いよいよ23日に開催が迫る第87回アカデミー賞に備え、主演&助演男優/女優賞にノミネートされている俳優たちの初期出演作品ばかりを集めたコンピ動画で、そのキャリアを振り返ってみよう。
https://vimeo.com/119759675
The Early Roles of Your 2015 Oscar Nominees from Flavorwire on Vimeo.
『アリスのままで』で主演女優賞にノミネートされているジュリアン・ムーア。マドンナがラジー賞最低主演女優賞を獲得してしまった『BODY/ボディ』(1993年)でジュリアンは彼女に平手打ちするのだが、「役に入り込んだマドンナが超怖かった」と最近のインタビューで漏らしていた。
1990年にはジョージ・A・ロメロ製作のホラー『フロム・ザ・ダークサイド 3つの闇の物語』の1編に登場し、クリスチャン・スレーターの妹を演じているジュリアンだが、『6才のボクが、大人になるまで。』で助演女優賞にノミネートされたパトリシア・アークエットも、オムニバスTVシリーズ『ハリウッド・ナイトメア』の初期回、さらに『エルム街の悪夢3 惨劇の館』(1987年)やインディー系のコメディにも出ていたりする。
そして現ハルクとして異星人相手に闘っているマーク・ラファロは『フォックスキャッチャー』で助演男優賞にノミネートされているが、11年前にはオカルト・サスペンス『ダーク・ミラー/悪魔の囁き』の端役で頑張っていたし、その後も『54 フィフティ★フォー』『セーフ・メーン』(共に1998年)など「そういえば出てたっけ」レベルの下積みを経験している。
イーストウッド監督の実録映画『アメリカン・スナイパー』のスゴ腕スナイパー役で主演男優賞にノミネートされたブラッドリー・クーパーだって、デビュー直後はコメディ映画『Wet Hot American Summer』(2001年)でピチピチのイケメンぶりをフル活用したりしていた。しかし最近、スパイドラマ『エイリアス』(2001年)出演時を振り返り、実は仕事(出番)の少なさによる不安から「死にたかった」と吐露しているほどのナーバスな男だ。
超スパルタ・ジャズ映画『セッション』で鬼コーチを演じ助演賞ノミネートのJ・K・シモンズは、ライミ版『スパイダーマン』シリーズのジェイムソン編集長が最もメジャーな役だろうか。1998年公開のウディ・アレン作品『セレブリティ』でキリスト像を売る行商人や『ファースト・ワイフ・クラブ』(1996年)の連邦保安官などなど、等身大すぎる人間くさいキャラクターを演じることが多い人である。
10代の頃から『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』(2005年~)などTVシリーズに出演していたエマ・ストーンは、映画デビュー作『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(2007年)でボンクラに優しい女子を演じたことで、その後も主演作『小悪魔はなぜモテる?!』(2010年)など同じような役が続くことに。ともあれ、今年は見事『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で助演賞ノミネートを果たし、改めてコメディエンヌとしての魅力を証明してしまった。
トータル12年間もの撮影に参加した『6才のボクが~』のイーサン・ホークは、初期作ではR・フェニックスとのデビュー作『エクスプロラーズ』(1985年)や故R・ウィリアムズの代表作でもある『いまを生きる』(1989年)の生徒役が有名だが、祖父と父との親子三代の交流を描いた『晩秋』(1989年)は今すぐソフト化するべき超感動作だ。
『バードマン~』で主演ノミネートのマイケル・キートンは元々コメディアン。『ビートルジュース』『バットマン』といったバートン作品以前に、70年代のTVシリーズ『Mary Hartman, Mary Hartman』、妊娠した男のクリスマスを描く『Rabbit Test』(1978年、ビリー・クリスタルのデビュー作)などを経て『ラブ IN ニューヨーク』(1982年)で本格デビューした。
ロバート・デュヴァルといえば『地獄の黙示録』(1979年)のキルゴア中佐だが、キャリア初期は『アラバマ物語』(1962年)のキモい隣人役、『トワイライトゾーン』(1963年:TVシリーズ)で気弱なサラリーマン、『宇宙大征服』(1967年)で宇宙飛行士など様々な役柄を演じ、髪の毛の後退とともに次第に大物俳優の脇を固めるバイプレーヤーとしての地位を確立していった。
映画デビュー作『真実の行方』(1996年)と『アメリカンヒストリーX』(1998年)で助演男優賞ノミネートという輝かしいキャリアを持つエドワード・ノートンは、『バードマン~』で3度目のノミネート。
