「医師」という肩書きがあれば、「何をやっても許される」というものではない。このほど、ある精神科医が、事件発生後の精神鑑定の際に、当時30代だった女性を全裸にし、身体検査を行っていたことが明らかとなり、物議を醸している。
問題となったのは、地裁により選任された男性精神科医。医師は検査後に作成した精神鑑定書にも「全裸検査」の経緯を書かず、女性の申告を受けた弁護士によって、はじめてその実態が明らかになったという。
調べに対し医師は、「性的嗜好など生活歴を知る必要があった」「成育状況と生傷の確認に必要だった。承諾があった」としているが、「事件の内容から全裸にする必要性は皆無。自尊心やプライバシーを傷つける人権無視の行為だ」と女性側の弁護士は憤りを隠せない様子だ。
「先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし」とは言うが、昨今では医師によって診察を受ける側が精神的なダメージを受けるという、いわゆる「ドクハラ」が社会問題化していることなどから、医師の人格について厳しく問う声も少なくない。はからずも、それが法廷の場であったからこそ、明らかとなったと言えるこの事件、これからも様々な波紋を巻き起こしそうな気配だ。
文・猪俣進次郎
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