お待たせしました! 前回大好評だった『機動警察パトレイバー』後藤隊長の名語録、第2弾をお届けします。今回は、初期オリジナルビデオアニメシリーズと劇場版から。コミック版に比べて、より「人間・後藤喜一」の人生観が色濃く出ているのがポイントです。後藤さん、マジで最高っす!
※出典元略称
初期OVA...『機動警察パトレイバー』(88〜89)
劇パト1...『機動警察パトレイバー the Movie』(89)
劇パト2...『機動警察パトレイバー the Movie 2』(93)
「俺は強制や命令は嫌いだからね」(劇パト1)
実は後藤隊長、かつては本気で革命家を志していました(初期OVA版で判明)。権力に反発する弱者の気持ちを痛いほどわかっているからこそ、むやみに権力を振りかざさない。後藤イズムの基本中の基本です。
「同僚の過去を調べるなんざ、願い下げだ」(劇パト2)
部下だけでなく、同僚も徹底的に守ります。どんな強い外圧があっても、屈することはありません。
「警察官たるもの、99%の確信があっても、人命に関わる重大な危険があれば、決定的な行動は避ける。そう言いたいんだろ? だが、それでは遅すぎる場合もある」(初期OVA)
組織において規則や原則を覆すには、相当な勇気がいります。後藤隊長がすごいのは、上司のハンコなど待たずに独断で躊躇なくそれを実行し、もし失敗したら、自分ひとりで責任をかぶる覚悟があることです。
「可能性にすぎないと言われますが、今のところそれを否定する根拠が何ひとつ存在しないこともまた、事実であります」(劇パト1)
根拠の薄い自説を目上の人に押し通したいとき、学びたい言い回しです。「後藤隊長に学ぶディベート術」って本の企画、出そうかな......。
「じゃ、この借りはいずれそのうちに。精神的に」(劇パト1)
古参パトレイバーファンの間では特に人気の高いセリフ。相手と絶大な信頼関係を結んでいるからこそ言える、ハードボイルドな一言。取引先とこんな会話をさらっと交わせるようなデキる仕事人に、なりたい。
「馬鹿な親分の下にいると苦労するよ」(劇パト2)
ただし、仕事のできない奴がこんなことを言っても、みっともないだけです。超絶的な切れ者の後藤隊長だからこそ許される、この発言。くどくど愚痴らず、さらっと一言。江戸っ子の粋としか言いようがありません。ちなみに後藤隊長は東京出身です。
「思う存分、暴れてこい」(劇パト1)
そうなんです。俺たちが待ってるのは、上司のこういう一言なんです。この一言があれば、全力で頑張れるんです。しかも後藤隊長の場合、このセリフのあと、部下たちの超法規的ミッションに横槍が入らないよう、関係省庁に自ら出頭して後方からサポートするというカッコよさ。部下にヒーローの勲章を与えるために、自分は陰で動く。もう、隊長、いつもそうなんだからぁ(惚)。
「不正義の平和だろうと、正義の戦争よりは、よほどましだ」(劇パト2)
一度は革命家を志した後藤隊長は今まで、いったいどれほどの闘争、どれほどの挫折を味わったのでしょうか。かつて舐めたすべての辛酸、被ったすべての傷が、今の後藤喜一をつくりあげたのです。人は、傷ついたぶんだけ寛容になれる。戦ったぶんだけ優しくなれる。後藤隊長、心よりお慕い申し上げます!
では最後に『劇パト1』より、後藤隊長の盟友である松井刑事とその後輩・片岡刑事の会話をどうぞ。
片岡 (...)あの後藤っておっさん、ありゃ何者ですか?
松井 カミソリ後藤ってな、本庁じゃ有名なワルさ。
片岡 そんな切れ者が、なんで埋立地なんかでくすぶってるんです?
松井 だからさ、切れすぎたんだよ。
......いやほんと、自分もし女性だったら、確実に求婚してますから。後藤さんに。
(稲田豊史)
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