ブラッド・ピット主演の激アツ戦争映画『フューリー』。タイトルにもなっている"フューリー(Fury)"とは、劇中たった一台でドイツ大軍と戦った戦車の名前なのだが、このように当時は戦車や戦闘機、兵器に名前を付けることはよくあったことだったそう。本作にも、フューリー以外にも個性的な名前の戦車がいっぱい出てくるのである。
本作のように、"ウォーダディ―"や"バイブル"、"ゴルド"、"クーンアス"など、仲間をあだ名で呼び合い、愛機であるシャーマン戦車には"フューリー"という名前を付けるのは、当時の戦場では当たり前の事だった。自らの命を預ける兵器や仲間にあだ名を付け、絆を深め士気を高めようとしたのである。
たとえば、ドイツの大型重量戦車VIII号戦車には通称"マウス"という呼び名が付いていたし、ティーガーⅡ型は、連合軍から"キングタイガー"や"ロイヤルタイガー"と呼ばれていた。また原爆投下の命を受けた爆撃機B-29には"エノラ・ゲイ"という名前が付いていた事も有名な話。これは機長であるティベッツ大佐の母親、エノラ・ゲイ・ティベッツ(Enola Gay Tibbets)から取られたと言われている。
他にもドイツ市街地への昼間爆撃という任務に就いたB-17F爆撃機には、"メンフィス・ベル"という名前が付いており、これはそのまま『メンフィス・ベル』というタイトルで1990年に映画化され公開されている。
また、アニメ『機動戦士ガンダム』(79)でも、度々機体に対してあだ名や愛称がセリフで登場していた。主人公アムロ・レイのライバル、シャア・アズナブルの愛機、量産型ザクⅡは、その色とスピードから"赤い彗星"と呼ばれていたし、アムロ達の乗る大型宇宙戦艦ホワイト・ベースを、敵側の軍人は"木馬"と呼んでいた。これはつまり、アニメ的にそのようなセリフを使っていたのではなく、リアルな戦争アニメを作るという目的から実際の兵士と同じようにあだ名や愛称で呼ぶというセリフにしたのである。
さて、そんな本作で、"フューリー"と共に戦う小隊の他の戦車もそれぞれ個性的だ。 "マタドール(荒くれ者)"、"ルーシー・スー"、"オールド・フィリス"、"マーダー・インク(殺人会社)"の4台である。恋人の名前から取ったのだろうかと思わせるものや、1930年~40年にかけて実在した犯罪組織から取ったと思われるものなど、バリエーションに富んでおり、その由来が気になるところだ。そしてこの4台に"フューリー"を加えた戦車小隊が共に戦場で戦うこととなる――。
過酷な状況の中傷つきながらも、部下を守り必死に生き抜こうとする男と、その男について行くと心に決めた4人の仲間たち。戦火の中、壮絶なミッションの行く末は――。
『フューリー』は11月28日(金) TOHOシネマズ日劇他全国超拡大ロードショー
(C) Norman Licensing, LLC 2014
■参照リンク
『フューリー』公式サイト
http://fury-movie.jp/
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