現在、大ヒット公開中の映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』。ナチスの暗号解読に半生をかけた天才数学者アラン・チューリングを演じているのがベネディクト・カンバーバッチだが、今回、AOLニュースは、超過密スケジュール&超多忙カンバーバッチへの電話インタビューに成功!その一問一答をお届けしよう。
―本作の日本での大ヒットをどう受けますか?
日本の文化に受け入れられて大変嬉しく思います。これはあくまでもイギリス人の男性の、それも第二次世界大戦というバックグラウンドの物語であるけれど、大変意味のある物語で、単なる歴史物語でない、今にも通じるいろんな重要なことが描かれていると思います。
それは自分の信念、自分のセクシャリティ、または政治的思想、そういったものに対する偏見であったり、それをどうやって貫くかということを描いている。今も苦しんでいる人達にとってこのアラン・チューリングとは、ヒーロー的な存在だというふうに思っています。彼は大変悲劇的な人生を送ったと思うのだけど、でも彼の人生は、今苦しんでいる人たちに大変大きな勇気を与えるものだと考えています。
それと同時に、こういった苦しんでいる人たちのヒーローというだけではなくて、彼はコンピューターサイエンスであり、ハイテクの父と言えます。僕はこれまで何度か日本を訪れていますが、いかに日本という国が伝統も大切にしながら、独自性、またはハイテクなものをうまく取り入れていることを実感しています。そういった国でこの物語が、そしてアラン・チューリングの人生が受け入れられたことを嬉しく思います。
―監督、脚本から具体的な演技指導はありましたか?チューリングの役作りで気をつけた点は?
具体的な演技指導については特にありませんでした。今回特に監督に感心したのは、史実とストーリーテリングの間のバランスをすごくうまくとっていたということです。
これはあくまでも物語であって、ドキュメンタリーではないわけですから。その一つのいい例としては、アラン・チューリングは吃りが強くて、もし彼の喋り方と同じように映画を撮っていたらまだこの映画の撮影が続いているぐらい、彼は流暢に話すことができなかったわけです。その部分をかなり自然に描いたと思います。
あとは、僕の方から監督や脚本家に質問したことが多かったと思います。俳優がみなそうであるように、自分の演技上の選択が的確かどうか自信がなかったりしますが、そういったときには脚本の中のディテールを質問したりしていました。
チューリングの役づくりで気をつけた点に関して、今回の脚本で一番魅力的な点というのは、登場した瞬間から全然言い訳がなくて、アラン・チューリングがどういう人間であったか?を的確に描いている。冒頭のシーンから彼はちょっとユーモアがあるんだけど、横柄であり、人を寄せ付けず、大変頭がいいんだけれど近寄りがたい。でもとにかく何らかの魅力がある描かき方がされている。僕はそこを忠実に描きたいと思ったし、決して彼をアンチヒーローとして描きたくなかった。だけどもとにかく複雑な歴史の、ある1ページに登場した、大変複雑な人物だというふうに描きたいと思ったわけです。
それはあくまでも彼が生きている不自由な世界において、エキセントリックな部分もあるのだけれど、それは彼自身の資質ではなくて、そういう状況に置かれたからこそ、そういったエキセントリックな人物になってしまった。ああいう人間になってしまったのは、そういう現実があったから、そういう世界で生きていたからということを描きたかった。そのために簡略化しなければいけないことがあれば簡略化しましたが、周りの人もとてもサポートしてくれました。
―イケメン揃いのキャストですが、誰と一番時間を過ごしましたか?日本中の女子が知りたがっています
マシュー・グードとは長年の友人で、最近彼は二人目の子が生まれたばかりだったんです。そんな忙しい中、僕との友情を優先してくれて、映画に出てくれました。僕がいかに脚本を気に入っているかを彼はわかってくれて、出演してくれた。そういった意味でも嬉しかったし、一緒にいてとにかく楽しかったですね。
そしてマシュー・ビアードはとても物静かなんだけど、ものすごく優しくて、一緒にいても楽しいし、ウィットに富んだ人物なので、彼ともとても仲良くなりました。実はアレン・リーチはあまりよく知らず、今回初めて会ったぐらいなんですが、長年友人であったかのごとく、すぐ仲良くなれましたし、一緒に仕事をしていてとても楽しかった。
キーラ・ナイトレイに関しては、彼女とは共演もしていますし、男性がメインのキャストのなかで紅一点ということで、頑張ってくれたと思います。彼女自身とても芯の強い女性なので決して臆せず頑張ってくれましたし、やはり彼女は僕の友人であるので、友人が仕事場にいてサポートしてくれたことを大変嬉しく思います。
ただ彼女だけではなくて、このキャストはチームとして一致団結してできたなと強く感じます。そして待ち時間とかはいろんな監督のモノマネをしたり、みんな下手くそだったんだけどクロスワードパズルをしたりとか、話をしたり・・・楽しく時間を過ごしました。なんといっても6週間しか撮影期間がなかったのでスケジュールがタイトで、一日の撮影が終わってから、みんなで出かけるということがなかなかできなかったんだけど、セットで楽しい時間を過ごしました。
―チューリングの子役の演技があなたに劣らず見事な演技だったと思いますが、どう思いますか?
ぼくのリハーサルを彼が何回か見に来ていました。もちろん共演のシーンはないんだけれど、彼はほんとに素晴らしい俳優だと思いました。そして、僕の仕事をより簡単にしてくれたと思います。なぜならば彼が若い頃を演じ、その後現在にカットバックする訳なんだけど、彼の演じている子ども時代のカラーを僕が引き継いだ時に、とても引き継ぎやすかった。
例えばクリストファーに対する繊細でデリケートな想い、心の傷を本当に彼はうまく演じきってくれたんだなと思います。そしてクリストファーが死んだと聞かされた時の彼の表情。そもそも彼は役になりきって感情を押し殺す、隠さなければならない演技にもかかわらず、カメラがどんどん寄ってくるなかで、表情を出せたというのは本当に素晴らしい。それは彼が若くても素晴らしい俳優の資質を持っていることが、あのシーンだけでも分かります。
だからこれからアレックス(・ロウザー)は活躍していく俳優だと僕は思いますし、ある意味僕たちは同じ人物、同じ皮膚を共有したという気持ちがあるので、そういった意味では強い絆を感じるんです。だからこれからも頑張って欲しいし、大変大きな期待を抱いています。
―本作をはじめシャーロック、今後のドクターストレンジなど一風変わった天才役があなたは非常によく似合います。どう受け止めていますか?
そういった役が多いことは自分でも認めます。ドクター・ストレンジに関しては、実際の作品を観ていただきたいのですが、名前がストレンジだから彼自身がストレンジかと言ったらそうではない。表面上はそんなにストレンジではないけど内面的には面白い役になると僕は期待しています。
いつの日かロマンチックコメディで隣のお兄さんを演じてみたいという気持ちもあるんですが、ただ名前も一風変わっているし、容姿も一風変わっているということで、一風変わった役が多いのかなと思っています(笑)。でも俳優としてはいろんな役を演じていきたいですね。
アカデミー主演男優賞にもノミネートされ、「カンバーバッチ史上最高の演技」ともいわれている今回のベネディクト・カンバーバッチ。未見の人は、まだ間に合う!劇場に足を運んでみてはいかがだろうか。
https://youtu.be/hnrjKKwTEHY
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』は大ヒット公開中
(C) 2014 BBP IMITATION, LLC
■参照リンク
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』公式サイト
http://imitationgame.gaga.ne.jp/
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