「松本さんは恥をかく勇気ってあります?」
5月4日に放送された『ワイドナショー』にゲスト出演したSMAPの中居正広はダウンタウンの松本人志に対してそう尋ねた。
中居正広はたびたび『ワイドナショー』に出演し、「準レギュラー」などと言われている。彼が出演しない回は、中居のポジションには小倉智昭や安藤優子、武田鉄矢など大ベテランの大御所が入ることが多いが、正直言って中居が出演した回はそれ以外の回と比べて一段も二段も面白い。
お互い気心も知れ、大御所たちに比べ世代的にも近く、なおかつ同じ芸人ではない、それでいて芸人たちと数多く共演していることから、中居は松本人志という芸人の性理に敏感だ。
あえてツッコまれたくないであろう部分を刺激したり、本当は言いたいけれど自分からは言いにくいことを誘導するのが抜群に巧い。
冒頭の中居の質問に松本は「うーーーん」と言葉に詰まらせた。
東野幸治が「お笑いの恥って難しいところがありますよね。失敗を笑いにできるっていうのもあるから」とフォローを入れると松本も「お笑いの恥は表裏一体というか......紙一重というか」と同意しつつ答えた。
「でもなんかあったときには今でもすっぽんぽんになるっていう気持ちはどっかに持ってますけどね」
すると中居はさらに踏み込んでいく。
「もし、蜷川幸雄の舞台への出演のオファーがきたら受けるか?」と。
中居は蜷川幸雄の舞台『太陽2068』に前田敦子が出演するという発表を先日知って驚いたのだという。
アイドルの頂点を獲ったにも関わらず、その実績の通用しない世界に足を踏み入れる勇気に、「あ、恥かく覚悟を持ったんだな」と感心した。
「僕は偉いなって思ったんですよね。彼女はもう自分の仕事を選べる人ですから」
蜷川の演出は厳しいことで知られる。灰皿が飛んでくることだってある。そんな新しい舞台に今から松本も飛び込んでいけるのか、と中居は問いただしたのだ。
「松本さんに、『蜷川さんの舞台出ませんか』って話が来た時に、周りに役者さんいる中で、たぶん友達もできないでしょうね。誰もフォローしてくれない中、灰皿バーンってやられるわけですよ。誰も笑ってくれない。やりますか?」と。
すると松本は「やるよ! やる、やる」と宣言しつつ「蜷川さんからは呼ばれないとは思うけどねぇ」と笑った。
もし、ちょっと前の松本なら「やる」なんて言わなかっただろう。「『笑い』以外やらない」などと逃げなのか、攻めなのか分からない答えを出したはずだ。
だが、松本の意識が変わる大きなきっかけがあった。
それが『すべらない話』の10周年記念で行われた尼崎でのライブだ。
「あれやるとね、ああ、一人でなんかやってみようかなって思って。一人でこじんまりと2~300人の(キャパの)ところで。客前で一人で俺、何を喋れるかなぁって思って」
もしかしたら近いうちに「松本人志独演会」などという夢の様な舞台が実現するかもしれない。
それにワクワクしたいのは僕たちのような観客だけではない。他でもない松本人志もドキドキしたいのだ。
新しいことに挑戦するのは「怖いけど、そっちのほうが」いいと松本は言う。
「ハラハラ、ドキドキしてみたいっていう気持ちが出てきたかな」
文=てれびのスキマ(http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)
【参照リンク】
・『ワイドナショー』公式サイト
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/widna-show/
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