カツ煮とカツ丼、どちらもカツと溶き卵をつゆで煮てあるけれども、似て非なるものである。
煮ているけれども、そして似ているけれども、違う食べものだ。一番の違いといえば、カツ煮はいつまでもつゆに浸っている。口に運ぶ直前までつゆの中にある、ということは、つゆの中に存在するかどうかの決定権が、僕にゆだねられている、ということに他ならないのである。
というようなことを、ボートレース戸田のカツ煮を食べながら、思った。
ボートレース初心者である筆者が、各レース場で名物のうまいものを食べつつボートレースを楽しむこの企画。今回は埼玉県戸田市にあるボートレース戸田にやってきた。前回の記事でインタビューした美人レーサー、富樫麗加選手が出場するというので、応援に来たのだ。
ボートレース戸田は、1964年の東京オリンピックでボート競技の会場となった場所で、現在も隣には戸田漕艇場があり、取材当日も学生たちが練習を行っていた。
施設が近代的なのも戸田の特長で、ガラス張りの5階建て、場内には800人収容のイベントホールも備える。
このイベントホールでは出場選手のインタビューや、演歌歌手のコンサートも開催される。氷川きよしや大泉逸郎などがブレイク前にここで歌い、そのあとヒット曲を出したことから、「新人歌手がここで歌うと売れる」というジンクスが演歌界にはあるそうだ。
他にも、床屋(!)やゲームセンター、キッズランドなどがある。
<本格的なゲームセンターに>
<子供が100人くらいは遊べそうなキッズランド>
<そして床屋。お父さんたちは「ちょっと床屋へ行ってくる」と家族に言い訳して、ボートレースに興じるというわけだ>
そして、なによりも充実しているのが「食」である。
レストランにフードコート、軽食スタンドにファーストフード、売店などなど、食事がとれる店舗がたくさんあるのだ。
<場内の飲食店の数がすごい>
<「焼きそば」の後付け感といい、手書きのメニューといい、味わい深いお店。メンチ丼が気になる>
<ランチ丼も気になるし>
<サラダ定食というのもめずらしい>
<おなじみ我らがアイドル、吉野家まで>
という具合に、空っぽの胃袋にはとてもありがたいメニューがずらり並んでいる。
さて、どれを食おうか。
<この店にはおでんが>
<鶏もももうまそう>
<ちらし寿司という選択も魅力的だ>
<手作りでおいしいわよ、とおばちゃん>
<モツ串があるのがショッピングセンターのフードコートとの一番の違いだ>
どれもぜんぶ魅力たっぷりなのだが、ここはひとつ、縁起物ということでカツにしよう。
<カツ煮お願いします。はいよー!>
<というわけで、冒頭のカツ煮だ>
<カツ煮もうまかったが、カツカレーも人気メニューだという>
カツ煮を食べて大満足したところで、レースを楽しむ。
戸田は水面が近いのが印象的だ。ボートの迫力はもとより、選手の息づかいまで聞こえてきそうだ。
この日は第1レースと第8レースに富樫選手が出走する。
<第8レースのスタートを待つ富樫選手>
<そしてスタート>
<富樫選手は残念ながら舟券に絡むことはできなかった>
この日は富樫選手にとって、デビュー50戦目に当たる節目だったのだが「勝つことができなくて残念です」と語っていた。
大丈夫、必ずやってくる初勝利の日まで応援しますから。
<ピット内のプロペラ調整室。日々の努力が実を結ぶかどうか、重要な鍵を握るスペースだ>
というわけで、あっという間に1日が過ぎてしまった。ボートレース戸田はこれでもか、というほど豊富な食事のメニューと、「おもてなし」満載の施設で、家族連れやカップル、いや女性ひとりでもきっと楽しめるレース場だ。
さて次回は、ナイトレースが開催されるボートレース桐生に足を運んでみようか。
(工藤考浩)
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