2月12日に発売された嵐の42枚目のシングル『Bittersweet』は、これまで同グループがリリースしてきた多数の秀逸なディスコ調ナンバーの中でも、際立った特徴を持つ1曲だ。
まず、最も大きな特徴は、その歌詞である。タイトルこそ「Bittersweet」という英語であるものの、歌詞は全編日本語しか使われていない。これは、HOUSEミュージック調のJ-POPとしては、かなり珍しいことといえるだろう。
『Bittersweet』のBPM(テンポを示す単位)は、同じジャニーズの曲でいえば、SMAPの『SHAKE』と同じ128。このような速いBPMとなると、一文字ずつ音節を刻む性格を持つ日本語だけで作るのでは曲調とのバランスが悪くなることから、多くの曲に英語のフレーズが使われるものだ。
しかし『Bittersweet』では、英語はおろか、カタカナ語ですら全く使われていない。この"硬派"な特徴からは、作詞作曲を担当した「100+(ハンドレッドプラス)」氏の強いこだわりが垣間見える。
そして、もうひとつ大きな特徴が、"ハモリ"が非常に効果的であるという点だ。
嵐は、ユニゾンの多いSMAPと対比すると顕著だが、ジャニーズの中では比較的多く曲中に"ハモリ"のパートを入れるグループだ。特に、二宮のハイトーンな歌声と松本の低い歌声が上下のハモリで活かされ、ジャニーズ屈指のボーカリストである大野(主旋律)のソウルフルな歌声を引き立たせている。『Bittersweet』のサビでは、嵐の武器のひとつであるこのハモリが非常に心地よく使われているのだ。その構造は、以下の通り。(第1サビの歌詞引用)
「恋は甘くて苦い ~ 香りばかり」(二宮による高音のハモリ)
「叶わないけど ~ 強くさせる」(松本による低音のハモリ)
「知りたい ~ 包み込んで」(二宮による高音のハモリ)
「君を強く ~ 優しく」(松本による低音のハモリ)
二宮と松本というのは、これまでの嵐の楽曲の例をもとに聞こえる歌声の印象から予想したものだが、このように、高音と低音のハモリが交互に使われているのである。その結果、4小節ごとに大きく印象が変わり、聴きごたえのあるサビになっているのだ。
そして、サビ以外のAメロ・Bメロでもこの高音と低音のハモリの使い分けは随所で行われている。もちろん、誰がハモっているのかがCD等に明示されているわけではないが、自らの耳で、「ここはリーダーがハモってるのかな?」などと予想しながら聴くのも、嵐の楽曲の楽しみ方のひとつといえるだろう。
ドラマ『失恋ショコラティエ』(フジテレビ系)の主題歌で、ドラマの世界観にもぴったり合っている同曲。さすがの"横綱相撲"といえそうだ。
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