<悩み>
後輩から全然新しい提案が出てこないので、困っています。
僕が思うに、最近の若手はみんなやる気がない。せっかく企画立案できる立場にいるのに、何もしない意味が分かりません。どう思いますか?
企画職・36歳(男性)
<回答>
同世代の社会人や上司と会話をしていて必ず出て来るのが「最近の若手ってダメだよね」という話題。
確かに、30代になり部下を抱えるようになって「育成」というテーマが課せられたあたりから、こういうことを感じるようになりがち。
しかし思えばこのフレーズって、昔からある。
かつて、自分たちもこのように表現されていただろうし、上司の世代も若い時分はさらに上の世代に言われていたハズ。では、本当に「最近の若い奴らはダメ」なのか?
ある上司との会話。「若手から新しい企画やアイディアが全然出てこない。俺の若い頃は、言われなくてもガンガン新しいこと考えていた。出せと言って出さないのは論外だし、出せと言われてる時点で遅い。できるやつは放っておいてもどんどん仕事ができるようになるものだ」
これは分かるし、正論。ただ、この「俺が若い頃は〜」のエピソードは、ほぼ100%美化され盛られているので要注意!具体的にその上司が出していた新規案を聞いてみると、くだらなすぎたり、実現不可能なものばかりだったりで、今そんな案を出していたら確実にスルーされているだろう。
実際、同じような企画を自分が上司に提案したときは、苦笑され「無理だろ」と言われたこともある。結局「あのときは良かったけど今はダメ」なのだ!ズルい!
また、あるFMで活躍する先輩ディレクターに聞いた話。
「俺の若い頃はさ、音楽に関してみんな貪欲だったから、ことあるごとに先輩に『最近何がイケてるんスカ?』と質問していたんだけど、最近の若いディレクターたちは音楽に関して興味が薄いのか、全くそういう質問をされない。FMで働いていて音楽が好きじゃないって意味わかんなくない?」
確かにこれは先輩としては寂しいし、プロ意識について小一時間問いつめたくなる気持ちも分かるけれど、実際に若手に話を聞いてみると...。例えば好きな音楽の話を雑談ベースで質問してみたら、「この前●●のCDを買った」「●●のライブに行った」という答えが返ってきました。要は、それを声高に言わないだけで、好きなものはある。そして、重要なのは「それを仕事に結びつける」という発想がないだけ。ということは、おそらく「覇気がない」というより、「遠慮がある」ということなのです。
ではなぜ遠慮があるか?といえば、その一因は「昔はおおらかな時代だったが今は違う」という職場のムードもあるでしょう。自分が会社にいても実感します。時代が移るにつれ、コンプライアンスだ予算削減だと言われ続けて窮屈になっているのは間違いないッスよね。
そして、こともあろうか、おおらかな時代を謳歌した上司自らが「そんなことしたらクレームがくる」「予算がない」という理由で企画をボツにすることもある。恥ずかしながら自分もそう言ってしまうことがあるけれど、それも仕方ないんです、会社だから。そんな中で、キャリアの少ない若手は空気を読める優秀な後輩ほど遠慮するし、無難なことをやるのは当たり前。
そしてエラくなって現場から離れていく上司はそういう窮屈ムードを肌では感じなくなる。そこでギャップが生まれてしまう。
自らが現場で活躍した時代と今とでは企業文化や職場のモラルが変質しているのだから、理解できないことが出て来て当然。
つまり、「最近の若いやつには覇気がない」と思えるのは、生きてる時代が違うから当然であり、職場環境が変わり続ける限り永遠に言われ続けるのです。
ということで、「最近の若手は〜」と言っているうちはお互いに歩み寄ることがないまま。安易な世代論で片付けず、最近の「好きな音楽何?」「この音楽知ってます?」などと楽しく会話してみましょう。すべてはそこから。先輩や上司とはそういう寂しい生き物。もっと話しかけてあげて!
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