東京・六本木ヒルズで開催されている(大阪でも来年開催されます)「ティム・バートンの世界」展に迷い込んでみました。
"迷い込んで"と書いたのは、まさに今回のイベント、ティム・バートンの心の中をのぞくような、そんな素敵な異空間であり、そこを散歩するかのような楽しさがあります。
・ティム・バートンが描いた「フランケンシュタインの怪獣:サンダ対ガイラ」他
今回のイベントは、いわゆる映画のプロップが展示してあるとか、なんか動くアトラクションがあるとか(笑)、そういう類のものではなく、ティム・バートンが、映画やアニメや絵本のために、描いてきたスケッチ(コンセプトアート)を中心に、それらがゴージャスに展示されているアート展です。
もちろんいくつかの立体物もあり、フランケンウィニーとか、火星人ロボとか、ウンパルンパにも再会できるし、彼の生み出したオリジナル・キャラクターバルーンボーイの巨大オブジェがお出迎えしてくれます。
ティム・バートンについては、僕より深く、熱く語れる方も多いので、アメコミ映画好きの視点で、このイベントを紹介させていただきます。
「バットマン」「バットマン・リターンズ」のスケッチが展示されていました。ジョーカーを描いた極彩色の絵も飾られていたのですが、やはりキャット・ウーマン、ペンギンのスケッチの方が多かったのです。恐らく「バットマン」は、"雇われ監督"みたいなところがあった、でも「バットマン・リターンズ」は、より"バートンの映画"として自由に腕をふるえたんだと思います。
改めて「バットマン・リターンズ」を見直すと、バットマンは狂言回しであり、ペンギンとキャット・ウーマンの映画だったことがわかります。そうバートンの愛は、この2人に注がれているのですね。ジョーカーは、決してバートンのキャラクターではないが、「バットマン・リターンズ」に登場するペンギンとキャット・ウーマンは、バートン・ファミリーの一員になっているのです。
・「バットマン・リターンズ」のキャット・ウーマン、ペンギンのアート
さてアメコミ映画好きには、有名な話ですが、ティム・バートンは、スーパーマン映画の監督をオファーされたことがあります。タイトルは「SUPERMAN LIVES(スーパーマン・リヴズ)」。なんとニコラス・ケイジが、スーパーマンを演じるハズでした。
この幻に終わったスーパーマン映画のスケッチと、登場する悪役だったブレイニアック(生きている電子頭脳)のミニチュアが飾られていました。クモをモチーフにしたキャラにする予定だったようです。
あの明るいスーパーマンを、ティム・バートンが撮っていたら、どんな映画になっていたでしょうか?とてもカルトな映画になったと思いますが(笑)、こうした展示を見ていると、バートン版スーパーマンも観てみたかったなと思います。
ちなみにバートンのオリジナル・キャラクターに"ステインボーイ"というのがいて、このスケッチも飾られていますが、胸にSマークをつけているのです。バートン流の"裏スーパーマン"とも言えるかもしれません。
・幻の「スーパーマン・リヴズ」のコーナーから
アメコミではありませんが、僕の大好きな「マーズ・アタック!」関係の展示が多かったのが嬉しかったです。「マーズ・アタック!」自体は、もともと60年代に流行したトレーディング・カードがベースであり、火星人のデザインも含め、バートンのオリジナルではないですが、立派にバートン世界の住人になっていました。映画「マーズ・アタック!」を観ると、バートンが、日本の怪獣映画のファンだったことがわかります。それを裏付けるかのように東宝の怪獣映画の傑作「フランケンシュタインの怪獣:サンダ対ガイラ」へのオマージュの絵が展示されていました。バートンが、この映画を、「マーズ・アタック!」ノリで、リメイクしてくれたら楽しんだろうな。
「マーズ・アタック!」の展示
とても展示物が多く、見応えがあるイベントです。ティム・バートンが作り出す、ちょっと毒気のある異世界は異形の者たちに対する愛が満ち溢れています。きっと皆さんが共感できるキャラクターに出会えるでしょう!
あ、お土産グッズも、楽しいですよ!(笑)
■ティム・バートンの世界(東京開催)
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
期間:2014年11月1日(土)~2015年1月4日(日)
入場料:一般1,800円 高校生・大学生1,300円 子供(4歳~中学生)800円 ※価格は全て税込。
主催:フジテレビジョン/東京新聞/WOWOW/森アーツセンター
公式HP:http://www.tim-burton.jp/
■ティム・バートンの世界(大阪開催)
期間:2015年2月27日(金)~ ※予定
会場:イベント・ラボ(グランフロント大阪 北館ナレッジキャピタルB1F)
住所:大阪府大阪市北区大深町3−1
テキスト・写真/杉山すぴ豊
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