名優ブルース・ダーンの娘、ローラ・ダーンも『ワイルド(原題)』で主演R・ウィザースプーンの母親を演じ助演賞ノミネート。ノンクレジットでいくつかの作品に出演した後、本格パンク映画『Ladies&Gentlemen the Fabulous Stains』(1982年)や感動作『マスク』(1985年)など様々なジャンルの作品に顔を出している。
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』助演賞ノミネートのキーラ・ナイトレイは、まだ29歳なので美少女時代に出演した『イノセント・ライズ』(1995年)や『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)の侍女など、出演作も記憶に新しいものばかり。しかし、さすがメリル・ストリープは舞台女優としてスキルを磨き(トニー賞ノミネートも経験)、映画デビュー2作目の『ディア・ハンター』で助演女優賞ノミネート。その後1回の助演賞と2回の主演女優賞を受賞している史上最多ノミネート記録の持ち主だが、今回の『イントゥ・ザ・ウッズ』での助演女優賞ノミネートはイマイチよく分からない。
童貞映画の金字塔『40歳の童貞男』(2005年)のセンシティブな童貞演技でスターとなったスティーヴ・カレルだが、今回の主演男優賞ノミネート作品は実際に起きた殺人事件を描いたアマレス・サスペンス『フォックスキャッチャー』。とはいえマリファナコメディ『ワイルド・スモーカーズ』(1998年、監督はジェイク・ギレンホールのお父さん)など、キャリア初期からコメディ畑ひと筋の信用できる鼻デカおじさんだ。
そして『イミテーション・ゲーム~』で主演ノミネートの人気絶頂KY俳優ベネディクト・カンバーバッチは古典演劇出身だが、映画界への転身前にはヴィクトリア朝時代の漁港を舞台にしたセクシャルなTVシリーズ『Tipping the Velvet』(2002年)やコメディ・ドラマ『FORTY SOMETHING』で当時から異様な存在感を放っていた。
そんなカンバーバッチとともに16世紀イギリスが舞台の『ブーリン家の姉妹』(2008年)に出演していたのが、『博士と彼女のセオリー』で主演男優賞にノミネートされたエディ・レッドメインだ。彼も舞台出身だが、『ザ・デンジャラス・マインド』以降は『グッド・シェパード』(2006年)『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(2007年)『レ・ミゼラブル 』(2012年)など、ことごとく大物と共演しているせいか「そういえば出てたな」という印象の作品が多かったりする。
伝記映画『エディット・ピアフ ~愛の讃歌~』(2007年)で第80回アカデミー賞で主演女優賞を獲得したマリオン・コティヤールは、今回『サンドラの週末』で再び主演ノミネート。今でこそ演技派女優というイメージだが、実は日本人が大好きなリュック・ベッソン映画『TAXi』シリーズ3作にガッツリ出ているという黒歴史の持ち主。
『博士と彼女のセオリー』でレッドメイン演じるホーキング博士の元妻ジェーンを演じ主演ノミネートを果たしたフェリシティ・ジョーンズは、『ミルドレッドの魔女学校』(1998年)『ノーサンガー・アベイ』(2007年)といったTV作品を経て、『情愛と友情』(2008年)『わたしの可愛い人 シェリ』(2009年)などで頭角を現した新進女優。いわゆる現代劇に出演するようになったのはここ数年だが、野心が滲み出た性悪顔には今後の活躍を期待せざるを得ない。
自ら製作も務めた『ワイルド(原題)』でノミネートされたリース・ウィザースプーンは15歳にして『マン・イン・ザ・ムーン/あこがれの人』(1991年)でデビューしたベテランだが、その後しばらく地味な作品ばかり続いた苦労の人でもある。しかし『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』(1999年)で、こまっしゃくれたオモシロ顔が武器になることに気づいた彼女は、その後『キューティ・ブロンド』(2001年)のヒットにより"ラブコメの女王"として君臨したことで有名だ。
そして『ゴーン・ガール』で怖すぎる復讐妻を演じ、主演女優賞最有力候補とされているのがロザムンド・パイク。過去作ではやはり『007 ダイ・アナザー・デイ』(2002年)のボンドガール役が取り上げられがちだが、『プライドと偏見』(2005年)などで見せた"超美女なのに手が届きそう"と感じさせる超キュートな笑顔も推したい。
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