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元メンズナックル編集長に聞く、「不良」と「ファッション」と「モテ」の意外な関係とは?

2014/12/16 12:30 投稿

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Filed under: カルチャー, 映画, 全社必見

高倉健さん、菅原文太さんの訃報。戦後の娯楽の代表各と言えば映画。その中でも任侠映画は娯楽の定番だった。なぜ、任侠映画はそこまで人気があったのか?そこには若者たちを引きつけるものがあった。

以前、egg休刊の話の時に、「ギャルは不良文化の元に成り立っている」という話をして頂いた、元メンズナックル編集長の篠塚雅也さんに、不良文化と若者文化の関係性を聞いた。




まず「不良はモテる」っていうのは昔からありますよね。中、高校生くらいだとヤンキーがクラスの一番人気の女のコと付き合っている、なんていうのはよくある話です。では「なぜ不良はモテるのか?」ということです。

これには諸説あるのですが、一番はギャップだと思われます。あんなに普段はツッパッているのに私の前では優しいとか。私には素の部分を見せてくれるとか。第一印象が怖いのに、意外と優しいというのがポイントです。これがギャップです。女の子は誰もが自分だけを特別扱いしてくれる人に弱いということはよくあります。

そして、ポイントはファッションです。明らかに一目でわかるのが不良です。普通の服装ではなく俺は不良だぜ!というファッション。学生ならばボンタンなどの改造制服など一目でわかるのです。それが一種のステータスにもなり、一般の男ではない、特別な男と付き合うというステータスになるのです。

さらに不良は力を振りかざします。強い男に憧れるというのは女性の動物的な深層心理に響くのではないでしょうか。だから不良はモテるのです。そして、そんなイイ女を連れている男に対して男は憧れを持つのです。さらに喧嘩や法を犯すような、自分では出来ないことをする男に対して、憧れとある種の畏敬の念をもつのが男なのではないでしょうか。

日本に限らず、アウトローを題材とした映画は数多くあります。人種を問わず男は自分が出来ないことをしている人間に憧れるものなのです。戦後の任侠映画からVシネマ、最近では北野武監督の映画と、時代は変われどアウトローを題材としたものはずっと作られてきたというのはそういうことなのだと思います。

では、どうしたら不良になれるのか? と考えた時、一番わかりやすいのは格好から入るということです。
不良は分かりやすいファッションをしているので、誰しもそれを真似するところから入ります。つまり、世間に対して自分は不良だとアピールするのです。
日本の若者ファッションは不良無しには語れません。『仁義なき戦い』をみると、チンピラ役は皆、派手な柄シャツを着ています。これで一目でチンピラだと分かるのです。

では、ここで不良文化と若者ファッションの関係性をみてみましょう。

任侠映画の隆盛と時を同じくして現れた不良文化は、暴走族の走りとも言えるカミナリ族。アロハシャツをアイコンとしたバイク文化です。
さらにバイクの大衆化と共に生まれた矢沢永吉のキャロル、続く舘ひろし、岩城滉一のクールス。この時代は革ジャンをアイコンとしたファッションが全盛となります。そして生まれた暴走族はドカジャンを羽織り暴走し、学校へ行くときはボンタンなどの改造制服が不良のアイコンとなる。
暴走族の衰退後、現れたのが渋谷センター街を主な活動場所としアメカジを身に纏ったチーマー。それはカラーギャングへと続き、この時代はアメカジの流れから、さらにB系と呼ばれるオーバーサイズのスタイルが流行する。これらチーマーが、初期のメンズエッグの土台となります。

メンズエッグは渋谷でヤンチャしていた男たちのライフスタイルを取り上げたものでした。メンズエッグがさらに進化をしセンターGUYと呼ばれ、ギャルの対としてギャル男になる。派手なギャル男に対して、夜のアウトロー要素を持ったホスト文化を取り入れたのがメンズナックル。全ての黒が漆黒に染まる程、圧倒的なブラックスタイルの提案は、夜の男たちの怪しさと相まって人気を博し、キレイめファッションと言われるスタイルを作り出す。このメンズエッグとメンズナックルのファッションを合わせてお兄系と呼ばれます。

その後、金融系スタイルと言われた黒髪短髪眼鏡に、ハイブランドで身を固めたスタイルを土台とする悪羅悪羅系が、SoulJAPANという雑誌でブレイクします。闇金ウシジマ君スタイルです。その流れを組みながら、海外セレブファッションを取り入れたものがビター系と言われる今の若者ファッション
長々と語ってきましたが、不良のファッションスタイルがその時の若者の流行となることがお分かり頂けたと思います。

そんな流れの中でメンズナックルが作った造語が"伊達ワル"と言う言葉。アムロ曰く、ニューガンダムは伊達じゃない、の伊達です。分かりやすく言うなれば、伊達眼鏡の伊達。つまり「ワルではない」と言う意味。ワルではないがワルに憧れを持つという意味合いが、伊達ワルという言葉には込められています。豆知識的にいえば、この流行のファッションをいち早く取り入れるのは、繁華街で女のコに声をかけているキャッチと呼ばれる人たちです。彼らのファッションこそ、今どんなスタイルが来ているかの指針になります。なぜなら、彼らは女のコ相手にモテてなんぼの商売。見知らぬ人に声をかけまくるなら、今風のカッコで少しでも女のコの気を引くことに余念がないからです。

戦後から、若者ファッションの先頭を突っ走ってきたのは不良たち。不良=アウトローが女たちからモテて、そしてそれに憧れる男という縮図は今も昔も変わることなく続いていくのです。

最後に、この記事の切っ掛けでもある、菅原文太さん主演の『仁義なき戦い』シリーズは是非とも皆さんに見て欲しい!ベスト・オブ・チンピラの渡瀬恒彦さんの柄シャツに注目するもよし、あとがないんじゃ...あとが...っとセックスするもよし、信雄と邦衛のゲスさに憤るもよし、やっべー小林旭ちょーカッケーと見るもよし。
『仁義なき戦い』は見ないで死ねるか映画です!

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