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「食」にまつわる小説は売れる? 本屋大賞候補『ランチのアッコちゃん』が良作な理由

2014/02/10 10:00 投稿

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Filed under: 国内, カルチャー, アフター5,

失恋した女を癒してくれるのは、必ずしも男とは限らない。時には、職場の20歳年上の大先輩、それも、苦手なタイプの独身キャリアウーマンかもしれない...。


「本屋大賞2014」にノミネートされた作品のひとつが、柚木麻子著の『ランチのアッコちゃん』。初めてつき合った男から振られた25歳の三智子が、ひょんなことから45歳の営業部長・アッコさんのお弁当を1週間つくることになります。身長が高く威圧感があり、某大物歌手に似ているところから、アッコさんと陰で呼ばれる女上司は、三智子にそのお礼として、自分がランチタイムに日替わりで行っている店に行き、いつも自分が頼むメニューを食べるように指示を出します。YESしか言えない三智子は、渋々それに従うことに...。

物語の要所でおいしい料理が登場します。まるでNHKの朝ドラ『ごちそうさん』のようですが、食事を通して人と交わり、会話をし、三智子の沈んだ心はだんだんと温かみを増していきます。

日本で社会人になり、しばらくすると、期待しないこと、調子に乗らないこと、自分の立場をわきまえることが身についてしまうものなのかもしれません。25歳の社会人は傍から見ると、「まだ25歳」なのに、気づかぬうちに物わかりがよくなっている。派遣社員である三智子をまるで自分のことのように感じてしまう人は、性別や職業を問わず多くいるのではないでしょうか。

作者は高校まで料理研究家になりたいと思っていたそう。また、同業の先輩に作家として売れるコツは、「食」と「ミステリー」の作品を書くことだとアドバイスされたこともあるとか。自分の得意分野の知識を利用し、先輩の教えを守ってできた秀作が本作と言うことができるでしょう。

食べることと幸せはやっぱりつながっている...。そんな当たり前のことに気づかせてくれる一冊です。

【書籍データ】
・『ランチのアッコちゃん』柚木麻子著 双葉社

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