去る11月9日、静岡県の県営草薙球場で、プロ野球12球団による合同トライアウトが開催された。その中で、元オリックスの東野峻投手(28)が、最速145km/hを記録するなど見せ場を作り、詰め掛けた関係者が絶賛。早くもヤクルトと横浜が獲得に向け検討を開始していることなどが伝えられているが、実はこのトライアウト、近年でこそ合格者も増えているものの、もともとはかなり狭き門であることが知られている。たとえば、このトライアウトでの合格を経て、歴代入団した選手は下記の通りだ。
・2001年:1名...吉田好太
・2002年:なし
・2003年:なし
・2004年:9名...宇野雅美・富岡久貴・三沢興一・河本育之・井出竜也・代田建紀・野村克則・林孝哉・福井敬治
・2005年:2名...小倉亘・瑞季
・2006年:3名...遠藤政隆・横山道哉・定岡卓摩
・2007年:7名...石川賢・谷中真二・萩原淳・小関竜也・斉藤宜之・斉藤秀光・三浦貴
・2008年:5名...大西正樹(育成)・ユウキ(育成)・中村泰広(育成)・森岡良介・吉本亮
・2009年:1名...西谷尚徳(育成)
・2010年:5名...小林雅英・多田野数人・荒川雄太・大城祐二(育成)・大西宏明(育成)
・2011年:7名...阿部健太・木下達生・加藤大輔・中谷仁・石井義人・紺田敏正・小林高也(育成)
・2012年:5名...星野智樹・大立恭平(育成)・蕭一傑(育成)・林啓介(育成)・柴田亮輔(育成)
・2013年:4名...有馬翔(育成)・勧野甲輝(育成)・細山田武史(育成)・松冨倫(育成)
...と、このように、採用0人という年もあり、多くても2ケタは行かないというのが実情。無論、ここには各球団のテストを経て入団した選手や、秋季練習などへの参加を経て入団につながったケースは含まれていないため、実際には、「トライアウトを経験して再起した選手」はもっと多く、かつては西武からの戦力外通告の後、各球団のテストやトライアウトを経てソフトバンクに入団、その後、ベストナインにも選ばれた宮地克彦のような成功例も存在している。そうした意味で言えば、このトライアウトは、選手にとってはもちろん のこと、各球団にとっても、来季を考える上で実に重要な場なのである。
今年は前出の東野以外にも、藤井秀悟(横浜)や梅津智弘(広島)、江尻慎太郎(SB)のような、かつてチームの顔として活躍した名選手たちが顔を揃え、例年以上に注目を浴びているトライアウト。果たしてこの中からどの選手が来季への切符を手にするのか注目したい。
文・吉竹明信
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