香港映画のアノ興奮が忘れられない30代以上の映画ファンは、その復権を強く希求している。そして公開中の骨太サスペンス・アクション『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』は、まさしく観たかった香港映画! 来日したリョン・ロクマン&サニー・ルク、両監督の想いも同様で、製作のコンセプトは「100パーセントの香港映画を作ること」だった!
『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』は、椅子を立てなくなるほど壮絶に面白い。警察内部の汚職や陰謀を描くダークな物語で、『インファナル・アフェア』シリーズを連想する人も多い。「目標は明白だった。100パーセントの香港映画を撮ること。これ以外にないよ」と説明するルク監督。「ここ10数年、香港は中国の市場に注目していて、香港独自で巨大なスケールの映画を撮ることは厳しい現状がある。でも、そういうことに左右されず、自分たちが面白いと思う映画を香港で撮りたかった」。
しかも、本作で悲願の監督デビュー。大陸を無視する裏では、自分たちの得意分野で勝負を賭ける他、選択肢もなかった。
熱い想いは、ロクマン監督も一緒。「だって初監督だよ。失うものなど何もないじゃないか」と笑うが、強い決意でコトを進めた。「撮る前に昔のような香港映画など、イマドキ止めたほうがいいという人は多かったね。香港映画の意義や歴史を考えてどうする? とね。でも、それは本当か? 香港人が観たい、香港映画のニーズはあるはずだって、よく考えればわかることだよ。だから中国など気にしない、100パーセントの香港映画を撮ろうじゃないかってね」。言ってみれば、商売度外視。それ以前に、完成しない可能性だってあった。
この話、実はウラがある。映画に投資したプロデューサーの眼力が秀逸だったことだ。「脚本が完成した段階で、この映画は仮に儲けが少なくてもいい、とにかく100パーセント香港スタイルでやろう。合作はしなくていい」と豪語した男が、それが剛腕ビル・コン。彼の尽力で無事に映画は完成を迎え、結果的に香港、中国で好成績を記録した。「社長は、さすがに市場を見る目がありました(笑)」(ルク監督)。そして胸熱エピソードも残った。大事なことは合作かどうかではなく、作り手に想いがあるかどうか。それが人々の心に響く。
監督デビュー、大成功を収めた男たちは次なる題材を探していて、「『半沢直樹』だって? それ誰が出ているの? 香港でリメイクしてやるよ!(笑)」と(ルク監督)鼻息MAX! 香港映画界の完全復活は夢物語ではなく、現実に近づいている気がするインタビューだった。
映画『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』は、公開中。今冬、ゴリゴリに全国拡大公開!
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