イ・ジョンボム監督が描く"男"は、男が観たい"男"だ。前作『アジョシ』(10)同様、『泣く男』の主人公ゴンも、内面に抱く問題こそ違うものの、男カタルシス充満のキャラクターだった。そこには監督自身の投影か、願望がありそう。いい"男"の製造法を質問した。
『泣く男』のゴンを演じるは、韓国のトップスター、チャン・ドンゴン。すでにビジュアルがパーフェクトなため、いい"男"の製造法など特にないと思う人がいるかもだが、ジョンボム映画の"男"は中身が魅力。監督も、その創造に注力する。「まずカッコいい男はこうだ!って、決めつけてキャラクターを作ることはしない(笑)。順番としては違うと思うわけ。個人的に男のドラマが好みだが、特に内面が成長していくドラマがいいよな」。
そして、内面の成長をセットした後は、その魅力を際立たせるアクションも外せない。『アジョシ』(10)のウォンビンはナイフで心情を語っていたが、今回のゴンも激しい銃撃戦などなどで苦しみを代弁する。「そう。映画を観ていて、主人公を観ていて、カタルシスを感じたいじゃないか。だから、アクションも激しく盛り込み、男のドラマを作っていく。そうなってくると、当たり前だが、カッコいい男が活躍するドラマに仕上がっていく構成だ」。
ジョンボム映画の"男"は想像を絶する体験をしている場合が多いので、監督のパーソナルな要素を経験上投影しているとは考えにくいが、「ただ、自分が脚本を書いて演出しているので、主人公には、いくぶんか自分のキャラクターが入っていると思う」と告白。荒唐無稽なシチュエーション下でもキャラクターに感情移入しやすい説得力は、そこにある。観客とジョンボム監督は主人公に共通言語を持たせて、カタルシスを共有しているわけだ。「その意味では、自分の投影と言っても間違いじゃないよ。ビジュアル以外の面でね(笑)」。
映画『泣く男』は、大ヒットロードショー!
■参照リンク
『泣く男』公式サイト
http://nakuotoko.jp/
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