/iC6srZcs8qc


そしてもう一つのシングル曲『Still Chahging』はうってかわって背中を押す風のように軽快なアプローチを見せる。かなりグーです。いや、そうとうグーです。
過去のシングル曲『Once Again』『Walk This Way』と同様に、日本を代表するR&B.ヒップホップのプロデューサーであるBACHLOGIC(バックロジック)が手がけている。
今までもライムスターは適度なペースでポップに弾けたアプローチをみせてきた。あまりのポップさに本音をいやぁどうよ?となりかけるが、聞く者のそんな心持ちを見透かすように曲の後半、宇多丸は『何かっていや"らしくない""正しくない"と決めつけられてきた』と歌い出し、『だが、かつての"ナシ"もナシじゃないってのは別に悲しい話じゃない〜伸びるとこまで一度伸びると惜しげも無くスクラップ&ビルド』と結び、楽曲のタイトルどおり、変わり続ける生き方を肯定してみせる。
その上でマミーDは『どこ行こうと俺が付いてる Hi-FiなWi-FiのWindowに乗っかっていつでも会いにいけるさ』とこの時代ならではの人と人の関係、人と音楽の関係のあり方を結びつける。こんなの好きになるに決まってる、まさにスムースクリミナル。

ここにきて、冒頭で掲げた彼らのことば『四半世紀たっても未だに全盛期』ということばが単なる耳ざわりのいいセルフボーストではなく、これからも自分たちは変わり続ける、ファンを刺激し続ける、という強いマニフェストであることが明確になるのだ。
何度でも言うぞ、80年代に日本でヒップホップという言葉を知る者がほとんどいない時から、『やめときな坊や、それは海の向こうの一過性のジョークさ。東の果てで生まれてきたオマエにゃマネる資格すらないスポーツさ』と大人たちに言われてきたライムスターの三人も今や40代だ。
ヒップホップは日本語の辞書に載り、あっちからこっちからどっちからともなく聞こえてくるようになり、彼らは業界ナンバーワンの巨大なケツの穴持った器デカいヤツとして知られるようになった。
おそらくこのサイト、ハードワーカーズを見ているほとんどの会社員の会社生活よりも長く、彼らはプロのヒップホップミュージシャンとして活動し続けている。会社では部長の年齢だろう。そんな彼らが今なお、くじけなさは異常、ほとんどビョーキのようにBボーイイズムを掲げて、今まで以上に激しく変わり続けようとしている。
このことを単なる島の奇跡と呼ぶか、それとも自分への普遍的にして超フレッシュなメッセージとして受け止めるかで、明日の景色は少し変わるはずだ。

いつだって大ケガ上等なバカだけが、でっかい賭けにまたいずれは勝つ。ライムスターの三人は常に研究し、知恵を結集し、KUFUし続けている。
そんな彼らのその先の景色を見届けられる5月10日のフェス『人間交差点2015』は、ストーリーとストーリーが出会いデカいケミストリーが起きる瞬間になる。見逃すな。君が生き証人だ。

・・・と、口からでまかせを並べ立てたところで、きっと彼らは言うんだろうな、『余計なお世話だバカヤロー』と。

https://youtu.be/0JxL3zWIWtQ


■参照リンク
人間交差点2015 フェス
http://www.nkfes.com

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