なんという違和感だろう。
あの「ふなっしー」が"ふなっしーさん"などと呼ばれインタビューに答えている。
しかもNHKのニュース番組で、だ。それは11月25日の『ニュースウォッチ9』(NHK総合)でのことだった。
番組ではふなっしーを中心として「ゆるキャラ」の歴史を紹介。「ゆるキャラ」の名付け親であるみうらじゅんにも直撃していた。
みうらは、ゆるキャラについて「昔からある日本のセンスで八百万の神様だから色々なところに魂が宿ればキャラになる。それは日本独特の世界に誇れる"ゆる文化"だ」と解説。
ふなっしーは「ふなっしーがふらっと市役所入ったなっしー、変な奴が来たって感じだったなしな。後ろ盾がないので、メール打っても電話しても相手にしてくれなかったなしな」と誕生当時を振り返る。しかし、ネット上を中心に話題を呼び人気は急上昇。ふなっしーのイラストを採用した「梨」が大ヒットした。
「感動したなしな。あーやっててよかったなーって思ったなしな」
今、全盛になっている「ゆるキャラ」は全然ゆるくない。以前、みうらは「(郷土ラブがありすぎててんこ盛りになって)too muchすぎてシュールになってるってのがゆるキャラのもともとの条件だった」(『スタジオパークからこんにちは』)と語っている。しかし、今、市町村が作るゆるキャラは洗練されすぎてゆるくないのだ。
ふなっしーはゆるい。非公認ゆえの自由さと粗雑さがゆるキャラ元来のゆるさを蘇らせたのだ。やがてずっと公認してもらえなかった船橋市からも感謝状が贈られた。
「一から立ち上げていろいろ苦労を重ねてどんどん進んでいく姿にひとつの物語としてみなさんが加わってもらった気がするなっし。その物語をみなさんがみている、共感していくという中でいろんなことが起きた気がするなしな」
現状を冷静に分析するふなっしーは「マスコミに取り上げられる期間は決まっていると思うなっしー、終わった後はゆっくり保育園とか子どもたちを喜ばせにいきたいなっしー」と決してゆるくない夢を語るのだった。NHKで真面目に語るふなっしー。その違和感はまさに「too muchすぎてシュール」だった。
スタジオのアナウンサーはこの"ふなっしーさん"のインタビューを見終わってこうつぶやいた。
「ふなっしーさんが神妙に語る姿を初めて見ました。感動しました......」
文=てれびのスキマ(http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)
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