6月7日、第6回AKB48選抜総選挙の結果が発表され、渡辺麻友が初の1位を獲得した。下馬評では昨年1位の指原莉乃が大本命とされていたが、まさかの逆転劇に日本中が驚いた──といった感じで報道されているAKB48選抜総選挙だが、そもそも日本中が騒ぐほど、重要なイベントなのだろうか?
AKB48選抜総選挙は、対象となるシングルでの「センター」ならびに「選抜メンバー」を決めるためのものだ。つまり本来プロデューサー・秋元康が決めるべきものをファンの意見に委ねようという試みである。
要するに、ファン投票でメンバーの人気順を決め、それに従って真ん中から立ち位置を与えていけば、ファンも納得するだろう、ということ。しかし、どうしても気になってしまうのは、1人で何票でも投票できるという点だ。初期の頃からAKB48を追いかけていたアイドルライターはこう話す。
「人気投票というのは、かなりシビアではあるけども、確かに面白いし、ファンも結果が気になるところ。メンバーたちもやる気を出すと思います。ただ、CD1枚に投票券1枚というシステムはやはり問題がありますよね。結局、まったく人気がないメンバーでも、1人のとんでもない大富豪がタニマチになれば、1位になれちゃうわけですから。そういう側面がある以上、"人気投票"とはいえないですね」
ファンが、1人でCDを10枚や20枚購入するのはもはや当たり前、投票券目当てに1000枚単位で買うケースもいるらしい。AKB48の握手会に足繁く通う熱心なファンはこう話す。
「大量にCDを購入しているファンは、メンバーに認識されています。というのも、AKBの握手会では、大量の握手券を出せば、その分長い時間握手し続けることができますからね。つまり、資金力さえあれば、30分とか1時間とか独り占めできるよ。そうなったら、もちろんメンバーもファンの顔を覚えるし、それだけお金を使ってくれている"太い客"として認識する。それこそ"次の総選挙では選抜に入りたいんですぅ"なんて言われれば、ファンも頑張ってしまいますよ」(アイドルライター)
その現実を紐解けば、必ずしも"人気投票"ではなく、むしろ"ファンの資金力ランキング"ともいえそうなAKB48選抜総選挙。大々的に扱うマスコミに対して違和感を抱く人も少なくない。某週刊誌記者はこう話す。
「AKBの総選挙っていわば、大相撲の番付をタニマチの援助額で決めているようなものじゃないですか。はっきり言って、そんなの無意味でしょ。でも、テレビやスポーツ紙なんかでは、そういった背景を無視して、国民的アイドルの人気ランキングみたいな感じで扱う。ちょっとおかしいですよね。AKB48のファンを公言する評論家とか社会学者もいますが、その人達も"総選挙が何なのか?"みたいな根幹的なところはスルーしていますよね。一体何なのでしょうかねぇ...」
相撲界の「タニマチ」とは、無償のスポンサーのこと。化粧まわしにちょっとした宣伝を入れることはあるかもしれないが、見返りを求めてタニマチになるということはほとんどない。そういう意味では、AKB48のメンバーに多額の資金を投入するファンたちもまた「タニマチ」といえる。前出のアイドルライターはこう話す。
「たしかに"タニマチ"的な存在なくして、総選挙は成立しない。むしろ、ライトなファンは減少傾向にあって、その分タニマチへの依存度がどんどん高くなっているといえるでしょう。上位常連の某メンバーなどは、地方に"社長クラス"のタニマチをたくさん持っていて、だからこそ"選挙に強い"なんて言われている。すでにそういうものになってるんですよ。もはや、アイドルとかそういうことではなく、AKB48選抜総選挙は"日本の新しいタニマチ文化"みたいなものなんです」
"日本の新しいタニマチ文化"──たしかに、興味深いイベントなのかもしれないが、少なくとも日本中が騒ぐようなことであるとは思えない...。
【参照リンク】
・AKB48公式サイト | AKB48 37thシングル 選抜総選挙
http://www.akb48.co.jp/sousenkyo/37thsingle/
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