山岡荘八の『徳川家康』を筆頭に、これまで数多くの小説やドラマで、その主人公として描かれてきた徳川家康。そんな家康の生涯においては、絶体絶命の危機にまで追い込まれた三方ヶ原の戦いを仕掛けた武田信玄や、大坂夏の陣で本陣近くまで猛追した真田幸村など、心の底から震えさせた武将たちの存在が、多くの歴史ファンの間で認識されているが、そうした中、今年の大河ドラマ『軍師官兵衛』に合わせて展開されている書店の特集コーナーで、黒田官兵衛について「家康が最も恐れた男」と紹介していることに違和感を覚えたユーザーのツイートが注目を集めている。
このユーザーによると、今回、「家康が最も恐れた男」として紹介された黒田官兵衛のほかに、これまで、同様の触れ込みで紹介されてきた面々は、真田昌幸・幸村親子を筆頭に、上杉家の懐刀として活躍した直江兼続、薩摩の猛将として名を馳せた島津義弘、さらには家康ではなく自分が幕府を開こうと考えていた伊達政宗など、歴史ファンからすれば、ある意味、合点のいく顔ぶればかり。たしかに、そうした中で、黒田官兵衛を「家康が最も恐れた男」とするには、いささか無理があると言わざるを得ず、そのため、ネット上のユーザーからも、「武田信玄は?」「最もってどこがだよw」「多すぎるだろwww」といった声が相次いでいる。
なお、今回「家康が最も恐れた男」として紹介されているという黒田官兵衛については、多くの歴史ファンが知るように、一体どこが「恐れた」のかすらわからないほどに、両者の衝突はおろか、その関係性すら、希薄に感じてしまうというのが正直なところだ。果たして、こうした紹介の仕方をするにあたり、書店や出版社の人々が、本当にその人物について把握していたのか、まったくもって疑問である。
文・山下誠一
【参照リンク】
https://twitter.com/Tukikagerou/status/524913218653671424
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