現在の10代や20代前半の人たちが知らないお笑いコンビ・とんねるずの"凄さ"を伝える記事の第3弾。最後のテーマは、「とんねるずの交遊関係」だ。
とんねるずは、"お笑い"の世界に生きるタレントだ。数多いる後輩芸人の中には、ナインティナインやロンドンブーツ1号2号の田村淳、タカアンドトシ、おぎやはぎなど、とんねるずを見てお笑いの世界を目指したと公言する芸人が挙げ切れないほどおり、とんねるず自身、そのような後輩たちと公私で交流を持っている。
しかし、とんねるずと近い世代や彼らよりも先輩の芸人となると、交遊関係を持つ芸人の数は一気に減るのである。その背景には、別の記事で前述したように、彼らがお笑い芸人はほぼ自分たち2人だけという環境で冠番組を成立させてきたという点があるだろう。タレント活動の中で、他のお笑い芸人と絡むことが少なかったのである。その代わりに、とんねるずの交遊関係には、お笑い芸人の友人とは思いにくいような非常に興味深いメンバーが揃っている。
まず、『とんねるずのみなさんのおかげです』のコント等に出演していたアイドルや歌手たちだ。幾度となく同番組に登場したチェッカーズの藤井フミヤは、石橋・木梨ともに仲が良く、特に木梨は"親友"として対談番組や藤井のライブに出演している。同じく番組出演者だった女性アイドルの工藤静香や小泉今日子などとも親交は深く、石橋の娘の女優・穂のかは以前、トーク番組で、石橋の家に工藤が遊びに来たことがあるというエピソードを披露していた。
このほか歌手では、1学年違いで同世代の久保田利伸、石橋と遊ぶために沖縄ロケにまで付いてきたという玉置浩二、2人をニューヨークの自宅に招き入れたという郷ひろみなどとの親交が知られる。とんねるずが音楽活動に成功し、音楽番組に頻繁に出演していたからこその人脈といえるかもしれない。大御所では、井上陽水もとんねるずに心を許している人物だ。井上は彼らの番組のコントに出演したことがあり、石橋から「(曲が)暗い!」と頭をはたかれるツッコミを受けていた。無礼な"ノリ"も許容してしまう関係性の深さが伺える。
次に、石橋・木梨個人の交遊関係で見てみよう。木梨は、趣味であるゴルフと競馬を媒介に仲良くなるというケースが多いようだ。中井貴一や佐藤浩市といった同世代の俳優とはゴルフ仲間で、木梨は彼らのことを下の名前で呼ぶ。そして競馬仲間には、格闘家の吉田秀彦がおり、ジョッキーの武豊とも親しくしている。マイペースな木梨らしい人付き合いといえるかもしれない。
対して石橋の人付き合いの特徴は、"スポーツ"と"大物先輩"だ。まずスポーツでは、誕生日が一緒なイチローや野茂英雄との親交をたびたび自身の口から語っている。特に野茂との仲は有名で、野茂が大リーグに挑戦した際、国内メディアに反対の風潮もある中で、石橋はアメリカまで駆けつけて激励したことで知られる。
そして、大物先輩。これまで様々な番組で石橋の口から語られてきた交流のある大物の先輩は、そうそうたるメンツだ。俳優の舘ひろしや水谷豊、トーク番組で共演していたこともある古舘伊知郎、カラオケに一緒に行ったという山下達郎、自宅でしゃぶしゃぶを囲んだという松任谷由実、そして石橋が尊敬する人物に挙げる作家の伊集院静。これだけの大物たちから懇意にされる石橋は、テレビでは「ジャイアン」的なイメージがあるが、実は後輩力にあふれた、先輩にとっては"かわいい"人間なのかもしれない。
最後に挙げるとんねるずの"凄い"交遊関係は、故・美空ひばりだ。とんねるずの2人は美空のことを「お嬢」と呼び、美空からは「タカ」・「ノリ」と呼ばれ、かわいがられていた。美空が彼らを自宅に呼んだり、2人のラジオ番組に乱入したりといった交流も有名だ。この当時、とんねるずの2人は20代中盤で、芸歴は10年に満たない段階。そんな時期に歌謡界の女王から寵愛を受けていたということで、2人は天性の"かわいがられる"資質を持ち合わせているといってもいいのではないだろうか。
とんねるずのこのような交遊関係がもたらしてきたものは、「とんねるずの番組でしかバラエティーでの姿を見られない人」の存在だ。上に挙げた野茂などもそれに当てはまるが、つい先日の11月7日にも、『みなさん』の人気コーナー「食わず嫌い」に矢沢永吉が1時間まるまる出演するという出来事があった。矢沢ととんねるずの間に深い交遊関係があるというわけではないようだが、矢沢の中には、「とんねるずの番組なら出る」という意識はあったそう。とんねるずには、超大物からもそのように思わせる力があるのだ。
とんねるずにとって大先輩である笑福亭鶴瓶は以前、トーク番組『A-Studio』の中で、「お笑いの人間にとっても、俳優の人にとっても、とんねるずは特別。みんな、なんか憧れてるのよ」と語っていた。どんな大物だとしても、誰もが憧れてしまう。それがとんねるずなのだ。
レギュラー番組が減っても、視聴率が下がろうとも、ネット上で「終わった」と揶揄されようとも、現在の20代後半以上の人たちの多くは、全盛期からの芸風を変えないとんねるずに憧れ続けている。これこそは事実であり、そう思わせる唯一無二の存在であることが、とんねるずの"凄さ"なのだ。これからも輝き続けてくれることを願うばかりである。
【参照リンク】
・とんねるず 公式サイト
http://www.tnlounge.net/
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